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最終更新日:2022/9/1

インボイス制度を分かりやすく解説!令和5年10月1日からスタート

税理士 鳥川拓哉

この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • インボイス制度とはどのようなものか知ることができる
  • 適格請求書発行事業者になるための方法を知ることができる
  • インボイスの記載内容や現在の請求書との違いがわかる

私たちが生活するうえでもっともなじみのある税金は、消費税だと答える人は多いでしょう。

事業者にとっても、請求書の発行や領収書の保存など、日常的に多くの業務を行う必要があり、納税においても大きな負担となっています。

令和5年10月1日から、この消費税に関する事業者の書類の保管方法に、大きな変更が行われます。

「インボイス制度」と呼ばれるその新しい制度について、詳しく解説していきます。

すべての事業者に関係する話であるため、しっかりと理解しておきましょう。

インボイス制度とは?インボイスってなに?

令和5年10月1日から開始されるインボイス制度とは、はたしてどのような制度なのでしょうか。

そもそもインボイスとはどのようなものを言うのかも含めて、解説していきます。

インボイス制度とは?

インボイス制度とは、正式名称を「適格請求書等保存方式」と言います。

インボイス制度が始まると、取引の売り手・買い手となる事業者は、消費税の納税に関して新たな書類の保存義務が発生します。

買い手となる事業者の義務

事業者は、売り上げとして受け取った消費税から、仕入れなどで支払った消費税を差し引いて納税することが原則とされています。

そこで、事業のために仕入や経費の支払いを行った場合、支払った消費税額を明らかにする書類を保存しなければなりません。

これまでも、事業者は仕入れや経費に関する請求書等について保存しなければならないこととされていました。

ただ、インボイス制度が始まることにより、保存しなければならない書類が変更となりました。

取引の買い手となった事業者は、消費税の仕入税額控除を受けるために、インボイス(適格請求書)の交付を受けなければなりません

この時、交付を受けるインボイスについては、これまでの請求書の記載内容とは異なるため、注意が必要なのです。

買い手の事業者は、自ら仕入明細書などを作成する際に、インボイスに記載された内容にもとづいて記載しなければなりません。

そして、交付された請求書と一緒に保存しておくことで、仕入税額控除の適用を受けることができるのです。

売り手となる事業者の義務

売り手である事業者は、所定の内容を記載した書類を、買い手の取引相手から求められた場合に交付しなければなりません

また、交付したインボイスについては、その写しを売り手の事業者も保存しておく必要があります。

なお、買い手の事業者にインボイスを交付するためには、登録事業者になる必要があります。

自動的に登録事業者になるわけでなく、事前に税務署での手続きが必要となるため、忘れないようにしなければなりません。

インボイスとは?

インボイスとは、売り手の事業者から買い手の事業者に交付される書類のことです。

インボイスを交付することで、買い手の事業者が仕入税額控除の計算を行う際に、正確な税率や消費税額を把握できます

インボイスが必要となった理由は、軽減税率によって複数の税率が存在するようになったためです。

同じ事業者から仕入を行った場合でも、消費税率が8%のものと10%のものが存在するようになりました。

現在も、軽減税率の対象となっている商品については区分して計算を行い、金額が分かるようにしなければなりません。

ただし、消費税額まで区分して記載する必要はなく、正確に消費税率や消費税額を把握するのは難しかったのです。

そこで、インボイスにより、商品ごとにいずれの消費税率が適用され、消費税額はいくらになるかを明記することとしたのです。

また、インボイスには売り手となる事業者の事業者登録番号を記載しなければなりません。

事業者登録番号の記載がないと、インボイスとしての要件を満たさないため、仕入を行った事業者が仕入税額控除できません。

適格請求書発行事業者とは?


適格請求書(以下インボイスと記載します)を交付することができる事業者のことを、適格請求書発行事業者と言います。

適格請求書発行事業者にならなければ、インボイスを発行できないこととされています。

適格請求書発行事業者になると、税務署から登録番号が通知されます。

法人番号を有する課税事業者の場合は、「T+法人場号」が登録番号となります。

また、個人事業者や法人格のない社団等は、「T+13ケタの数字」が登録番号となります。

インボイスを発行する際には、必ずこの登録番号を記載しなければならないこととされているのです。

適格請求書発行事業者になるには?

それでは、インボイスを交付できる適格請求書発行事業者になるためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

その手続きの流れを確認しておきましょう。

(1)登録申請書の提出

令和3年10月1日から、最寄りの税務署で適格請求書発行事業者の登録申請の受付が始まります。

現時点ですでに国税庁から登録申請書の様式が公表されていますが、直前に改めて正式なものが公表される可能性もあります。

記載内容は、申請者の納税地や氏名・名称、法人の場合の法人番号など、難しいものではありません。

ただ、現時点で消費税の納税義務がない場合は、いつから課税事業者になるのかをこの申請書で決める必要があります。

2ページ目にも記載項目があるため、忘れないように記載しましょう。

参考:「適格請求書発行事業者の登録申請書」(国税庁)

