会社設立実績件数 22年:2085件 23年:3006件 最新ご相談件数 2024年4月:310件 | 全国22拠点スタッフ1350名が対応
23年設立実績:3006件 | 前月ご相談 :310件
MENU
close
閉じる

無料
相談

0120-755-878
9~21時/土日祝対応

メール LINE Line

無料相談はこちらから

0120-291-244

【受付】9:00-21:00(年中無休)

無料相談のお申込み

最終更新日:2022/6/6

会社を作って節税しよう!【課税所得が 330万円を超える場合はお得?】

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること

  • 会社設立によるメリット・デメリットがわかる
  • 会社設立がお得になる人の特徴についてわかる
  • 会社を設立するときの注意点について理解できる

個人事業主として開始した事業が軌道に乗ると、事業の拡大に伴い、今後の事業の展望を見据える時期に差し掛かってくることと思います。

また、節税面においても、考える機会が増えてくることでしょう。

そのような際には、会社を作って法人化(いわゆる法人成り)することも視野に入れるかと思いますが、
どのような場合に会社を作るべきなのか、会社を作ることによってどんなメリットが得られるのか、十分に考慮し検討しなくてはなりません。

今回は、会社設立による節税面のメリットを紹介したうえで、会社設立が節税に繋がる人の特徴について解説していきます。

会社を作り節税したいとお考えの方は、ぜひご一読ください。

会社を設立すると受けられる節税メリット

まず初めに、会社を設立すると受けられる節税面のメリットについて、それぞれ詳しく解説していきたいと思います。

会社設立による節税メリットについては、主に以下のものが挙げられます。

  • ・給与所得で節税できる
  • ・退職所得で節税できる
  • ・欠損金の長期繰越によって節税できる
  • ・生命保険を活用することで節税できる
  • ・消費税の納税義務免除の適用を受けられる

それぞれのメリットを確認していきましょう。

給与所得で節税できる

会社設立の1つ目の節税メリットは、給与(役員報酬)に、給与所得控除制度を適用することで、所得税を節税できる点です。

個人事業主であった場合、事業所得に所得税が課税されることになりますが、これは青色申告特別控除制度を適用しても最大55万円(電子申告または電子帳簿保存を行えば最大65 万円)の控除しか受けることができません。

しかし、会社を作って法人化した場合には、給与所得に所得税が課税されることになり、給与所得控除の適用によって55~195万円の控除を受けることが可能になります。

このように、個人事業主である場合と会社を設立した場合では、所得税控除の金額範囲に大きな差が生じてきます。

また、会社を作った場合には、共に働いている家族にも給与(役員報酬)を支払うことができるようになります。

その結果、家族で給与所得を分散することができ、加えて、給与所得控除を家族にも適用することが可能となります。

所得税は、累進課税(収入が多ければ多いほど、より高い割合で課せられる税金)であるため、給与所得を分散することで所得税率が下がって、結果的に節税に繋がるのです。

もちろん、個人事業主の場合でも、共に働いている家族が事業専従者として認められていれば、給与所得の税制を適用することもできます。

しかし、この事業専従者には様々な条件が設けられており、会社を設立した方が節税しやすいと言えるでしょう。

退職所得で節税できる

会社設立の2つ目の節税メリットは、自身や共に働いている家族に退職金を支給することで、退職所得として有利な税制が適用され、退職金にかかる税金(所得税、復興特別所得税、住民税など)を節税できる点です。

この退職金にかかる税金は通常、退職金支給額から退職所得控除を差し引いた金額の半分に対してのみ課せられ、さらには他の所得と分離して課税の計算が行われます。

そのため、前述した累進課税の税率が緩和され、税負担が軽減されるのです。

一方、個人事業主である場合には、自身に対しても、共に働いている家族に対しても、退職金は認められず、基本的に退職所得の適用がありません。

ただし、小規模企業共済制度を活用することによって、個人事業主であっても退職所得としての有利な税制の適用が可能です。(金額には制限があります。)

