【平成28年分版】 確定申告前に読んでおこう!物語でわかる個人の節税パーフェクトマニュアルまとめ

1.住宅で譲渡損が出たら、確定申告で損失を給料と相殺可能

  • 「先生、ダメッす、大損です~。」
  • 「どうしたんです、いきなり?社長、今までも人生損だらけなのに。」
  • 「そうなんだけど。そうなんだけど、今回はすごい損です。新しい家買おうと思って、古い家売ったら2000万ほど損出たんです~。」
  • 「2000万ですか!そうか~、社長はバブルのときだっだもんなぁ、家買ったのは。そうしたら確定申告して税金だけでも取り返しましょうか。」
  • 「え?家買い換えて損でたら税金返ってくるんですか?」
  • 「そうなんですよ。社長、ちょっと何個か聞きたいことがあるんで教えてください。新しい家は住宅ローン組みましたか?」
  • 「自慢じゃないけど、泥沼ローン地獄~。」
  • 「いや、本当それ自慢じゃないですよ。(汗)あと新しい家は50㎡より大きいんですか?」
  • 「50㎡よりは大きいです。」
  • 「あと1つ。新しい家はいつ買って、いつから住むんですか?」
  • 「買うのは売ったらすぐです。住むのも1ヶ月以内には住み出します。」
  • 「だったら5年以上持ってる家を売って損が出て、新しい家はローンのある50㎡以上の家、と。それで新しい家を売ってから1年以内買って、すぐ住み出す。うん、いけますね、確定申告したら税金もどりますよ。」
  • 「おお!それでいくらくらい戻ってくるんですか?」
  • 「2000万の損が出てるんだったら、今年の社長の所得税は全額戻りますよ。」
  • 「よしゃ~地獄に仏とはこのことですね。だったら確定申告します。」
  • 「だけど、社長どうして家売ったんですか?大きくて綺麗な家だったのに。」
  • 「いやぁ~、家庭の事情がありまして・・。」

住宅を買い替えるために売却して損失が出たときは、確定申告をすることで、その損失を給与所得などの他の所得から引くことができます。

この規定を、「マイホームの買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言います。

ただし、この既定が適用されるのは、いろいろな条件をクリアしたときにだけです。

その条件とは、

  • 条件
  • ①新しい家の床面積が50㎡以上であること
  • ②新しい家は、古い家を売った年の前年の1月1日から売った年の翌年の12月31日までに取得していること
  • ③新しい家には、取得した年の翌年の12月31日までに居住すること
  • ④新しい家は償還期間が10年以上の住宅ローンを組んでいること
  • ⑤古い家には、売った年の1月1日時点で5年超住んでいたこと
  • ⑥この規定を受ける年以前の3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、損益通算の特例の適用を受けていないこと

なお、この規定は住宅ローン控除とダブル適用ができます。

条件が多くて揃える資料もたくさん必要ですが、大きなお金が還付されます。

当てはまりそうな人はぜひ検討してください!

2.住宅で譲渡益が出たら、3,000万円控除または軽減税率

  • 「先生、聞いてください、うちの甥っ子が家売ったらムチャクチャ利益出たんです。5000万の利益ですよ!」
  • 「ほ~、このご時勢に羨ましい話ですね~。でもどうして利益出たんですか?」
  • 「何十年も住んでる間に駅が出来たり、スーパーができたりで土地の値段がムチャクチャ上がったたらしいです。でも税金も高いですよね?なんとかなりませんか?」
  • 「良い特例がありますよ。ちょっと何点か教えてもらえますか?」
  • 「やっぱり先生に聞いてみるものですね~。可愛い甥っ子のためだ。なんでも答えますよ!」
  • 「甥っ子さんは住まなくなった日から3年以内に売ったんです?」
  • 「ええ、売る直前まで住んでましたよ。」
  • 「売った相手さんは親戚とかじゃないですよね?」
  • 「ええ、赤の他人です」
  • 「うん。それだったら2つの有利な規定を使えます。まずは利益のうち3000万円までは税金をかけない規定と、3000万超えた部分は所得税の税率が10%になる規定です。」
  • 「へぇ~~、3000万までは税金がかからないんですか!」
  • 「そうですね、もしこの2つの規定使わなくて5000万の利益が出たら、所得税と住民税で1000万だけど、2つの規定使ったら280万で済みますよ。」
  • 「720万も得するんですか!甥っ子も大喜びです。」
  • 「その代わり、この規定受けたら住宅ローン控除は受けられませんよ。甥っ子さんにはそのことも伝えて、選んでもらってくださいね~。」
  • 「わかりました~」

