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起業で失敗しないための心構え、プラン、資金調達、ステップとは?

「いつかは起業して一国一城の主に…」

現在はサラリーマンとして会社に所属して働いている方も、いつかは独立起業して経営者となることを夢見ている方も多いかもしれません。

独立起業」というとなんだかハードルが高いことのように感じますが、起業すること自体はそれほど難しいことではありません。

税務署に開業届という書類を1枚出すだけで、その日からあなたは「個人事業主」として独立することもできます。

しかし、重要なのはその後。

独立した後は自力で自分の収入を稼ぎださなくてはならなければなりませんから、事業の将来を見すえ、経営者として有効な手立てをどんどん打ってい行かなくてはなりません。

今回は、近い将来に独立起業することを考えているサラリーマンの方向けに起業前に知っておくべきポイントをわかりやすく解説させていただきます。

起業の現状

「起業して3年以内に7割の会社が消えていく・・・」とうようなことを耳にしたことありませんか?下の図は中小企業白書で開示されている独立開業後の生存率グラフになります。

(出展:中小企業白書「開業年次別 経過年数生存率」)
(出展:中小企業白書)

起業の失敗の要因の2位は「マーケティングの不十分さ」です。この理由が1位と思ったかたは多いのではないでしょうか?1位は「経営方法についての知識・経験の不足」と経営力の不足が一番の失敗の要因とのことです。

それでは「経営力」とは一体何を指すのでしょうか?
会社経営に必要な全てと捉えれば、誰もが起業はじめは経営者0年目になります。

起業に必要な心構え、熱意、人脈はもちろん成功の必要条件ですが、十分条件ではありません。経営力にはマネジメントをはじめ、会計、税務、法務、労務、融資、助成金といった専門分野についての対応も求められてきます。

起業、そして会社経営をしっかりやっていこうという起業家は専門家をうまく活用をしていたりもします。

現にベンチャーサポート税理士法人で設立当初から顧問契約をしている会社の生存率は、一般の生存率と比較して高く推移していることがわかります。

起業でうまくいくために経営者にとって必要な条件は多岐にわたりますが、誰もが初めて通る起業の道、また、リソースの少ない起業時であれもこれもと全ての条件を整わせるのは困難ですが、会社にとって必要なこと、経営者にとって必要なことを学んで、バランスよく起業時の経営を行っていくことが求められるといえるでしょう。

起業前に考えておくべきこととは?

上でも少し解説させていただいたように、起業の手続き自体はそれほど難しいことではありません。

ですがその前に、「本当に自分は起業したほうが良いのか?自分が本当に求めている働き方は独立なのか?」ということについて深く考えておく必要があります。

というのも、独立した後にはあなたに対して命令をする人はいなくなるからです。

いっけん自由で楽しいようですが、あなた自身の仕事へのモチベーションが収入に直結することになりますから、これはとても厳しいことでもあります。

起業後になって「こんなはずじゃなかった…」なんてことにはならないよう、起業前の段階で以下のようなことについて深く考えておきましょう(できれば紙に書き出しておくのが良いです

起業前に考えておくべきこと
1:自分の価値観を見直す

上でも説明させていただいた通り、起業後には経営者であるあなた自身の事業への意気込みが、事業の将来そのものを決定づけることになります。

なので、あなた自身が事業に対してどのぐらい思い入れがあるのか?あるいはあなた自身が「独立起業して生きる」というライフスタイルにどれぐらい魅力を感じているのか?ということを確認しておかなくてはなりません。

はやりの言葉でいえば「あなたはあなたの事業に対してどれぐらいコミットしているのか?」をよく考えておく必要があるということですね。

具体的には、以下のような質問を自分自身に対して投げかけてみて、その答えを書き出してみることをおすすめします。

起業前の自問自答
1:起業は、現在の不満を解消するベストの方法ですか?