欠損金の長期繰越によって節税できる

3つ目のメリットは、会社を設立することで欠損金を長く繰り越すことができ、それによって法人税の節税ができるという点です。

法人税の課税ルールでは、収入より経費が多く赤字となった場合、この赤字となった部分、すなわち欠損金を、赤字が出た当該年度だけでなく、翌年度以降に繰り越すことができるようになっています。

つまり、赤字が出た翌年度以降に利益が出て黒字になっても、前年度の赤字額と損益通算したうえで、法人税の計算をして良いということになっているのです。

そのため、繰越欠損金があった場合、利益額に対して損益通算し、利益分を相殺できるので、法人税の節税が可能となります。

この欠損金の繰越期間については、個人事業主で青色申告者の場合は3年間、会社設立をしていれば最大9年間(平成30年4月1日以降に開始した事業年度において生じた繰越欠損金であれば、10年間)となっています。

生命保険を活用することで節税できる

4つ目のメリットは、生命保険を上手に活用することで法人税を節税できる点です。

個人事業主の場合、基本的に生命保険料は経費として認められませんが、法人の場合には、生命保険料は経費として計上することが認められていて、損金算入がすることができます。

生命保険料を損金として算入することによって利益を減らし、結果として法人税を節税することに繋がるのです。

この生命保険料の支払い方法には年払い方式があり、たとえ決算月に保険料を払い込んだとしても、来年度の11ヵ月分を前倒しして損金に計上することができます

そのため、生命保険を利用することで、決算日直前でも節税対策が可能です。

ただし、年払保険料を損金計上するためには、次の条件のすべてを満たしていなくてはなりません。

  • ・生命保険の契約期間に今年度が含まれていること
  • ・生命保険の契約期間が1年以内であること
  • ・生命保険料を今年度中に支払うこと
  • ・生命保険料を支払った年度に継続して損金経理(費用計上)すること

なお、生命保険の解約返戻金や死亡保険金については、損金ではなく益金として算入され、法人税が課税されることになるので注意が必要です。

消費税の納税義務免除の適用を受けることができる

5つ目のメリットは、消費税の納税義務免除の適用を受けることができるという点です。

個人事業主の場合、年間課税売上高 1,000万円を超えると、消費税の課税事業者の対象となり、2年後の申告で消費税を納めなければなりません。

しかし、課税事業者になる年の前年に会社を設立して法人成りすると、最大4年間、消費税の納税が免除されます。

会社設立直後の半年間の売上または給与などの支払い総額が 1,000万円を超えるなどの一定の要件に該当しない限り、会社設立1年目および2年目も原則として消費税の課税が免除されることになっているのです。

会社設立によるデメリット

会社を作ることによって節税面で多くのメリットを得ることができますが、その一方で、いくつかのデメリットが生じる可能性があるというのも事実です。

ここからは、会社を設立したときに生じるデメリットについて説明していきます。

会社設立によるデメリットについては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • ・赤字でも法人住民税を納めなくてはならない
  • ・社会保険に加入しなければならない
  • ・会社の設立や運営、解散に費用がかかる

それぞれのデメリットについて確認していきましょう。

赤字でも法人住民税がかかる

1つ目のデメリットは、赤字の場合でも法人住民税を収めなくてはならない点です。

法人の場合、利益とは無関係に課せられる税金があり、法人住民税がこれにあたります。

赤字となった事業年度であっても、法人の場合、法人住民税均等割が課せられることになり、最低でも7万円程度の法人税を納め続けていかなくてはなりません。

社会保険に加入しなくてはならない

2つ目のデメリットは、社会保険(厚生年金・健康保険など)に加入しなければならない点です。

基本的に、会社を作って法人化すると、その会社に属している各従業員に対して社会保険に加入する義務が発生し、会社は各従業員の社会保険料の半分を負担しなければなりません。