マイホームを売って利益が出たときには、税金の優遇措置があります。

いくつかあるなかでも最もポピュラーなものが、3000万円特別控除と言われる規定です。

この規定は、売却益から3000万円を控除して、残った額に対して課税するというものです。

つまり、売却益が3000万円より少なければ、税金が発生しないのです。

ちなみに、「売却益」とは、
「売った金額-(買った金額-減価償却費)-譲渡費用」
で計算されます。

売った金額がそのまま利益になるのではありませんので、注意してください。

この規定を受けるためには、いくつかの条件を満たしていなければいけません。

その条件とは以下の通りです。

  • 条件
  • ①住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却していること
  • ②売った年の前年、または前々年に、マイホームに関する所得税の特例を受けていないこと
  • ③売り手と買い手は親子や夫婦などの特別な関係ではないこと

この規定は条件もゆるく、多くの人に適用される可能性が高い規定です。

ただし、3000万円特別控除の特例や軽減税率の特例を受けると、住宅ローン控除は受けられなくなります。

また、売却益が3000万円を超える場合には、超えた部分について税率を安くしてくれる規定があります。

軽減税率の特例と言われるもので、通常は売却益の15%が課税されます(別に住民税が5%)が、下記の条件を満たせば、

3000万円特別控除を受けた後の金額が6000万以下→10%

3000万円特別控除を受けた後の金額が6000万超→15%+600万円

になります(平成49年までは、このほかに所得税額の2.1%が復興特別所得税として徴収されます)。

その条件とは、

  • 条件
  • ①住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却していること
  • ②売った年の前年、又は前々年に軽減税率の特例を受けていないこと
  • ③売った住宅や敷地について他の所得税の有利な特例を受けていないこと(3000万特別控除を除く)
  • ④売り手と買い手は親子や夫婦などの特別な関係ではないこと
  • ⑤売った年の1月1日において所有期間が10年を超えていること

ただし、この規定も、住宅ローン控除とのダブル適用ができません。

どちらが特になるか、十分検討して選択してください。

3.住宅で譲渡益が出たら、買換特例

  • 「先生、この前の甥っ子の家の税金の話、ありがとうございました。」
  • 「どうです?喜んでました?」
  • 「ええ、大喜びです。だけど、もうちょっと相談が出てきました。」
  • 「どうしたんです?」
  • 「甥っ子がね、家売ったお金で新しいマイホーム買おうと思ってるらしんです。税金がもし0だったらローンなしでちょうど買えたのになぁって言ってるんです。税金が0になるようなそんな上手い話はないですよね?」
  • 「いやぁ~そんな上手い話は、・・・・、実はあるんですよ、上手い話が!」
  • 「え~!税金0にするんですよ??脱税だったら勘弁だよ~。」
  • 「脱税なわけないじゃないですか、れっきとした特例ですよ。」
  • 「ひやぁ~特例さまさまですね~。教えてください!」
  • 「この規定は、家を売ったお金で新しい家を買うのだったら、家を売った利益の税金を将来に繰り延べてあげようという特例ですね。」
  • 「税金を将来に繰り延べ?どういう意味です?」
  • 「簡単に言ったら『今は税金払わなくて良いから、家を買うのにお金使いなさい。その代わり、新しく買った家を将来売ったときには、今の利益もプラスして利益計算しますよ』ということですね。」
  • 「だったら今は税金0だけど将来家を売ったら、5000万の利益とそのときの売った利益を足した金額の税金がかかるということですよね?」
  • 「そう!そういうこと!」
  • 「なるほど、今がよければ全て良しの人向け特例ですね~。」
  • 「まぁ、そういう風にも言えますね~(笑)。あと、売った値段より安い家買ったら、差額分には税金かかりますよ。ローン控除も受けれませんよ。」
  • 「わかりました、それも甥っ子に言っておきます。」
  • 「まぁ、何が一番得かは本人に選んでもらうしかないですね。」
  • 「だけどオレは家売って大損なのに、甥っ子は大得してると思ったら、腹立ってきました。ちょっと相談料取ろうかな~。」