実際に独立起業している経営者の中には、大きく分けて2つのタイプの人がいます。

1つは「自分の経験やアイデアを事業にしたくてしょうがなかった。そのためには独立起業する必要があった」というタイプの人です。

もう1つは「サラリーマンとして仕事をするのが嫌なので、いっそ独立したい」というタイプの人です。

前者は仕事そのものが人生のモチベーションとなっているタイプの人なので、一応は起業に向く人といえます。

後者の場合は少し問題で、このタイプの方は「起業することが現在の不満を解消するベストの方法なのか?」についてもう一度検討してみる必要があります。

場合によっては転職や異動願いを出すことが解決策となることもありますし、収入が不満であるなら現在の仕事をつづけながら副業を始めてみるという選択肢も考えられます。

「起業」というアクションが、自分の現在の不満をどのように解消するのか?についてもう一度考えて紙に書き出してみましょう。

起業前の自問自答
2:家族に100%反対されたとしてもやりますか?

実際にサラリーマンを辞めて起業を経験した人の中には「家族からの反対が意外に強くて説得するのに苦労した…」という人もすくなくありません。

現在独身の方であればそれほど大きな反対を受けることはないかもしれませんが、配偶者やお子さんがすでにいる方の場合は彼らの賛成を得られるかどうかについてよく検討しておかなくてはなりません。

起業後に家族のサポートをしっかりと受けられるかどうかは、起業時に家族への配慮をどの程度したか?によることが多いです。

あなた自身が事業にコミットするとともに、あなたの家族にも事業にコミットしてもらう必要があるということですね。

起業後には、あなたは経営者として事業をコントロールしていかなくてはならなくなります。

「一緒に働く予定の従業員やパートナーがいるから大丈夫」という方もおられるかもしれませんが、事業主であるあなた(お給料を払う立場)と、お給料を受け取る立場である従業員やパートナーとでは考え方が全く異なります。

経営者としての仕事は実に孤独な仕事ですから、家族からのサポートを受けられるかどうかは非常に重要です。

起業しようと思っていることを家族に打ち明けるとき、あなたはどのような言葉で彼らを説得するでしょうか?

起業前の自問自答
3:失敗したときのあなたの反応の傾向は?

サラリーマンを辞めて、今後は経営者として事業に取り組む場合、「失敗」というものについての考え方を180度転換する必要があります。

経営者として仕事をする場合、「ほとんどは失敗に終わる新しいチャレンジの中から、うまくいくパターンを見つけていく」という発想が重要になります。

起業してすぐにうまくいくパターンをみつけたとしても、参入障壁が低い事業であればどんどん別の事業者があなたと同じことを始めることでしょう(新規開業のあなたでも取り組めた事業なのですから、当然参入障壁は低いと考えらえます)

一方で、組織の中で働くサラリーマンにとって、失敗はできるだけ少なくすることが重要です。

失敗を起こさないようにするためには、どうしてもこれまでの経験の延長線上で行動することになりがちです。

やや極端な言い方をすれば、「最近、失敗をすることはほとんどない」ということは、「最近、新しい挑戦をほとんどしていない」ということでもあるのです。

イメージとしては10個の新しいアイデアのうち、9個は失敗してもたった1個の成功パターンが見つかれば良い、という考え方で仕事をすることになります。

ポイントは「致命的なダメージとならないよう、リスクを小さく抑えた挑戦をたくさんする」ということです。

新しい施策を行う際には、その施策の失敗によって事業そのものが傾くようなことがあってはなりません。

許容できる小さな失敗をたくさん積み重ね、そのうちのたった1個から新しい成功パターンを生み出していくという発想が重要になります。

普段、あなたは失敗をしたときにどういう反応をしているでしょうか?その反応の仕方は、経営者として仕事をしていくうえで望ましいものでしょうか?

起業前の自問自答
4:あなたを外部から助けてくれる人はいますか?

上では家族のサポートを受けられるようにしておくことが経営者にとっては重要という話をさせていただきましたが、家族以外の外部の人からのサポートを受けられるかどうか?も事業の成功を左右する重要な要因となります。

取引先の人のサポートが受けられることが起業のきっかけとなることもあるでしょうし、すでに先輩として同種の事業に取り組んでいる人がアドバイスをくれるということもあるでしょう。

経営者にとって、外部からのアドバイスはとても貴重なものです。

というのも、起業した後にはあなたは独立した経営者ですから、あなたの事業の中ではあなたに命令や指示をしてくれる人は基本的に誰もいなくなるからです。

事業の命運を左右するような重要な意思決定に関しては、基本的に従業員をあてにすることはできません。

良くも悪くもあなたの事業に命懸けで取り組んでくむのは、あなただけだということをよく理解しておかなくてはなりません(従業員はあなたの事業が傾いても、別の会社で働くという選択肢があります)

起業した後に、あなたに外部からアドバイスしてくれる人はどんな人がいるでしょうか?