(2)税務署による審査

登録申請書を受理した税務署は、提出された書類の審査を行います。

審査といっても、記入漏れがないか、記載内容に明らかな誤りがないかなどをチェックするものであると思われます。

(3)登録及び公表・登録簿への登載

審査の結果、問題がなければ適格請求書発行事業者に登録されます。

また、適格請求書発行事業者となったことは、国税庁のホームページで公表されます

これは、適格請求書発行事業者から仕入を行えば、仕入税額控除が適用できると事前に確認できるようにするためです。

(4)税務署からの通知

適格請求書発行事業者の登録申請が受理されたら、申請者に税務署から通知書が交付されます。

この通知書には、各事業者の登録番号が記載されているため、今後はこの番号をインボイスに記載することとなります。

適格請求書に記載する項目


適格請求書に記載しなければならない項目には、どのようなものがあるのでしょうか。

請求書を発行する事業者を例に、その記載項目を確認していきましょう。

(1)適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号

どの事業者と取引を行ったのか、そしてその事業者が適格請求書発行事業者に該当するのかを明らかにするものです。

事業者が個人事業主の場合は氏名、法人の場合はその会社名などを記載します。

また、税務署から交付された登録番号も一緒に記載しなければなりません

(2)取引年月日

いつその取引を行ったのかを明らかにするため、必ず記載しなければなりません。

この日付をもとに、どの年・事業年度の消費税の計算に含めるべきかを判定することとなります。

税務署が書面を確認する際には、重要なポイントの1つとなるものです。

(3)取引の内容

行われた取引がどのようなものであるかを記載する必要があります。

ただ、消費税の計算上重要なのは、その取引が軽減税率の対象かどうかであるため、そのことが分かるようにする必要があります。

たとえば同じお店で購入しても、お肉や野菜は軽減税率の適用対象となる一方、お酒は軽減税率の適用対象になりません。

軽減税率の対象となるものとそうでないものが混在している場合、一目で分かるように記載されている必要があるのです。

(4)税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率

軽減税率の対象となったものとそうでないものが混在している場合、請求書等の明細からそれぞれを合計しなければなりません。

そこで、適格請求書には税率ごとにその合計額を記載することとされています。

なお、対価の額については、税抜金額でも税込金額でもどちらでもいいこととされています。

また、それぞれに適用された税率を明記する必要があります。

(5)消費税額等

(4)で記載した対価の額から発生する消費税額について、それぞれの税率に対応するように記載しておきます。

なお、消費税額を計算すると円未満の端数が発生することがあります。

この端数処理については、1つの請求書に対して、税率ごとに1回行うこととされています。

購入した商品ごとに端数処理を行い、その金額を合計すると消費税額が異なる結果となるため、注意が必要です。

(6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

買い手となった事業者の氏名または名称を記載します。

なお、小売業など不特定多数の取引相手がある事業者の場合は、買い手の事業者の氏名や名称を確認することができません。

このような場合には、適格簡易請求書(レシート)の発行が認められるため、相手方の事業者の氏名や名称を記載する必要はありません。

請求書とインボイス(適格請求書)の違いを比較


インボイス制度が導入される前でも、消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、事業者は区分記載請求書の保存義務があります。

インボイス制度により導入される適格請求書と、どのような違いがあるのでしょうか。

区分記載請求書の記載項目

適格請求書の記載項目と比較しながら、現状の区分記載請求書の記載項目を確認しておきましょう。

  • (1)請求書発行事業者の氏名または名称
  • (2)取引年月日
  • (3)取引の内容(軽減対象税率の対象品目であることを示す印をつける)
  • (4)税率ごとに区分して合計した対価の額
  • (5)の消費税額については、記載する必要はありません
  • (6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

適格請求書との違い

適格請求書の記載項目については、先ほど確認しました。

現在の区分記載請求書との違いは以下の3点です。

  • (1)の事業者の氏名または名称のほか、登録番号を記載しなければならない
  • (4)の対価の額に適用された消費税率を明記しなければならない
  • (5)の税率ごとの消費税額を記載しなければならない

いずれの記載がない場合も、適格請求書として無効となってしまう可能性があるため、必ず記載漏れのないようにしましょう。

年商1000万円以下でも消費税の対象になる?

適格請求書発行事業者となるためには税務署への申請が必要ですが、もう1点確認しておかなければならないポイントがあります。

それは、適格請求書発行事業者となるためには消費税の課税事業者でなければならないことです。

これまでは、取引の内容によって消費税が課税になるかどうかを判断してきました。

相手方の事業者が免税事業者であっても、課税取引を行えば、支払った事業者は仕入税額控除を適用できたのです。

しかしインボイス制度により、その考え方は大きく変化しています。

インボイス制度の考え方は、仕入の際に支払った消費税額を売上の時に預かった消費税から控除するというものです。

そのため、課税事業者から購入しなければ、支払った金額について仕入税額控除を行うことができないのです。

これによって、仕入や外注などの取引先を適格請求書発行事業者に限定する、という企業が現われ、取引先が減る可能性があります。

これに対応するためには、基準期間の課税売上高が1000万円以下の免税事業者も、課税事業者になる必要があります。

その結果、これまでは消費税を納税する必要のなかった事業者も、売上金額の10%について消費税を計上しなければなりません。

仕入税額控除の計算もする必要があり、収益の悪化と煩雑な計算が必要になると想定されるため、注意が必要です。

また、免税事業者が適格請求書発行事業者となるには、登録申請書に加えて「消費税課税事業者選択届出書」と提出する必要があります。

手続きの際には、忘れずに提出しましょう。

制度導入までのスケジュール 事業者登録の準備は済ませておきましょう

インボイス制度は、令和5年10月1日から開始されます

令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けるには、令和5年3月31日までに登録申請書を提出しなければなりません

また、登録申請書の受付開始は令和3年10月1日となっています。

スムーズに適格請求書発行事業者となることができるよう、あらかじめ登録申請書の内容について確認しておきましょう。

まとめ

インボイス制度は、これまでの消費税の考え方が大きく変わる、大変重要な変更です。

事業者としての対応は、これまでの区分記載請求書から適格請求書への変更などにとどまるため、事前に準備しておきましょう。

ただ、これまで免税事業者であった場合は、適格請求書発行事業者になる必要があるのかどうかを考えなければなりません。

取引先からそのような要請があるかどうかを確認するとともに、課税事業者となった場合の影響について考えておきましょう。

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