買換特例とは、「マイホームを売却してその売却代金で新しい家を買う場合には、基本的には税金がかからないようにしましょう」という制度です。

この制度を使うと、今年税金がかからずに済んだ分は、将来払うことになります。

将来、新しく買った家を売却したときに、税金がかかるのです。

具体例で考えてみましょう。
(簡単に考えるために減価償却は考慮しません)

1000万で買った住宅が、1500万で売れたとします。

本来は譲渡益の500万に課税されるわけですね。

ところが、新しい家が2000万だとすると、この1500万を新しい家の購入代金にあてれば、譲渡益の500万に対する課税は保留になります。

そして、将来に、この家が2500万で売れたとします。

このときは、2500万-2000万=500万の譲渡益のほかに、保留になっていた500万円も足されて、合計1000万の譲渡益に対して課税されるのです。

この考え方が買換特例の特徴です。

ただし、売却代金のほうが新しい家よりも多い場合、つまり、お金が余る場合はその余る部分については課税されます。

つまり、1500万で売れて1400万の家を買ったら、余っている100万円には課税されるということです。

あくまで、新しい家の購入代金に充てることが前提です。

この買換特例は、3000万特別控除や軽減税率の特例とダブルでは適用できません。

どの規定が有利かじっくり検討して決めてください。

4.住宅ローン控除は夫婦共有名義の方が大きくなる

  • 「堺先生、うちもそろそろ家買おうかなと思ってるんです。」
  • 「お~、持ち家ですか。いいですね、社長。会社も良い感じだし、買ったらいいと思いますよ~。」
  • 「堺先生がダメって言わなくて良かったです。それで相談なんですけどね、嫁と共有にしようか、僕一人の名義で買おうか悩んでるんです。何か違いとかあるんですか?」
  • 「家はローン組むんですか?」
  • 「ええ、やっぱりローン組まないとどうにもならないんで。3000万ほど組むつもりなんです。」
  • 「それだったら、共有にしたほうが税金得しますよ。社長の奥さんも働いてるから、社長と奥さんの両方で住宅ローン控除受けられるんです。」
  • 「おお~、それだったら共有します、二人とも税金が返って来るんですね。」
  • 「そういうことですね、二人の所得税考えたら4000万まで借りたときが一番税金返ってきますね。」
  • 「それだったらもっと豪邸にしようかな~。3階作って、バルコニー作って、ゴルフの練習場作って、プール作って、噴水も作ろうかな~。」
  • 「社長、そんなに作ったら4000万超えますよ・・・。」

夫婦共働きのときは、夫婦共有名義で住宅ローンを組むと節税になることがあります。

ローン控除で還付される金額は、銀行の借入金残高の1%(年度によって率が変わります)を上限に、納めた所得税までです。

ということは、納めた税金が上限に達していない人は、達していない金額分を切り捨てているということなのです。

具体例で考えてみましょう。

銀行の住宅ローン残高が2000万で限度額は1%、夫の所得税が15万円、妻の所得税が15万円とします。

夫が一人で住宅ローンを組んだ場合は、ローン控除の上限は2000万の1%、つまり、20万円です。

ところが、納めた所得税が15万円しかありませんので、結局還付される金額は15万円です。

夫と妻の二人が共有で住宅ローンを組んで登記の持分も半分ずつの場合は、上限は1000万の1%で10万円になりますが、夫も妻も15万しか元々所得税を納めていませんから、切り捨てられることなく、10万円+10万円=20万円が還付されるのです。