起業前の自問自答
5:なんでも自分でやろうとしていませんか?

起業して経営者となった後には、あなたは今以上にいろんな仕事をこなすことが必要になります。

例えば、あなたが特定の分野について専門的な知識を持っており(資格を持っているなど)、その専門知識をもとに起業したとしましょう。

その場合、当面あなたの仕事は第一にはその専門領域についてお客さんにサービスを行うことです。

しかし、経営者として仕事をする場合にはそれ以外にも副次的な仕事がどんどん舞い込んでくることを知っておかなくてはなりません。

納税のための経理や、オフィスを維持するための雑務、さらには顧客からのクレーム対応など、事業の規模が大きくなっていくほどあなたは本来の専門領域から離れた仕事もこなさなくてはならなくなります。

この時点で、あなたは自分以外の人間をスタッフとして雇用する必要が生じるわけですが、彼らがあなたの思った通りに動いてくれるかどうかはわかりません。

他人は基本的に自分の思った通りには動いてくれないものですし、従業員はあなたほどあなたの事業に対して熱心ではないのが普通です。

自分の事業に協力してくれるスタッフを雇う場合、長期的な視点に立って、彼らを教育をしていくということが必要になるのです。

この点、完璧主義な性格の人は注意しておきましょう。

起業前の自問自答
6:起業は一人でやるか?誰かと組むか?

「起業したいが、1人で会社を立ち上げるのは不安。でも2人で創業すると、いずれ意見が衝突するのではないか…」と悩んだ経験はありませんか?

起業家にとって永遠のテーマとも言えるこの悩み。

ベンチャーサポートの顧問先でも、複数のメンバーで立ち上げて、その後仲たがいして揉めるケースがとても多いです。

「一緒にやろう!」と決心した後でも、会社設立前に一人で起業する場合、二人で起業する場合のメリット・デメリットについて確認していきましょう。

1人で起業する場合のメリット・デメリット

1人で起業する場合のメリットは、何と言っても「全て自分で決められること」です。

利益配分や責任の分担等の話しにくい内容について、1人の場合は頭を悩ませなくて済みます。

逆に2人で起業する場合は、お互いに納得のいく落としどころを見つけるために、根気強く議論していく必要があります。

事業が思うようにいかなかったり、業績が落ち込んだときが最も2人の意見が対立したり、二人のいざこざが生まれるので予めそのような場合の対応も考えておいたほうがよいでしょう。

二人で起業する場合のメリット・デメリット

2人で起業する場合のメリットは、自分の不得意な分野においてパートナーに助言をしてもらえ、1人よりもアイディアが豊富になる点です。

アイディアが豊富に出れば、それを客観視することも必要になり、そんな時こそパートナーがいるメリットが大きいでしょう。

また、自分が体調を崩した時はもちろんのこと、精神面でもパートナーが大きな支えになります。逆に、1人で起業する場合は、アイディア不足に陥ったり、いざという時のサポーターがいなかったりと、個人への負担が大きくなります。

起業前に考えておくべきこと
2:事業内容を決める

ここまで「起業前にやっておくべきこと」について説明させていただきましたが、ここからは実際に事業をスタートする時点でやることについて考えていきましょう。

まず重要なことは事業内容を決めることです。

事業内容とはごく簡単にいえば「何をメシのタネにするか?」ということですが、外部からお金をもらえるレベルのサービスを継続的に提供するためには、以下のような視点が重要になります。

社会に求められているものを探す

意外におちいりがちな間違いが「自分はこの仕事が得意だから、この仕事を事業にしよう」という考え方です。

あなたがどれほど得意な仕事であったとしても、その仕事が社会から必要とされていないものであれば1円もお金を受け取ることはできません。

目安としては、「いま現在、お金を払ってもらえている仕事」をきっかけにしてみるとよいでしょう。

現在サラリーマンの方なのであれば、「自分の仕事のどの部分が直接的に所属企業の利益に貢献しているのか?」について考えてみましょう。

あなたがお金を受け取るということは、当たり前ですがあなたに対してお金を払っている人がいるということです。

誰しもお金を失いたくはありませんから、いま現在あなたに対してお金を支払ってくれている人がいるということは、あなたが提供しているサービスは社会にとって有用である可能性が高いです。

