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最終更新日:2020/12/25

会社にお金を残すメリットとは?【節税を考慮して役員報酬を最適化するシミュレーション結果を紹介】

この記事でわかること

  • 会社にお金を残すメリットとデメリットがわかる
  • 経営者(役員)にお金を残すメリットとデメリットがわかる
  • 会社にお金を残すときの注意点がわかる
  • 会社にお金を残しながら、役員報酬を最適化できるケースについて理解できる

会社を経営されている皆さんは、役員報酬(自身の社長給与)をどのようにして決めていますか?

経営者であれば、「会社の資金繰りの負担を少しでも軽減させ、個人の税金を節税できるようにしたい」と考えることがあるかと思いますが、それを実現させるためには役員報酬を最適化させる必要があります。

ここでいう役員報酬の最適化とは、節税を考慮したうえで、会社にお金を残しながら、経営者個人で最も手取りが増える役員報酬を設定することです。

役員報酬をご自身で決める際には、税金面だけでなく、会社の経営方針や自身のライフスタイル・家族構成など、多角的な面から総合的に判断することが重要となります。

そのためには、会社に利益余剰金などのお金を残すこと(内部留保)と、経営者個人の報酬としてお金を残すことのメリット・デメリットを把握して、両者のバランスを考えることが必要となります。

本記事では、会社にお金を残す場合と、経営者(役員)にお金を残す場合のメリット・デメリットをそれぞれ紹介したうえで、役員報酬を最適化して節税する方法を紹介します。

一つの判断材料として参考にしてみてください。

会社にお金を残すメリット

会社に利益余剰金などのお金を残すこと(いわゆる内部留保)は、会社を継続・拡大するために最も有効な手段の一つです。

会社に何か大きな変化が生じたとき、この内部留保があれば、その変化に応じた投資を迅速にかつ柔軟に対応することができます。

会社の資金繰りが困難な状況でも速やかに対処することが可能になり、会社を守る対策となります。

具体的に挙げると、会社にお金を残すメリットは主に以下の2点です。

  • ・会社の財務体質が強化され、融資が受けやすくなる
  • ・企業間同士での信頼が向上する

上記のメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。

会社の財務体質が強化され、融資が受けやすくなる

会社にお金を残す1つ目のメリットは、会社の財務体質を強化でき、その結果、金融機関からの融資を受ける際に有利になることです。

継続・拡大する会社を築くためには、会社の財務体質を強化し、しっかりとした事業基盤を作ることが大前提です。

会社にお金を多く残すこと(内部保留)によって、この財務体質の強化が実現できます。

会社の状況に応じた投資、たとえば、研究開発や新規事業の費用、設備投資、戦略投資などが必要な場合も、スムーズな資金調達が可能になるというわけです。

また、潤沢な内部保留がある企業は一般的に倒産リスクが低いため、金融機関からの信頼が厚くなり、融資を受ける際にも有利です。

ただ、会社の財務体質を強化するためには、法人税を納める必要があります。

この法人税を節税するほど、財務体質を強化することは難しくなっていきます。

節税と内部留保の関係は、基本的に相反するものなので、中長期的な視点をもって対策を行いましょう。

企業間同士での信頼が向上する

会社にお金を残す2つ目のメリットは、企業間同士の信頼性が高まることです。

内部保留は、企業間(B to B)取引における信頼性の向上を促進させる重要な役割を担っています。

一般的に、企業では長期に及ぶ取引を前提としているところが多く、そのような企業間(B to B)取引を継続していくためには、企業間において信頼関係を築いておかなくてはなりません。

特に、掛け取引や手形取引などにおいては、企業間同士の信頼関係が必要不可欠です。

自己資本が少なく経営面でリスクの高い会社よりも、十分な自己資本を蓄えて安定した経営を行っている会社の方が、信頼を得やすいというのは明らかでしょう。

企業の信頼性を高めるためには、自己資本(資本金と内部保留)を備えることが大切です。

会社にお金を残すデメリット

会社にお金を残し、内部留保を蓄えておくことは、上述したように、会社に様々なメリットをもたらします。

しかしその一方で、会社にお金を残すことによって、以下のようなデメリットも生じます。

  • ・お金の使用用途が会社にのみ限定され、自由度が低い
  • ・役員貸付金が発生する可能性がある
  • ・自社株が高騰し、事業継承の際に問題となる可能性がある