ただし、登記には注意しなければいけません。

実際に出した金額を厳密に計算して登記しなければ、税務署から「贈与」とされ贈与税の対象になることがあります。

また、将来、妻が仕事を辞めて夫が妻の分のローンを支払うことになると、妻が払うはずだったローンの額は夫から妻に対する贈与として、贈与税の対象になります。

これも注意しておいてください。

5.株で損をしたら確定申告で損失を繰越

  • 「先生、甥っ子が株で大損したんです。あれほど投資には手を出すなって言ってたのに。」
  • (人のこと言えないだろ~。)
  • 「それで、甥っ子も得する税金の特例ないですか?可愛い甥っ子なんですよ~。」
  • 「それだったら確定申告して損失を繰り越しましょうか。」
  • 「利益ないんですけど確定申告するんです?」
  • 「ええ、社長のFXのくりっく365と同じようなものですね。損が出てても確定申告したら得することがあるんですよ。」
  • 「ああ、そうか。オレも損してるのに確定申告するんでしたね~。」
  • 「株の損もくりっく365と似てて、3年間繰り越せるんです。つまり、来年株で儲けたら、今年の損を相殺して税金を計算できるということです。」
  • 「なるほど、くりっく365とよく似てますね~」
  • 「そのかわり損を繰り越すんだったら毎年確定申告しないとダメですよ。あと株は上場してる株だけです。社長の会社の株はダメですよ。」
  • 「オレの会社の株は誰にも渡しませんよ!それに売って損出ることはないでしょ~。」
  • :「そ、そうですね~。」
  • 「だけど一つ感心したことがあるんです。甥っ子がね、株で出た損は株で取り戻すって言って、来年もやるらしいです。やっぱりオレの血が繋がった甥っ子だな~。」
  • (この一族は懲りないな~)

上場株式の売買で損失が出てしまったときは、確定申告をすることでその損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。

つまり、FXのくりっく365と同じで、翌年に利益が出ればその利益と相殺できるのです。

この規定は、上場企業の株のときだけです。

中小企業の株式など、非上場株式は使えませんので注意してください。

損失を繰り越すためには、特定口座・一般口座に関わらず、確定申告をしないといけません。

特に、特定口座で「源泉徴収あり」にしている方は、利益が出た場合、確定申告が不要というイメージがありますので、確定申告をしなければ損失を繰り越せないことに注意してください。

もし翌年、株の売買を一切行わなかったとしても、確定申告をしなければ損失を次の年に繰り越すことができませんのでご注意ください。

また、株の損失が相殺できるのは株の利益だけです。給料や事業所得などと相殺することはできません。

いくら損失が出ても、給料の所得税が返って来ることはないということです。

確定申告は税金を支払うためのものではなく、確定申告をすることで得になることもあるということを忘れないでください。

6.家族全員の医療費領収書を集めて医療費控除

  • 「今年は持病の腰痛で病院にいっぱい行きました~。」
  • 「大丈夫ですか?遊びすぎじゃないですか~?」
  • 「人聞きの悪い。違いますよ、働きすぎですよ~。」
  • 「で、1年間で病院代はどれくらいかかったんです?10万円超えてたら確定申告でちょっとお金戻ってきますよ。」
  • 「10万か~。この前計算したらギリギリ10万いかなかったんです~。腰は痛いしお金は返ってこないし踏んだり蹴ったりですよ。」
  • 「家族で今年病院に行ってた人はいません?」
  • 「それだったら嫁も持病持ちだから病院に行ってますよ。でも嫁も10万にちょっと足りませんね。」
  • 「大丈夫です、社長。奥さんは社長の役員報酬で生活してるから、奥さんの医療費も合計して10万円超えたら医療費控除を受けられるんですよ。」
  • 「そうなんですか!それだったら超えてる超えてる!あと大学生の息子が一人暮らししてるんですけど、今年骨折って病院代かかったんです。息子の分は住んでる場所違うからダメですか?」
  • 「いえ、息子さんの分もいけますよ!要は社長の役員報酬で生活してる人は含めて良いんです。あと息子さん、骨折ったんだったらタクシーで病院へ行ったでしょう?」
  • 「ええ、足の骨だからね。タクシー乗らないと駅から遠い病院へ行けませんでした。」
  • 「それだったらタクシー代も医療費控除の対象に入れられますよ。どうしてもタクシーを使わないとダメなときだけ、タクシー代も医療費に入れて良いことになってるんです。」
  • 「よっしゃ、じゃあ確定申告して税金取り戻しますよ~。」

