会社設立実績件数 22年:2085件 23年:3006件 最新ご相談件数 2024年4月:310件 | 全国22拠点スタッフ1350名が対応
23年設立実績:3006件 | 前月ご相談 :310件
MENU
close
閉じる

無料
相談

0120-755-878
9~21時/土日祝対応

メール LINE Line

無料相談はこちらから

0120-291-244

【受付】9:00-21:00(年中無休)

無料相談のお申込み

最終更新日:2022/6/6

令和3年度税制改正大綱をわかりやすく解説!個人・法人の税はどうかわる?

税理士 鳥川拓哉

この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 令和3年度に行われる税制改正のポイントをいち早く掴める
  • 私たちの暮らしに関わる税金がどう変わっていくかがしっかり理解できる
  • 税金の改正点を個人、法人に分けて分かりやすく解説!

2020年12月10日に、令和3年度税制改正大綱が発表されました。

暮らしに関する税については、住宅ローン減税やエコカー減税の延長。

教育資金贈与制度の延長と要件の厳格化など、私たちの暮らしに直結する改正が行われています。

また、企業の経営環境を支えるために、研究開発投資に対する税額控除の上限引き上げが行われる予定です。

中小企業向けの税制も拡充され、雇用を守り、賃料を上げる企業を対象にした所得拡大促進税制の延長なども改正に含まれています。

さらに、近年のペーパーレス化を踏まえ、電子帳簿等の保存制度の手続きの簡素化も改正内容に盛り込まれました。

このように、今回の改正には、経営者の方はもちろんのこと、企業の経理担当者の方にとっても、非常に大切な改正内容が含まれています。

税制改正大綱は、130ページ以上に渡る分厚い内容となっていますが、この記事では、①暮らしに関する改正点、②個人の税に関する改正点、③法人の税に関する改正点、④新型コロナで影響があった方への改正点 の4つの分野に整理し、分かりやすく解説していきます。

この記事を読むことで、今回の改正に関する重要なポイントをいち早く掴んでいくことができます。

暮らしに関する改正点

まずは、暮らしに関する改正点について詳しくみていきましょう。

住宅ローン控除

最大40万円までを所得税から控除できる住宅ローン控除ですが、消費税が10%に改正されたタイミングで、控除期間を13年間とする特例措置が制定されました。

今回、この特例が延長されました。

居住用家屋の新築の場合は2020年10月1日から2021年9月30日、分譲住宅若しくは既存住宅を取得する場合又は増改築等をする場合は2020年12月1日から2021年11月30日の間に契約が締結されており、かつ2022年12月31日までに入居することを要件として特例が受けられます。

床面積要件も緩和されました。

改正前は、50㎡以上の床面積の住宅が対象でしたが、合計所得金額が1,000万円以下の場合は、40㎡以上50㎡未満の住宅についても対象となります。

エコカー減税・環境性能割

自動車重量税の税率が減免されるエコカー減税は、2021年4月末までとしていた適用期限が2年間延長されました。

グリーンディーゼル車については、一律免税の措置は廃止されますが、現在の燃費基準を達成している車種は、2年間に限って免税が継続されます。

現在、新車販売の約70%がエコカー減税の対象であり、内25%ほどが免税対象となっていますが、改正後も、この比率は維持出来るよう見直しが図られます。

また、自動車購入時に課される環境性能割ですが、税率を1%引き下げる軽減措置の期限が2021年3月末から9か月延長され、12月末までとなりました。

NISAの拡充

令和2年度の税制改正で新たなNISA制度が発表されましたが、令和3年度の改正では大きな改正点はなさそうです。

この機会に、新たなNISA制度について振り返っておきます。

つみたてNISAは、口座開設可能期間が2042年までに延長されました。

一般NISAについては、2階建ての制度に見直され、口座開設可能期間が2028年までとなります。

1階部分はつみたてNISAと同様の投資対象となり、1階部分の投資を行っていることを原則条件にして、2階で別枠の非課税投資が可能です。

ジュニアNISAは口座開設期間が2023年までとなり、制度は終了となります。

教育資金贈与/結婚資金贈与

祖父母などから孫などへの教育資金の援助に贈与税がかからないようにする教育資金贈与制度は、期限が2年延長され2023年3月31日までとなりましたが、要件が厳しくなりました。

改正前は、贈与者死亡前3年以内に贈与された資金の残額についてのみ相続税の対象となりましたが、改正後は、受贈者が①23歳未満である場合、②学校等に在学している場合、③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合を除き、贈与者死亡時に使い切らなかった全ての残額が相続税対象となります。