これらのデメリットについて、それぞれ詳しく解説しますので、確認していきましょう。

お金の使用用途が会社のみに限定され、自由度が低い

当然のことではありますが、会社に残すお金の使用目的は会社のみに限定されます。

つまり、会社のお金を、経営者個人が会社以外の目的で勝手に使用することはできず、お金の自由度が低いということです。

経営者個人のお金を会社が使用する(経営者個人が会社に資金を貸し付ける)ことは何も問題ありませんが、会社のお金を経営者個人が会社の目的以外に使用することはできません

仮に、会社の利益を経営者個人の私的な目的に使用した場合には、後に税務署からの調査で追徴税額が課せられます。

これは、仕事とは関係のないプライベートな支出を会社の経費として経理処理すると、その支出は経営者個人への臨時ボーナスと認定されるためです。

経営者個人へのボーナスは損金とならないので、重加算税が課されることになるのです。

その一方で、経営者の報酬から税金を差し引いた後に残った金額、すなわち給与の手取りの部分については、その使用用途が会社であれ、プライベートであれ、自由です。

役員貸付金が発生する可能性がある

会社に多くのお金を残そうとした結果、役員報酬を減らし過ぎてしまった場合を想定しましょう。

この場合に、役員報酬が減ったことにより生活費が不足したことを理由に会社からお金を借りると、役員貸付金というものが発生します。

経営者個人で会社のお金を私的な目的で使用した場合、会社から引き出したお金は決算書上、役員貸付金として扱われます。

この役員貸付金は、金融機関などで融資を受ける際にも不利となります。

金融機関からすれば、役員貸付金が多いほど、融資したお金が役員貸付金として勝手に使用されるのではないかという疑念が生じるからです。

そのため、この役員貸付金が決算書に記載されていると、この清算を融資の条件にされたり、融資の審査上その評価が大きく下がったりすることがあります。

そのうえ、役員貸付金には、毎期、その残高に応じて認定利息を計上しなくてはならず、その分だけ課税所得が嵩上げされ、法人税が課税されることになります。

融資面でも節税面でも不利となる役員貸付金が発生しないようにするためにも、十分に注意しましょう。

自社株が高騰し、事業継承の際に問題となる可能性がある

役員報酬を低く設定して、会社のお金を増やすことは、自己資本が増加に繋がり、財務強化対策として有効です。

しかし、会社に残るお金(利益剰余金など)が多い会社は自社株も同時に高くなります。

会社の利益が上がり、利益剰余金が多く自社株が高くなること自体は良いことですが、これが、事業承継を考えるタイミングになると異なってきます。

後継者はいずれ自社株を引き継ぐことになる場合に、自社株を買い取る資金があれば良いのですが、自社株が高いと自己資金で買い取ることができなくなる可能性があります

実際に、後継者が会社や金融機関から多額の借入をして、自社株を引き継ぐケースまで存在します。

しかもそのまま自社株を買い取らず放置しておくと、相続時に相続税の対象になってしまいます。

経営者(役員)にお金を残すメリット

会社にお金を残すこと(内部保留)のメリット・デメリットについて解説してきましたが、ここからは、経営者(役員)にお金を残すメリット・デメリットについて解説します。

経営者(役員)にお金を残す最大のメリットは、会社に内部留保として蓄えておくよりも、経営者個人の役員報酬として残した方が、お金の自由度が高いという点です。