医療費控除は、自分や家族が病気やケガで医療費を支払ったときに、税金の負担を軽くするために設けられたものです。

病院代への治療費が大きくなっている人はそれだけ担税力も落ちているはずなので、特別に税金を軽くしようというのが趣旨です。

ただし、10万円以上(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%)の医療費を支払わないといけません。

1年間の医療費が10万円以上になったときに、支払った医療費から10万円を(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%)引いた金額が医療費控除の対象になります。

例えば、15万円医療費がかかったのであれば、10万円を引いた5万円が所得から控除されるのです。

医療費控除の最大のポイントは、「何が対象になって、何が対象にならないか」です。

例えば、歯医者の費用でも、虫歯の治療は医療費控除の対象になりますが、美容目的で歯を白くしたりした費用は対象外です。

マッサージは、治療のために資格を持つ柔道整復士に支払った費用は対象ですが、肩こり解消のためのマッサージ代は対象外です。

このように非常に細かく分類されているのが難しいところです。

ただ、基準としては「治療目的」や「医師の指示に基づく」ものは対象で、「美容目的」や「健康増進」は対象外と考えてください。

最後は税務署や税理士に確認することをお勧めします。

7.台風や災害、盗難があったときは雑損控除

  • 「堺先生、ちょっと聞いてください、もう最悪なんです~。」
  • 「どうしたんです?珍しく取り乱してるじゃないですか?」
  • 「いやそれが、泥棒に入られてごっそり持っていかれました・・。」
  • 「うわぁ~、それは最悪ですね。それで警察呼んだんですか?」
  • 「ええ、警察呼んで現場検証してもらいました。でも犯人はまだ捕まってないんですよ。」
  • 「で、どれくらいやられたんですか?」
  • 「現金で100万ほどです。」
  • 「うわぁ~。警察の盗難証明書は発行してもらったんですか?」
  • 「ああ、それは貰ってます。まぁ盗難の思い出になるかなと思ってます。」
  • 「それだったら、確定申告したら税金返ってきますよ。」
  • 「え、泥棒に入られたら税金返って来るんですか!!税務署もいいところありますね。」
  • 「そうですね、悪いことばっかりではないですよ。」
  • 「これからは悪く言うのを控えるようにします。」

台風や雪害などの自然災害、火災やシロアリなどで住宅や家財が損害を受けた場合、盗難や横領で家財を失った場合には、雑損控除という特例があります。

この雑損控除の対象となるのは、「生活に必要な資産」だけです。

1個の値段が30万円を超える貴金属や書画骨董、および別荘などは被害を受けても対象になりません。また損失の事由は災害、盗難、横領による場合であり、詐欺および脅迫による場合は対象となりません。

また、棚卸資産などの事業用の資産も対象外です。

対象となるものには、災害に関連して、やむを得ず支出した費用も含まれます。

例えば、災害に遭った住宅の取り壊し費用や、豪雪地帯の雪下ろしの費用などが対象になります。

シロアリの駆除費用なども対象です。

雑損控除額は、「損失や費用の額」-「受け取った保険金の額」-「課税標準の合計額の10%」になります。

または、「災害関連支出のみの金額-5万円」でもOKです。

どちらか有利なほうを申告しましょう。

雑損控除を受ける場合には、災害関連支出をしたときの領収書や、盗難証明書、横領告発書などの書類が必要になります。

火災の場合には消防署、盗難の場合には警察署で証明をもらってください。

口で言うだけでは認められませんので注意してください。

災害を受けて損害が出たときは財産的にも精神的にも苦しいもの。

雑損控除で、少しでも財産を守るようにしましょう!