また、相続税の対象となった残額には、相続税の2割加算が適用されることになりました。

この改正は、2021年4月1日以降に取得する財産が対象です。

結婚や子育てにかかる資金を祖父母などから援助してもらう結婚資金贈与制度も、期限が2年延長され2023年3月31日までとなりましたが、要件が厳しくなりました。

贈与者死亡時に使い切らなかった残額がある場合は、改正前から相続税の対象とはなっていましたが、改正後は、相続税の2割加算も適用されることになりました。

この改正も、2021年4月1日以降に取得する財産が対象です。

セルフメディケーション

セルフメディケーションとは、指定された市販薬の購入が1世帯あたり年間1万2,000円を超えた場合に、その分が課税対象の所得から差し引かれる制度です。

適用期限が5年間延長され、2026年12月末までとなりました。

この特例の対象となる医薬品の範囲についても、見直しが行われる予定です。

また、申告の際に健康診断の受診結果などを添付することが求められていましたが、税務署から求められた場合のみ提出が必要になり、提出書類の簡素化が図られました。

個人の税に関する改正点

次は、個人の税に関する改正点について詳しくみていきましょう。

地方個人住民税の特別徴収税額の通知を電子化

感染症の拡大を踏まえ、税務手続きのデジタル化が進んでいます。

その一環として、給与所得に係る特別徴収税の通知について、納税義務者に電子的に送付する仕組みが導入されることになりました。

これにより、納付手続きがペイジー又はダイレクト納付により行うことが将来的に可能になっていきます。

退職所得課税の適正化

勤続年数5年以下の従業員に関する退職金について課税が強化されました。

退職金に対する所得税の課税は、退職所得控除額を控除した残額に2分の1をかけた金額が所得金額となり、通常の所得に比べて税金が低くなるよう設定されています。

改正前は、勤続年数が5年以下の役員の場合は、この2分の1課税の適用から外れる措置が取られていましたが、従業員については、勤続年数に関わりなく2分の1課税が適用されていました。

改正後は、勤続年数5年以下の従業員についても、退職所得控除額を控除した残額のうち、300万円を超える部分については、2分の1課税の適用外となりました。

これにより、税負担が重くなることが予想されます。

今回の改正には、短期間だけ勤務する予定の従業員がいた場合、給与を下げる代わりに、高額な退職金を支払う方法で税負担を軽減する方法を是正する目的があるものと考えられます。

2022年以降の所得税について適用されます。

社債の利子等に対する課税の見直し

同族会社が発行した社債の利子等への課税対象が広がりました。

同族会社が発行した社債の利子等については、同族株主やその親族が支払いを受ける場合には総合課税となります。

しかし、改正前は、同族会社との間に法人が介在すると、社債の利子等について総合課税ではなく分離課税となっていました。

今回の改正では、上記のケースであっても、介在する法人に50%超の支配関係を有する個人は、総合課税が課されることになったため、税負担が重くなる場合があります。

この措置は、2021年4月1日以降に支払われる社債の利子等について適用されます。

法人の税に関する改正点

次は、法人の税に関する改正点について詳しくみていきましょう。

電子帳簿等の保存制度の手続きの簡素化

今回の改正により、2022年1月1日以降、下記の3つの点で手続きが簡素化されます。

電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係

事前の承認制度が廃止されることになりました。

また、電子データでの保存が可能となる帳簿の範囲が広がりました

経理の電子化による生産性向上やペーパーレス化を一層促進するために、上記のような措置が講じられることとなりました。

スキャナ保存関係

紙の領収書等に代えてスキャンデータを保存することができる制度については、事前の承認制度が廃止され、要件も大幅緩和されます。

但し、データ改ざん等が行われた時の罰則も強化されましたので、今後、書類をスキャンして電子化を進めていく企業は、データ改ざんが起こらない仕組みづくりを進めていく必要があります。

電子取引制度

電子取引とは、例えば、請求書や契約書などの取引をメールなどのやり取りによって行う取引のことです。

電子取引を行った場合には、タイムスタンプを付して保管する必要があります。

改正前は、交付又は受領した請求書等について遅滞なくタイムスタンプを付す必要がありましたが、改正後は、付与期間が2か月となりました。

また、保存要件も、企業の規模に応じて緩和されています。

ⅮⅩ(デジタル・トランスフォーメーション)投資促進税制の創設

デジタル技術で業務やサービスを変革する企業を税制面でサポートする制度が創設されました。

業務効率化のため、クラウドサービスを利用してグループ企業内でデータを共有するための設備投資を行った企業に対し、投資額の3%を法人税額から差し引くか、減価償却費に初年度だけ投資額の30%を上乗せできます。

また、グループ企業内ではなく、他の企業とデータ共有を行うために投資した場合は、法人税額から差し引ける額が5%に増えます。

研究開発税制の見直し

企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を促進するため、自社利用ソフトウェアの取得価額を構成する試験研究に要した費用が、研究開発税制の対象に追加されることになりました。

また、一定の要件のもとで、研究開発費の一部を法人税から差し引ける上限が5%上乗せされます。

さらに、オープンイノベーション型と呼ばれる大学等と共同で研究を行う事で、研究開発費の一部について減税措置を利用できる制度がありますが、その対象範囲も拡大され、新たに大学や国立研究開発法人が設立した外部法人が対象に加わります。