この社会保険のコストは、上述した法人住民税と同様に、赤字となった事業年度であっても発生し続けます。

会社の設立や運営、解散に費用がかかる

3つ目のデメリットは、会社の設立や運営、解散に費用がかかる点です。

会社を設立して法人化するためには、定款の作成、登記などが必要となり、様々な経費が発生することになります。

さらに、会社の解散時にも会社清算のための登記費用などが発生します。

会社を作って節税になる人の特徴

続いては、会社設立によるメリット・デメリットを踏まえたうえで、会社設立に向いている方の特徴やケースについて紹介します。

会社を作り法人化することが節税対となるかどうかは個々の事業形態や家族構成、法人化後の役員報酬の額になどによって左右されます。

会社を作って節税できるケースを紹介しますので、1つの目安として参考にしてください。

課税所得が 330万円を超える場合

課税所得が330万円を超えた場合は、会社を作った方が節税に繋がります。

個人事業主の場合、所得税については累進課税という方法が採用され、課税対象の金額が高くなるほど税率も上がる仕組みとなっていて、現行の所得税制では最高税率は45%となっています。

また、個人事業主にかかる税金には、所得税だけでなく住民税もあり、住民税の税率は所得の大小に関わらず10%で課されるため、所得税と合わせると最高で55%ということになります。

​​​​​​​しかし、法人である場合、法人税の税率は15%から最大で約23%であり、これに法人住民税を考慮した法人実効税率という割合でみても、最大で約34%です。

個人事業主が会社設立によって、上記の税率差による節税の恩恵を受けることができるのは、一般的に個人事業主の課税所得が 330万円を超えてくるところです。

個人事業主の課税所得が330万円を超えると、所得税と住民税の税率が 20%(所得税率 10%+住民税率 10%)から、30%(所得税率 20%+住民税率 10%)に引き上がります。

その一方で、現在の中小法人の法人税実効税率は、年間所得の金額が 400万円以下ですと約21%です。

個人の所得税率と住民税率が法人税率を上回るため、法人設立が有利となります。

個人事業主は、課税所得が330万円を超えてくる場合、会社の設立も視野に入れて今後の事業計画を考えてゆく時期でしょう。

年間所得が500万円を超える場合

年間所得が500万円を超える場合も、会社を作った方が節税に繋がりやすいと言えます。

ここで、年間の事業所得が500万円と仮定して、個人事業主と法人の場合の税金の額を概算してみましょう。

概算を行うにあたり、以下を前提とします。

  • ・個人事業税の税率は5%を適用
  • ・個人事業主の場合、青色申告特別控除55万円を適用
  • ・法人の場合、事業所得と自身の役員報酬は同額とし、法人税は均等割額のみ負担
  • ・個々の事情によって変化する個人住民税・法人住民税(法人税割)は省略

<個人事業主の場合>

【個人事業主としての所得税】
(事業所得500万円-青色申告特別控除55万円-基礎控除48万円)×所得税率20%-控除額42.75万円=36.65万円

【個人事業税】
(事業所得500万円-事業主控除290万円)×法定税率5%=10.5万円

税額合計は、36.65万円+10.5万円=47.15万円となり、約47万円…A

<法人の場合>

【役員報酬にかかる個人として負担すべき所得税】
(事業所得500万円-給与所得控除額144万円※)×所得税率20%-控除額42.75万円=28.45万円※給与所得控除額=500万円×20%+44万円=144万円【法人住民税の均等割額】
7万円 (資本金1千万円以下、従業員50人以下の場合)