8.個人事業主は青色申告で税金が有利に ①純損失の繰越控除

  • 「堺先生、やっと決心できました。会社を辞めて独立しようと思うんです。」
  • 「おお!遂に決心できましたか。一大決心でしたね。」
  • 「はい、右も左もわからない素人ですからいろいろ教えてださい。よろしくお願いします。」
  • 「もちろんですよ。」
  • 「で、最初は個人事業主の形態で始めますか?会社を設立しますか?」
  • 「最初は個人事業主でやっていこうと思うんです。まずは何をやったら良いんです?」
  • 「個人事業主としてやっていくんだったら、開業届けとか青色申告の承認申請書とか出さないとだめですね。特に青色申告の届け出は出しておくと税金がだいぶ安くなりますから絶対出しましょう。」
  • 「お~、税金安くなるんですか!それだったら出しましょう!で、出したらどんなメリットあるんですか?」
  • 「いっぱいありますよ、青色申告のメリットは~。まず良いのが、純損失の繰越控除の制度ですね。」
  • 「なんですか?繰越控除って?」
  • 「もし、事業で赤字が出たとするでしょ。そしたらその損失を来年に繰り越せるんです。」
  • 「じゃあ、来年黒字が出たら相殺できる?」
  • 「そうです、相殺できるんですよ。青色申告だったら3年間損失を繰り越せるんです。」
  • 「それだったら安心。1期目はどうなるかわからないけど3年あったら絶対黒字にしますよ~。」
  • 「いや、そんな弱気にならないで1期目から黒字にしていきましょ~!」

青色申告とは、日々の取引を複式簿記にのっとって記帳し、決められた帳簿を記載して保存している場合に認められる申告方法です。

つまり、きちんと利益を計算しているということですね。

個人事業主として事業を行っている人は、青色申告が断然有利です。

青色申告には約50もの特典がありますので、ここでは繰越損失について説明しましょう。

「繰越損失」とは、1年間の商売をして、最終利益を計算すると赤字だった場合に、その赤字を翌年に繰り越す制度のことです。

つまり、赤字を翌年に繰り越して、翌年利益が出れば相殺するということです。

例として、前年に50万円の赤字が出て、今年100万円の黒字の場合を考えてみましょう。

繰越損失の制度と使うと、今年の100万円の利益は前年の50万円の赤字と相殺され、50万円の利益として税金を計算することになります。

このように、損失を繰り越すことができれば、税金を大きく減らすことができます。

赤字が出るということは、それだけ経営が苦しいということ。

V字回復をするためにも、繰越損失の制度を利用して資金力を付けたいものです。

ただし、青色申告をするためには、3月15日までに税務署長に対して「青色申告承認申請書」を提出し、承認を受けておかなければいけないのでご注意ください。

9.個人事業主は青色申告で税金が有利に ②専従者給与

  • 「青色申告って良いですね。他にもメリットあるんですよね。」
  • 「ええ、ありますよ。堀江さんって奥さんいましたよね。」
  • 「ええ、いますよ!一緒に手伝ってもらうんです。」
  • 「それだったらちょうどいいです。奥さんに給料出せますよ。」
  • 「え、自分の嫁に給料出せるんですか!それやったら嫁も喜びます~。」
  • 「これも青色申告にだけ認められたメリットなんですよ。その代わりもう一枚書類出してくださいね。」
  • 「わかりました!そんなことだったらドンドン出しますよ~。」

青色申告は多くのメリットがありますが、この「専従者給与」も大きなメリットです。

「専従者給与」を簡単に説明しますと、個人事業主が家族に事業を手伝ってもらった場合に、家族への給料を経費に入れることができるというものです。

白色申告では、家族以外の人に払う給料は経費になりますが、家族への給料は経費になりません。

(ただし、白色申告では白色専従者控除というものがあり、年間86万円の控除が認められています。)