活発な研究開発を促すとともに、企業のビジネスモデル変革も後押しするために、上記のような様々な観点からの見直しが行われます。

賃上げ及び投資の促進に関する税制の見直し

企業向けの賃上げ及び投資の促進に関する税制の要件が見直され、新規雇用者の給与等支給額及び教育訓練費の増加に着目した税制の見直しが行われます。

具体的には、新規雇用者に対する給与等の増加割合が2%以上であるときは、新規雇用者の給与等支給額の15%分が法人税から差し引かれます。

中小企業については、新規雇用に限らず、従業員全体の給与等の増加割合が1.5%以上であるときは、税負担が軽減されます。

また、デジタル関連などの研修や教育に関する費用を増やすことを条件に、軽減率が上乗せされます。

企業の事業や構造変革を可能にする新たな人材の獲得及び育成の強化、そして、第二の就職氷河期を造らないことも目的とし、税制の見直しが行われています。

中小企業等の法人税の軽減税率の特例を2年延長

2021年3月31日までに開始する事業年度において、中小企業者等の年間所得が800万円以下の部分は、法人税の軽減税率15%(本来は19%)が適用されることになっていました。

この特例が2年間延長され、2023年5月31日までに開始する事業年度となりました。

尚、年800万円超の金額については、法人税率23.20%のままで変更はありません。

中小企業投資促進税制の軽減税率の2年延長

中小企業投資促進税制とは、中小企業が新たな設備投資を行った場合、特別償却もしくは税金控除を利用することができる制度です。

今回、この軽減税率制度が2年延長され、2023年3月31日までの間に事業の用に供した資産に適用されることになりました。

また、事業内容や対象法人についても見直されています。

中小企業経営強化税制について

中小企業経営強化税制とは、一定の条件に基づいて新たな設備を取得し、指定された事業にそれを利用すると、100%の即時償却もしくは税金控除を選択して利用することができる制度です。

この制度の対象となる設備が一部追加されました。

適用期間も2年延長され、2023年3月31日までの間に事業の用に供した資産に適用されることになりました。

中小企業の経営資源の集約化の税制の創設

中小企業のM&Aについての税制です。

経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業は、取得する株式等の取得価額の70%の範囲内の金額を準備金として積立てたときは、損金算入が認められます。

また、上記の計画に必要な事項を記載して認定を受けた中小企業は、中小企業経営強化税制の適用が可能になるなど、複数税制の利用が可能になります。

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制を創設

2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」に向けて行われる設備投資に関して、税制支援措置が創設されます。

産業競争力強化法の改正法に基づく計画について認定を受けた法人が、脱炭素化に寄与する設備を取得した場合、その取得価額の50%の特別償却もしくはその取得価額の5%(温室効果ガス削減に著しく資するものについては10%)の税金控除を利用することができるようになります。

新型コロナで影響があった方への改正点

最後は、新型コロナで影響があった方への改正点について詳しくみていきましょう。

固定資産税

土地の固定資産税は、3年ごとに評価額が見直されますが、2021年度は3年に一度の評価替えの年にあたります。

近年の地価の上昇傾向を考慮し、2021年度に限って、新たな評価額が2020年度を上回る場合、2021年度の税額は据え置きとなります。

地価の下落によって新たな評価額が2020年度を下回った場合、2021年度の税額は、引き下げられた税額となります。

この措置は、新型コロナによる打撃を受けた企業や個人の負担を和らげるためのものであり、商業地、住宅地、農地など全ての土地が対象となります。

欠損金繰越控除の特例

欠損金繰越控除とは、足元の赤字を翌年度以降の黒字と相殺して法人税の負担を軽減することのできる制度です。

今回の改正により、相殺できる上限が50%から100%へと引き上げられ、最長で5年間適用することができるようになり、前例のない規模の拡大であるといわれています。

ただし、国の認定を受けるなどして、税負担の安易な軽減とはならないようにも規定されています。

航空機燃料税の減税

国内線の燃料には、現在、1キロリットルあたり18,000円の航空燃焼料税がかかっています。

2021年度に限って、今の半分に当たる1キロリットル当たり9,000円に引き下げる特例措置が導入されます。

コロナ禍で航空会社の経営が悪化していることを踏まえ、地域の経済活動を支える航空ネットワークの維持を目的とした措置になります。

まとめ

ここまでで、令和3年度税制改正大綱の重要ポイントについて、見てくることができました。

今回の税制改正により、企業経営から暮らしにいたるまで幅広い範囲での改正が行われる予定です。

暮らしに関する改正の中でも、特に、教育資金贈与/結婚資金贈与は、専門家への相談が欠かせない内容に変化してきました。

また、企業に関する税制制度の中には、一見すると分かりにくい複雑なものも多く含まれており、スルーしてしまう可能性もゼロではありません。

自分の会社に関係しそうな税制、自分の暮らしに直結しそうな税制については、今後も政府の発表やニュースに注意を払っていくとともに、より詳しい情報や対策について、専門家にも相談してみましょう。

ページの先頭へ戻る