合同会社の定款

基本事項が決まり、会社設立の準備が完了したら、会社の根本ルールである「定款」の作成に取り掛かります。

合同会社の場合、定款の内容によって会社の運営に関するルールを細かく定めることができますから、事業がスタートした後のことも考えながら作成するようにしましょう。

定款に書く事項は大きく分けて3つ

定款に書く事項としては、大きく分けて次の3種類があります。

  • 1 絶対的記載事項
  • 2 相対的記載事項
  • 3 任意的記載事項

以下、これら3つの内容について具体的に見ていきましょう。

1 絶対的記載事項

絶対的記載事項というのは「定款に必ず含めないといけない内容」のことで、もし記載するのを忘れてしまうと定款が無効となってしまいます。

絶対的記載事項として定めておかなくてはならない事項としては以下の6つがあります。

  • 会社の商号(名称)
  • 会社の事業目的
  • 本店の所在地住所
  • 社員(出資を行う人)の氏名や名称(法人の場合)、及び住所
  • 社員全員が間接有限責任社員であること(出資の範囲内でのみ責任を負うという意味です)
  • 社員の出資するものの内容と、その価額または評価基準

2 相対的記載事項

相対的記載事項とは、必ずしも記載する必要はないけれど、会社のルールとして定めておきたいことがあるときに記載しておける事項のことです。

次の任意的記載事項との違いは、「相対的記載事項に該当する点について、ルールとして定めたい場合は、必ず定款に書かなくてはならない」という点です。

簡単にいうと「この点に書かなかったとしても定款自体は有効。でも、この点にルールを作りたい場合には必ず定款に書かないとダメ」ということですね(任意的記載事項は定款以外の方法によってルールを定めてもOKです)。

相対的記載事項に該当する事項としては、以下のようなものがあります。

  • 業務を実際に行う社員(執行社員)の定め
  • 代表社員の定め(社員が複数人いる場合)
  • 利益の配当に関する事項(出資金額にかかわらず自由に決められます)
  • 社員の退社に関する定め(出資金額の払い戻しに関するルール)
  • 持分の相続に関する定め(社員が亡くなった時に払い戻しにより持分を回収するなど)
  • 解散の事由(特定の条件を満たしたときには解散すると定められます)
  • 会社の存続期間(期間を区切って事業を行いたい場合)
  • 残余財産の分配の割合(解散時に残った会社財産を誰がいくら取得するか)

3 任意的記載事項

任意的記載事項は、必ずしも定款に書くという形でルールを作らなくても良いけれど、定款に書いても良い、という事項のことです。

この定款にいろんなルールを記載することによって、会社の運営方法を当事者の希望に沿う形で行えることは、合同会社の大きな特徴(メリット)ということができます(定款自治という言い方をすることがあります)。

株式会社では複数の経営者を置く場合には監査役を設置しなくてはならないなど、組織運営のルールが法律で厳密に定められています。

会社組織のあり方をしっかりと定めることにもメリットはありますが、同族経営の会社やオーナーに強い権限を持たせたいような場合には合同会社による定款自治を選択することにはメリットがより大きいといえるでしょう。

このような意味で、株式会社はある程度大きな規模の組織に、合同会社は家族経営的な小規模な事業者が選択しやすい制度ということができます(ただし、アップルジャパンなどの大きな企業であっても合同会社を選択しているケースもありますから、結局は当事者の運営スタイルによる面も大きいですが)。

一度定款に書いた事項は簡単には変えられない

いったん定款に書いた事項については、変更を行うためには原則として総社員の決議が必要になるほか、法務局に登録免許税を支払って登記を行わなくてはなりません。

会社を運営していくにあたって、めったに変更することが考えられないような重要なルールについては定款に任意的記載事項として記載しておくと良いでしょう。

なお、会社のルールを定める方法は定款に書くことだけではありません。

単に社内の規則としてルールを定めても良いですし、頻繁に内容が変わるようなことであれば定款に書くよりもこれらの方法を用いた方が望ましいケースもあります。

任意的記載事項として定められることが多い事項としては、以下のようなものがあります。

  • 社員総会をどのような条件で開催し、何について決める権限を持たせるか
  • 会社の事業年度に関する定め(税金計算のために重要になります)
  • 業務執行社員や代表社員の人数等
  • 社員の報酬に関する事項(こちらも税金計算とのからみで重要です)

許認可が必要かどうかは事前に調べておく

会社が事業として行う予定の業務によっては、行政官庁(市区町村や保健所などのお役所)から許認可を受けなくてはならないことがあります。

もし許認可が必要な事業であるにもかかわらず、手続きを経ずに事業を開始してしまうと、罰金や業務停止などのペナルティを受けてしまう可能性がありますから、注意が必要です。

許認可が必要な事業としては、例えば以下のようなものがあります。

  • 建設業 :国土交通大臣または都道府県知事の建設業許可が必要
  • 旅行業 :国土交通大臣または都道府県知事の登録が必要
  • 美容院 :保健所の美容所開設届出が必要
  • 飲食業 :保健所の食品営業許可が必要
  • 介護事業:都道府県知事による介護事業者の指定が必要

許認可を行う必要がある事業を営む場合には、会社設立時の手続きも許認可を見据えて行う必要があります。

具体的には事業目的や出資金の金額について、過去に許認可を得ている事業者がどのような準備を行なっていたか(簡単にいうとどういう条件を満たせば許認可が出る傾向があるのか)を入念に調査しておきましょう。

許認可を通すことを専門にしているコンサルタントがいるぐらいですから、許認可にはしっかりとした準備が必要です。

許認可を受けるためには会社の設立が完了する前の段階から用地の取得や金融機関からの融資取り付けなどを同時進行で行わなくてはなりません。

場合によっては1年以上の期間をかけて準備を行う必要がありますから、許認可が必要な事業を新しく設立する会社で行う場合には注意しておきましょう。

電子定款と紙の定款の違い

合同会社、株式会社ともに定款を電子的な記録方法(CD-ROMなど)によって作成するか、通常の紙面で作成するかを選択することができます。

紙で電子定款を作成する場合には、印紙税(4万円)を負担しなくてはならないため、現在は電子定款を利用するケースが多くなっています。

ただし、電子定款を利用するためにはAdobe AcrobatのようなPDF作成ソフトや、各種のカードリーダを買いそろえる必要があります。

これらは通常数万円の出費となりますから、せっかく電子定款によって印紙代を節約しても、結局意味がない…ということにもなりかねませんから注意が必要です。

なお、司法書士などの専門家に会社設立の代行を依頼した場合には、Adobe Acrobatなどのソフトの費用は必要ありません。

ソフトの費用なしに電子定款を利用できるということは、印紙税代を本来は0円とすることができますが、それと同額だけ専門家の費用として支払う必要があるのが業界的な標準となっています。

つまり、「電子定款+専門家に依頼」と「電子定款+自力で手続き」とではかかる費用が同じということですね。

専門家は会社設立の手続きを年間で何百件も請け負っている人たちですから、手続き上の不備が生じるようなことは普通ありません。

自分で手続きをしても、専門家に依頼しても発生する費用が同じなのであれば、専門家に依頼して会社設立を行うのが賢明と言えます。

参考
合同会社設立は超かんたん!?麻雀しながらあっさり設立できる合同会社とその手続とは?
>>合同会社設立は超かんたん!麻雀しながらあっさり設立できる合同会社とその手続とは?