独立起業後には何よりもまず売上をあげてお金を稼ぐことが重要になります。

「将来的にはこういう事業に取り組みたい」という希望はあってもよいですが、まずは「自分はどういう分野ならお金を受け取ることができるだろうか?」について考えることが重要です。

あなたのお客さん=あなたにお金を払ってくれる人

起業した後にはあなたは自力であなたの収入を稼いでいかなくてはなりません。

そのため、何よりもまず「自分のお客さんはいったい誰なのか?」ということを明確にしておく必要があります。

あなたに対してお金を払ってくれるのはあなたのお客さんですし、収入に不満があるときに交渉する相手となるのもお客さんであるからです。

この点、サラリーマンとして仕事をしている人は一般常識的に考えると、「自分が所属している会社の顧客が自分のお客さんだ」ということになるかと思います。

しかし、事業者としての視点で考えるとこれは少し違います。

サラリーマンであるか事業者であるかにかかわらず、あなたのお客さんは「あなたに実際にお金を払ってくれる人」です。

なぜならば、あなたが受け取るお金についてあなたの交渉相手になるのは、あなたに対してお金を払っている相手だけだからです。

あなたがサラリーマンなら、あなたのお客さんは第一にあなたの勤務先の企業です。

あなたの勤務先の企業は、あなたと「会社の指示に従ってこの仕事をしてくれたら、毎月これだけのお給料を払います」という形で結んでいるはずです。

起業後には「自分のお客さんは誰なのか?自分は誰のお役に立てばよりたくさんのお金を稼げるようになるのか?」をよく考えながら事業をコントロールしていかなくてはなりませんから、この視点はより重要になります。

この点は自分の事業内容をどんなものになるか?を考える上でも重要といえます。

あなたが行うサービスに対して、実際に財布のひもをゆるめてお金を払ってくれるのは誰なのか?を見極めましょう。

起業プランは大丈夫か?

起業のアイデアが湧けば、次はアイデアの実現の準備ですが、この準備をせずに、すぐに会社設立の手続を進めてしまう方もいらっしゃいます。

準備に時間をかけすぎて起業のタイミングを逃してしまう場合もありますが、最低限の準備もせずに起業して、売上が上がらず、運転資金がまわらず、資金が底をついてしまうなんてことにならないようにしたいものです。

それにはビジネスモデルの構築とそれを実現するためのビジネスプランの作成が必要です。

ビジネスモデルは、何を(What)を行うかを明確にする戦略であり、ビジネスプランはそれをいかに(How)実現するかという戦術です。

戦略が優れていても戦術がつたなければ成功せず、戦術が優れていても戦略が間違っていれば成功しません。

それでは、ビジネスモデル構築に必要な4つのポイントをみていきましょう。

ビジネスモデル構築に必要な4つのポイント

1.対象顧客セグメントと市場規模

対象顧客を性別、年齢、地域、所得、購買行動などの切り口で市場規模とともに明確にします。

2.既存商品・サービスとの差別化(強み弱みの把握)

新たに提供する商品・サービスが既存のものよりも、どこかどう優れているか価値(強み、弱み)を明確にします。既存にないものであれば、なぜそれが必要とされているかを明確にします。

3.顧客への告知方法と販売方法、および決済・回収方法

どんな優れた商品も知って貰わなければ始まりません。どのチャネルでどう広告・宣伝し、どの販売チャネルであれば効果的に販売できるかを明確にします。併せて資金繰りに大きな影響を与える決済と回収方法を明確にしましょう。

4.資金不足対策

収益と固定費、変動費による損益構造と入出金のタイミングによるキャッシュフロー構造を明確にして黒字であっても資金不足に陥らないように検討します。資金不足が生じるようであれば資金手当を明確にします。