上記のメリットについて、説明していきます。

会社に残すより社長に残した方がお金の自由度が高い

先ほど触れましたが、経営者個人の役員報酬として手元に残ったお金は、個人で自由に使うことができます。

経営者個人に残したお金は、使用用途に制限がなく、使い道はプライベートでも会社でも自由です。

家計簿を付けている場合を除いて、基本的に記録に残しておかなくても良いため、領収書なども必要ありません。

役員報酬であれば、私的な目的で使用しても、後々、税務署からのペナルティを受けることもありません。

このように、経営者個人のお金として持っていた方が、使える自由度が高いのです。

経営者(役員)にお金を残すデメリット

経営者(役員)にお金を残したほうが、お金の自由度が高いというメリットがあることがわかりましたが、デメリットについてはどんなものがあるのでしょうか。

ここでは、そのデメリットについて解説します。

  • ・税金や社会保険料が増加する
  • ・役員借入金が発生する可能性がある

上記のデメリットについて、それぞれ詳しく説明していきます。

税金、社会保険料が増加する

役員報酬は税法上、会社員等が受け取る給与所得と同じ扱いとなっています。

したがって、役員報酬には所得税や住民税がかかることになり、役員報酬が多くなるほど、課税される金額も高くなっていきます。

健康保険と厚生年金といった社会保険料についても、給与所得と同様、源泉徴収が行われます。

役員借入金が発生する可能性がある

会社が経営難となり、どうしてもお金が必要になった場合には、経営者個人のお金を補填することができます。

その場合は決算書上、役員借入金となります。

この役員借入金は、会社から見ると、資本金に準じたものという扱いで、前述した役員貸付金ほどの問題はありませんが、後の相続で問題となる可能性があります。

会社と経営者(役員)に残るお金を最大化させるための節税術

続いては、法人税と所得税の税率を考慮し、法人税と所得税を一番抑えられる役員報酬をシミュレーションしながら、解説したいと思います。

社長の給与を決定する際は、会社と経営者(役員)の手許に残る金額の合計で、税金が最も少なくなるように、個人の所得税等の負担率と、会社の法人税率を比較し、役員報酬(社長給与)と会社利益の税負担率を均等にすることが重要です。

このポイントを踏まえ、役員報酬を最適化し、手元に残るお金を最大にする方法を考えてみましょう。

次の表は、以下の条件を前提とし、個人の年収に対する所得税等の割合について示したものです。

  • ・扶養家族1名
  • ・社会保険加入(介護保険あり)
  • ・社会保険料控除、基礎控除以外の所得控除は10万円

<個人の年収に対する所得税等の割合>

年収社会保険料所得税住民税所得税等の割合※
360万円537,660円48,100円107,200円約19%
480万円734,802円87,000円183,500円約21%
600万円896,100円156,000円263,300円約21%
720万円1,057,398円250,000円349,200円約22%
840万円1,173,642円446,800円445,600円約24%
960万円1,229,178円655,900円548,000円約25%
1,080万円1,291,656円880,200円657,800円約26%
1,200万円1,361,076円1,130,100円770,800円約27%