これに対して、青色申告では支払った金額をそのまま経費扱いできます。

青色申告で家族への給料を経費にするためには、その家族は以下の条件を満たしていることが必要です。

  • 条件
  • (1) 本人と生計を一にしていること
  • (2) その年の12月31日の時点で、年齢が15歳以上であること
  • (3) 6ヶ月以上、もっぱら事業に従事していること
    (この3つの要件を満たす家族を専従者と言います。)

この規定の適用を受けようとするときは、適用を受ける年の3月15日までに、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておく必要があります。

また、「専従者給与」を支払うと、金額に関わらず、配偶者控除や配偶者特別控除は受けられなくなることにもご注意ください。

10.個人事業主は青色申告で税金が有利に ③青色申告特別控除

  • 「もう1つ青色申告のメリットをお伝えしましょう。」
  • 「まだあるんですか?良いですね~、青色申告。」
  • 「ええ、今度のは青色申告特別控除って言うんですけど、簡単に言うと65万円を所得から控除してあげましょうという制度です。」
  • 「所得から控除?どういうことですか?」
  • 「まぁ、65万円分を経費として利益から減らして良いですよ、ということです。」
  • 「え、使ってもいないのに65万円経費扱いしてくれるんですか?!」
  • 「そういうことです!」
  • 「むちゃくちゃお得じゃないですか~。ほんとう青色申告さまさまですね~。でも良いことばっかりじゃなくてデメリットありますよね?」
  • 「別にデメリットはないですよ。でも65万円の控除を受けようと思ったら、複式簿記にしたがってしっかり帳簿を付けて、確定申告書に貸借対照表をつけなければダメです。」
  • 「なるほど!じゃあきっちり経理すれば、税金も安くまるということですね!」
  • 「そういうことです!でも帳面付けは商売の基本ですから、青色申告と関係なくてもしておかなければいけないことです。」
  • 「わかりました!よ~し、きっちり経理して、税金も安くしよ~。」

個人事業主の青色申告のメリットについて、もう少しご紹介が続きます。

青色申告特別控除とは、「個人事業主の所得から65万円か10万円を控除する」という制度です。

つまり、65万円分、または10万円分を経費扱いで利益から引いてくれるのです。

65万円の控除が認められるのは、日々の取引を複式簿記で記帳し、確定申告書に損益計算書だけでなく貸借対照表も提出したときです。

それ以外のときは、10万円の控除になります。

また、不動産所得で申告する人は、事業規模によって65万円か10万円かが決まります。

具体的には、「5棟10室」という基準があります。

独立した家屋貸しなら5棟以上、部屋貸しなら10室以上で、65万円控除が認められます。

つまり、大きい規模でしていれば65万円が認められ、小さい規模であれば10万円になるのです。

白色申告には青色申告特別控除のようなものがありませんので、青色申告だけの非常に有利なメリットと言えるでしょう。

ぜひ使ってください!

11.贈与税を少しだけ支払って相続税を節税

  • 「堺先生、お世話になりました。僕、もうダメかもしれません。」
  • 「???何がです???」
  • 「昨日夢を見たんです!!オレ、死ぬみたいです!」
  • 「急に何を言うんですか~。そんなの夢じゃないですか。」
  • 「でも、むちゃくちゃリアルな夢だったんですよ!あれは正夢だね。」
  • 「そこまで言うんでしたら、わかりました。とりあえず相続税対策しましょうか。」
  • 「ええ、よろしく。今や立つ鳥後を濁さずの気持ちです。で、どうしたら良いんですか?」
  • 「ちょこちょこ贈与して、ちょこちょこ贈与税払ってください。これが節税です。」
  • 「贈与税?税金払うのが節税ですか?」
  • 「そうなんです。死んだときに財産を多くもってたら相続税がかかるんですけど、早めに財産を移して行って基礎控除より少なくなったら相続税かからないかもしれないですよ。」
  • 「は~、なるほど。でも贈与税って高いんでしょ?」
  • 「金額によりますね。120万円の贈与だったら1万円で済みますよ。でも社長、何歳くらいで死ぬ夢見たんですか?」
  • 「95歳。100歳まで生きれない夢だったんです~、ああ~~~。」
  • 「・・・・・。」