開業の手続きを行おう

冒頭でも少し説明させていただきましたが、独立起業を行う際の手続きそのものはそれほど難しいものではありません。

将来的には「株式会社○○」というように法人化することを考えている方も、とりあえずは個人事業主として独立することから始めるのが一般的です。

個人事業主として独立するためには、まず税務署というお役所に行って以下のような書類を提出しましょう。

1.開業届
2.青色申告の承認申請書

なお、書類の書式については税務署に備え付けてありますので、税務署には印鑑と本人確認書類(念のため)を持っていけば問題ありません。

以下、これら2種類の書類の意味について簡単に説明させていただきます。

1.開業届

あなたの住所氏名や屋号、事業内容を簡単に記した書類を提出します。

屋号についてはとりあえずあなたの個人名で代用しても問題ありませんが、屋号を登録しておくと事業の名義で銀行口座を持つことができたり、金融機関からの融資を受ける際の審査で多少有利に働いたりということがあります。

開業届を提出することによって、今後あなたは「個人事業主」として法律上扱われることになります。

2.青色申告の承認申請書

開業時に提出しておくべきもう1つの書類が、「青色申告の承認申請書」です。

こちらは必須ではないものの、この書類を提出しておくことで後ほど税務申告時に節税の効果を受けることができるようになります

なお、個人事業主として開業した場合、以降は確定申告という形で翌年2月16日~3月15日に税務申告を行う必要がありますので注意しておきましょう。

法人化を検討するタイミング

上では「まずは個人事業主として開業することを考えよう」という話をさせていただきましたが、事業がある程度の規模になってきたら、法人化することも検討しなくてはなりません。

個人事業主からステップアップして法人化をする理由としては以下の3つが考えられます。

・税金の負担を小さくするため
・金融機関や取引先からの信頼性を高めるため
・あなた自身や従業員の意識をより高めるため

以下で順番に説明させていただきます。

税金の負担を小さくするため

個人事業主として始めた事業から利益が発生した場合、その利益に対しては「所得税」という税金を支払う必要があります。

日本の所得税のシステムは「たくさん稼いでいる人ほど、高い税率で税金を計算する」というシステムになっていますので、事業から得られる利益が大きくなればなるほど、税金の負担も大きくなってしまうのです(これを「累進課税」といいます)

具体的には、所得税の税率は以下のように1年間の所得の金額によって段階的にアップすることになります。

195万円以下:5%
195万円を超~330万円以下:10%
330万円を超~695万円以下:20%
695万円を超~900万円以下:23%
900万円を超~1,800万円以下:33%
1,800万円を超~4,000万円以下:40%
4,000万円超:45%

※「収入」の金額ではなく、「所得≒利益」の金額であることに注意してください。

税率が高くなることを避けるためには、税率がアップする境目の段階で法人化を行うことが適切です。

法人化を行った後には所得税に代わって法人税を負担することになります。

法人税の税率は資本金が1億円を超えない場合は15%(利益800万円を超える部分については23.4%)ですから、事業から得られる所得金額が年間330万円を超えてきた段階で法人化を検討し始めるとよいでしょう。

なお、法人化をした後は経営者であるあなたは法人の役員という扱いになります。

実質上はオーナーであっても、税金の計算上は「法人からお給料を受け取っている」という形になり、そのお給料についてはサラリーマンと同じように所得税が課税されます。

現状の個人事業主のままで「事業に対してかかる所得税」を負担したほうが良いのか、あるいは法人化をして「事業にかかる法人税+社長個人が受け取っているお給料への所得税」をを負担したほうが良いのかは具体的な計算をしたうえで判断する必要があります。

法人化をしたほうが有利なのか、個人事業主として事業を続けたほうが有利なのかは、税理士などの専門家に相談すれば具体的にアドバイスをしてもらうことができますよ。

金融機関や取引先からの信頼性を高めるため

個人事業主として活動をしている場合、良くも悪くも「経営者と事業が一体になっている」ということができます。

やや大げさな言い方をすると「事業=経営者の人生」ということになりますが、取引先や金融機関がこのことをどのように見ているか?についてはよく検討してみる必要があります。

事業が経営者と分離していないということは、経営者に仕事のやる気がなくなってしまったとしたら事業そのものが傾いてしまう可能性が考えられます。

また、経営者が個人として購入したものの費用(例えば趣味の車)が、事業資金から支出されるという可能性もあります。

特に金融機関はこのような事態を嫌う傾向がありますから、銀行からお金を借りて事業を行っている人は法人化をして事業と経営者個人のプライベートな活動を切り離すことを検討してみるとよいでしょう。