税額合計は28.45万円+7万円=35.45万円となり、約35万円…B

個人事業主の場合Aと法人の場合Bを比較すると、法人の方が約12万円節税できるということになります。

このように、年間の所得が500万円を超えると、法人化した方が節税になるケースが出てくるのです。

会社を設立するときの注意点

会社の設立は、今後の事業における重要な判断となるので、十分に考慮したうえで、慎重に検討しなくてはなりません。

適切な判断を行うためにも、以下の点に注意しましょう。

  • ・中長期的な見通しを立てる
  • ・専門家に相談する

ここからは、この2つのポイントについて解説していきたいと思います。

また、相談すべき専門家は、自身や事業の状況によって、変わってきます。

各専門家の特徴についても紹介しますので、参考にしてみてください。

中長期的な見通しを立てる

会社を設立する際には、あらかじめ中長期的な事業資金計画を立てておく必要があります。

そのうえで、事業計画で想定する事業規模に対応する人員、設備に必要な投資資金や事業に必要とされる運転資金などを把握しておきましょう。

また、会社設立の際に用意した資本だけでは会社の運用をまかなうのが難しい場合を想定して、将来を見据えた資金確保の必要性も生じてきます。

当面の資金繰りだけではなく、将来に向けて、会社の展望について考え、中長期にわたる経営計画の準備をすることが非常に重要です

専門家に相談する

現在の自身の状況に照らし合わせ、必要であれば専門家への相談も検討しましょう。

会社設立の相談をする際の専門家として挙げられるのは、一般的に司法書士・行政書士・社会保険労務士・税理士ですが、それぞれ役割や得意領域が異なっています。

会社設立の手続きだけであれば司法書士、会社設立の手続きと同時に認可手続きが必要となるのであれば行政書士、会社設立の他に社会保険・厚生年金・雇用保険などの手続きを依頼したい場合は社会保険労務士、継続的に節税の相談をしたい場合は税理士に依頼することが多いようです。

各専門家の特徴について解説します。

司法書士の特徴

司法書士も最も大きな特徴は、法人の登記手続きの代行を行う点にあります。

他の専門家においては登記の手続き代行はできず、法人の登記手続き代行が可能なのは司法書士のみです。

純粋に会社の設立だけを依頼するのであれば、司法書士へ依頼すると良いかもしれません。

行政書士の特徴

建設業、運送業、飲食業などの業種は、会社の設立と同時に、一定の許認可の手続きが必要になります。

会社設立とともに許認可手続きを一緒に依頼したいといった場合は、行政書士に依頼するのがベストでしょう。

行政書士は、登記手続きは代行できないため、登記手続きは提携する司法書士に依頼するか、または自身で行う必要があります。

社会保険労務士の特徴

会社を設立し法人化した場合、社会保険・厚生年金・雇用保険などに加入しなくてはなりませんが、このような手続きも含めて会社設立を依頼できるのは、社会保険労務士です。

また、会社設立ができる社会保険労務士には、助成金の申請を得意としている場合が多く、そのような相談をしたいときにも適しています。

税理士の特徴

会社設立後も、継続的に経営面でのサポートを受けたい場合や、税務上の業務を依頼したい場合は、税理士に依頼するのが良いでしょう。

決算書や税務申告書などの作成・提出を代行だけでなく、会社設立の際に必要な定款の作成や各種届出書類の作成をサポートしてもらうことができます。

また、経営アドバイスや資金調達アドバイスなど、経理業務についての指導を受けることができる他、税理士によっては経理業務の代行も可能です。

さらには資金繰りの相談にも対応していて、事業資金の融資を受ける際のアドバイスや資料作成のサポートのみならず、助成金や補助金に関する申請についてもサポートしてもらえる場合もあります。

税理士が介入することにより、安定した経営体制を確立し、適切な節税対策が実現できるので、会社を設立した後の経理体制を万全にしたい場合には、税理士の導入が最適と言えます。

まとめ

今回は、会社設立による節税メリットを紹介したうえで、会社を作って節税できるケースについて紹介しました。

会社を設立する際にはメリットだけでなくデメリットも把握し、自身の状況に照らし合わせながら、先を見据えて慎重に行うことが大切です。

事業の今後の展望を見据えた経営計画を立て、必要があれば専門家へ相談することも検討しましょう。

ページの先頭へ戻る