今までとは少し毛色が違う節税のご紹介です。

相続税は高い税金ですが、イメージが湧きにくく、またずっと将来のことと考えている人が多いと思います。

しかし、相続税は長い時間をかけて地道に節税しないと、急には節税できません。

その一つの節税方法が、今回ご紹介しました、「贈与税を毎年少しずつ支払いながら相続財産を減らす方法」です。

相続税は、基礎控除が「5000万+1000万×法定相続人の数」だけ認められます。

例えば、奥さんと子供二人の場合では、8000万円までの課税価格であれば相続税が発生しないのです。

ということは、毎年少しずつ資産を移動していき、数十年後に財産の合計額が8000万を下回っていれば、相続税が発生しないのです。

その代わりに、資産を移動したときに贈与税が発生します。

贈与税も決して安くない税金なのですが、贈与税の仕組みを知ってうまく用いれば、意外と安い税金で済んだりします。

贈与税の計算の仕組みは、簡単に言いますと、「(課税価格-110万円)×税率」で計算されます。

例えば、120万円の預金を贈与したときならば、
(120万円-110万)×10%=1万円 で済みます。

税率で言えば、1%に満たない税率です。

これを20年続ければ、2400万円が20万円の税金で移動するのです。

さらに、兄弟がいてそれぞれの兄弟に贈与すれば、何千万円もの相続財産を減らすことができます。

上手くいけば、相続税の対象から外れることもあるかもしれません。

相続税は毎年地道に、少しずつ贈与して節税していってください!

12.赤字会社は役員借入金を債務免除して相続税節税

  • 「堺先生、も~ダメ、今年も黒字にするの無理~。」
  • 「荒れてますね、社長。今期はそんなに厳しいですか?」
  • 「マジだめです。どうがんばっても300万ほど赤字なんです。」
  • 「ここ何年も赤字だししんどいですね~。社長もだいぶ会社にお金突っ込んでますね~。」
  • 「そうですね、会社に貸したお金は何千万かになってます。」
  • 「社長、それ、早く返してもらわないと相続税の対象になりますよ。」
  • 「ええ~~、そんなこと言っても無理です。こんなお金死ぬまで返ってこないですよ。もうあきらめてますし~。」
  • 「それだったら、債務免除しますか。相続税対策と黒字化の一挙両得になりますよ。」
  • 「債務免除?どういうことです?」
  • 「社長が会社に貸したお金を正式に諦めるということです。書面を作ってしっかり手続きしたら、借入金がなくなって、その金額が会社の利益になるんですよ。」
  • 「なるほど、それで相続税の節税と黒字の両方に役立つんですね。よっしゃ、やりましょう!」
  • 「でも社長、よく考えたら社長は借金も多いから相続税の心配いらなかったです・・・。」

相続税関係の節税ネタを、もう一つ紹介します。

中小企業では、社長が会社に対してお金を貸していることがよくあると思います。

法人からすれば、「役員借入金」というものです。

この「役員借入金」ですが、このまま置いておくと、実は相続税の相続財産に含まれてくるのです。

法人が赤字であるのにもかかわらず、相続税まで発生しては大変です。

このようなときに使える節税が、役員借入金の債務免除です。

つまり、社長が法人からお金を返してもらうことを諦めるということです。

社長個人にしてみれば相続税対策となり、法人にしてみれば債務免除益という利益が立って、少しでも黒字に近づけます。

両方にメリットが生じます。

法人からお金を返してもらえなくなるのは残念ですが、返してもらえる見込みがないのであれば「損して得取れ」です。

検討してみてください。