あなた自身や従業員の意識をより高めるため

個人事業主として活動している段階では、良くも悪くも「事業は社長個人のもの」です。

そこで働く従業員としては「どれだけ頑張って働いたとしても、結局取り分は社長のものだからなあ…」という意識になりがちです。

経営者自身としても、事業を社会から認めてもらえるような大規模で信頼性の高いものにしたいと考えていることでしょう。

法人化によって経営者個人の生活と事業とを切り離すことは、経営者自身の意識を高めるとともに、従業員の事業への帰属意識をより高めることに役立ちます。

個人事業主として開業した事業がある程度軌道に乗ってきたら、さらなる飛躍のために法人化を検討することも選択肢に入れ見るとよいでしょう。

どのような形で起業するか

税務署に開業届を提出し、晴れて個人事業主となったら、いよいよあなたの事業がスタートします。

デザイン業やライター業、さらには税理士や弁護士といった士業を開業するのであれば、事業を始めるにあたって特別な資金は必要ない場合もあります。

しかし、モノを仕入れて売る商品販売業や、飲食業のようにお客さんにお店に足を運んでもらう事業を開業する際には、一定額の資金が必要になるでしょう。

一定額以上の資金が必要な事業を始める場合には、まずは「どうやってお金を集めるか」が重要な課題となります。

どうやってお金を集めるか

新規開業者の方が事業を始めるためお金を集める方法(貯金以外)としては、以下のようなものが考えられます。

・1.金融機関を利用する
・2.ごく近い関係の人から出資をつのる
・3.広く外部から出資をつのる

1.金融機関を利用する

新しく事業を開業する場合に、もっとも利用される頻度が高いのが金融機関の融資を利用する方法です。

金融機関(銀行など)は事業者に対してお金を貸し、そのお金に対して利息をとるというかたちで商売をしていますので、上手に利用することで必要な資金を短期間で集めることが可能になります。

ただし、金融機関としては貸したお金が返ってこなくては意味がありませんから、あなたが「お金を貸しても約束通りに利息を付けて全額返してくれる人か?」をきびしくチェックすることになります。

具体的には、取り組む予定の事業内容や見込まれる利益の金額、事業を運営して拡大していくための計画などを「事業計画書」という形にまとめて融資の担当者にプレゼンテーションすることが必要になります。

場合によってはあなたの個人資産(マイホームや自動車など)に担保を設定したり、あなたがお金を返せない場合に代わりに支払いを負担する保証人を設定したりといったことが必要になることもあります。

なお、開業間もない事業者の人が利用できる金融機関としては、日本政策金融公庫などの公的な金融機関の利用を検討するのが適切です(貸付金利などの融資条件が一般の銀行などと比べて極めて事業者に有利だからです)

金融機関への相談のタイミングを知っておこう

金融機関との付き合い方についても知っておく必要があります。

起業後には金融機関から融資を受けることを検討している方も多いと思いますが、金融機関に相談に行くタイミングは「早すぎても遅すぎてもいけない」というのが実際のところです。

具体的には、自己資金がまったくなく、事業計画についても不十分な状態で金融機関に融資の相談をしにいってもまず相手にしてもらえません。

一方で、事業が赤字で資金繰りにいきづまり、「もうどうしよもないから、金融機関に相談して助けてもらおう…」という状態で融資の相談に行くのはあまりにも遅いと言わざるを得ません。

金融機関としては赤字でどうしようもない会社に融資をするわけにはいきませんから、融資交渉が成功する可能性は非常に低くなります。

金融機関への相談のタイミングとしてベストなのは事業が上り調子な時です。

事業が黒字で、設備投資を行ってどんどん積極的に攻めていく、という状態であれば金融機関としてもあなたへの融資をビジネスチャンスととらえてくれる可能性が高くなります(必然的に融資の交渉もまとまりやすくなります)