※所得税等の割合については、(社会保険料+所得税+住民税)÷年収で算定しています。

そして、会社(法人)の利益に対する税金負担率を表したものが下記の表です。

<会社の利益に対する税率(中小企業)>

年間所得の金額法人税実効税率
400万円以下約21%
800万円以下約23%
800万円超えの部分約34%

上記2つの表をもとに、シミュレーションしていきます。

一つの目安としてご参照ください。

給与支給前の会社利益が1,000万円、社長給与30万円・50万円のケース

会社の利益にかかる税率は最低でも約21%であるのに対し、月給50万円までであれば所得税等の負担率は約21%です。

会社にお金を残しておいても、経営者(役員)のお金として残しても、手元に残る役員報酬(社長給与)にあまり大差はありません。

給与支給前の会社利益が1,000万円のケースで、2つのパターンを試算すると以下のようになります。

A 役員報酬月額30万円(年収360万円)、会社利益640万円とした場合

税率残るお金
会社利益640万円約23%4,928,000円
役員報酬360万円約19%2,916,000円
合計1,000万円7,844,000円

B 役員報酬月額50万円(年収600万円)、会社利益400万円とした場合

税率残るお金
会社利益400万円約21%3,160,000円
役員報酬600万円約21%4,740,000円
合計1,000万円7,900,000円

このように、残る金額の合計はA≒Bとなります。

残る金額がほとんど同じならば、お金の自由度が高い役員報酬を多く取った方が良いでしょう。

給与支給前の会社利益が2,000万円、社長給与50万円・100万円のケース

会社の利益にかかる税率は、利益が800万円を超えると、超過部分について約34%にまで税率が引きあがります。

そのため、多くの利益が出そうなときには、役員報酬(社長給与)を多くとっても、残る金額が変わらないケースがあります。

給与支給前の会社利益が2,000万円のケースで、2つのパターンを試算すると以下のようになります。

C 役員報酬月額50万円(年収600万円)、会社利益1,400万円とした場合

800万円以下の部分にかかる税率800万円超えの部分にかかる税率残るお金
会社利益1,400万円約23%約34%10,120,000円
役員報酬600万円約21%4,740,000円
合計2,000万円14,860,000円

D 役員報酬月額100万円(年収1,200万円)、会社利益800万円とした場合

800万円以下の部分にかかる税率残るお金
会社利益800万円約23%6,160,000円
役員報酬1,200万円約27%8,760,000円
合計2,000万円14,920,000円

このように、残る金額の合計はC≒Dとなります。

役員報酬を50万から100万円にしても、手元に残るお金はほとんど同じなので、100万円と設定した方が良いと言えるでしょう。

会社にお金を残すときの注意点

さて、ここからは会社に利益余剰金などのお金を残す際の注意点を挙げていきます。

実際に会社にお金を残すときには、以下の点に注意しましょう。

注意すべきポイントは主に2つです。

  • ・短期的な見通しのみで判断するのは危険
  • ・必要に応じて専門家へ相談

この後、詳しく説明します。

短期的な見通しのみで判断するのは危険

会社にお金を残す際には、短期的な見通しのみで判断することは禁物です。

今後の事業を想定した経営計画をきちんと立てたうえで、事業に必要とされる投資資金や運転資金などを把握しておかなくてはなりません。

あらかじめ、会社設立の際に用意した資本だけでは会社の運用をまかなうのが厳しくなる場合も想定して、将来を見据えた資金確保も必要となります。

新設したばかりの会社は、財務体質を強化するため、なるべく会社にお金を残した方が良いでしょう。

また、赤字が発生するような役員報酬を取ることも避けるべきです。

目先にとらわれず、赤字とならない範囲で設定するよう心がけましょう。

万が一、結果として赤字になった場合には翌期での調整が必要です。

一方、役員報酬を極端に下げると、生活費が拠出できずに役員貸付金が発生する恐れがあります。

役員貸付金が多くなると、金融機関からの印象が悪化するので、下げ過ぎは要注意です。

当面の資金繰りだけを考えるだけではなく、今後を見据えた中長期的な経営計画に基づいて、会社に残すお金と経営者(役員)の報酬を決定しましょう。

必要に応じて専門家に相談

必要があれば、経理の専門家である税理士への相談も検討しましょう。

役員報酬の決定は、一見すると複雑ではないように思われますが、所得税や法人税が関わってくるだけでなく、今後の会社経営に大きな影響を与える重要な決断です。

会社経営の重要な決断に繋がることを考えると、自身で役員報酬を決定する際、その金額が適切であるかどうか、不安になることもあるのではないでしょうか。

そのような場合には、経理の専門家である税理士にコンサルティングを依頼するのが得策かもしれません。

税理士に相談することで、事業方針や節税対策を踏まえながら、最適な役員報酬を決定することが可能となるでしょう。

まとめ

今回は、会社にお金を残す場合と、経営者(役員)にお金を残す場合のメリット・デメリットについて解説し、節税を考慮したうえで、役員報酬を最適化するシミュレーションしてきました。

会社にお金を残すこと(内部留保)は、企業活動の更なる継続と拡大を担う重要な源となっています。

そのため、役員報酬は、この内部留保とのバランスを考え、適正に設定することが非常に重要です。

節税面のみならず、自身の状況や今後の経営計画など多角的な面から総合的に判断して、検討しましょう。

役員報酬を決定する際には、ぜひ参考にしていただければと思います。

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