金融機関に相談に行くタイミングは「事業が軌道に乗り始めた段階」と考えておきましょう。

2.ごく近い関係の人から出資をつのる

友人や家族など、あなたの人柄や行動力を信頼してお金を出してくれる人を探し、出資者として受け入れることも一つの選択肢です。

この場合のお金は上の金融機関でお金を借りる場合(融資)とは違って、「出資」という扱いになるのが一般的です。

出資とは、ごく簡単に言えば「法律上は返済義務のないお金」ということです。

出資を行う人は出資者という扱いになりますが、出資したお金は「出世払い」のような形で返済期限を明確には定めないことが普通です。

あるいは、「毎年発生した利益の○%を出資者に対して分配する」という形の約束はしたとしても、出資したお金そのものについては返済の約束をしないのが普通です(その約束をする場合、そもそも出資ではなく、融資ということになります)

出資を受けることができれば、当面はそのお金の返済については考えることなく事業に取り組むことができるということですから、事業者としては非常に有利な立場ということになります。

金融機関を利用する前に、出資を見込める人が身近にいるという場合であれば、まずはそちらから検討し見てるのが経営者として賢いやり方かもしれませんね。

ただし、「金を出す分、口も出す」ということで出資額に対して経営の持ち分を割り当てられる可能性もあります。

その場合には経営をコントロールする権利を他者ににぎられないように注意しておくのも経営者の仕事といえます(これについては次の3.も同様です)

3.広く外部から出資をつのる

最近注目されているのがこの「広く外部から出資をつのる」という方法です。

具体的にはクラウドファンディングという形でインターネットを通して事業への出資者を広くつのることで、少額の出資をたくさんの人から集めることが考えられます。

1人の人から1000万円を出資してもらうことは難しくても、1000人の人から1万円ずつを集めることはそれほど難しくなかもしれません。

上出も説明させていただいた通り、出資としてお金を集めることができれば、そのお金については通常返済義務が発生しません。

当面はお金の心配をせずに事業に取り組むことができるので、利用できる可能性があるのであればこの方法も検討してみるとよいでしょう。

なお、クラウドファンディングを利用できるウェブサイトとしてはCAMPFIRE、COUNTDOWN、Makuakeといった事業者が有名です。

細かい利用条件はそれぞれ異なりますので、詳細は各サイトの情報を参照してみてくださいね。

4.補助金や助成金の活用も検討してみる

助成金や補助金は、経済産業省、厚生労働省、農林水産省などや、その他の政府機関、地方公共団体などが200以上の助成金や補助金を出しています。

どの助成金や補助金が利用できるかを1つずつ、当該官庁のホームページで調べるのはとても非効率です。

そこで、できるだけ効率的に探すには以下の方法がお勧めです。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している中小企業の支援サイト「J-NET21」の中でサービスされているページ「資金調達ナビ(URL:http://j-net21.smrj.go.jp/raise/index.html)」を利用します。都道府県別に検索できるほか、キーワードを入力してそのキーワードに適合する助成金、補助金を検索できます。

助成金・補助金の受給に関する注意点

返済不要の魅力的な助成金・補助金ですが、ただ無条件に受給することのみに注力すると大きな失敗を招きます。

まとめ

今回は、近い将来に起業して独立することを考えている方向けに、起業前や起業直後にしっておくべき知識について解説させていただきました。

起業を目指すことになったきっかけというのは人それぞれだとは思いますが、起業家にはなによりも「収益を上げること」への執着が必要です。

「自分は利益なんかでなくても、社会のためにがんばるんだ」という気持ちが強い方もおられるかもしれませんが、ビジネスは慈善事業として行っていると継続することができません。

事業から利益が生じているということは、その事業に対してお金を払っている人がいるということでもあります。

誰しも価値のないものに大切なお金を払いたいとは考えませんから、お客さんから継続的にお金を払ってもらえている事業には社会的な価値があるのです。

起業を目指す方はまず、「自分が提供できるサービスで、お金を払ってもらえる価値のあるものは何か?」について掘り下げて考えることから始めてみることをおすすめします。

起業家は何よりもまず収益を上げることを目標にすることが、結果として社会に貢献することにつながることを理解しておきましょう。

独立して仕事をすることは、自由を得られる代わりに相応のリスクを負うことでもあります。

これから起業を目指す方は、本文で解説させていただいた内容を参考に、しっかりと心の準備を固めてみてくださいね。

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