最終更新日:2023/6/29
会社設立時にかかる費用「登録免許税」についてまとめました
この記事の執筆者 税理士 森健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
会社設立時にかかる費用の中で、大きなウエイトを占めるのが登録免許税です。
登録免許税は資本金によって課税額が変わりますが、多くの場合では15万円になります。
起業にあたってはじめてこの税金を知った、そんな方も少なくないと思います。今回はこの登録免許税の趣旨・課税対象・算出金額や納付方法についてまとめてみました。
登録免許税とは何か
登録免許税とは、資産や権利の移転に対して課せられる流通税の一種で、国税です(自動車重量税・不動産取得税・印紙税も流通税です)。
不動産や動産(船舶・航空機等)の登記、ダム使用権・施設運用件の登録、著作権・実用新案権・特許権・意匠権・商標等の登録、特定信書便事業・港湾運送業・石油事業者・熱供給事業者等の許可、資格の認定又は技能証明そして会社・法人の商業登記(登記)に対して課税されます。
課税額はいくらか
課税額は、設立登記法人の別に以下の通りです。株式会社よりそれ以外の法人の方が、税率・最低課税金額が低く設定されています。
設立登記法人 | 税率 | 最低課税金額 |
---|---|---|
株式会社 | 資本金の7/1000 | 15万円 |
合同会社 | 資本金の7/1000 | 6万円 |
合名会社・合資会社 | - | 6万円 |
一般社団法人・一般財団法人 | - | 6万円 |
ちなみに設立登記にあたっては、定款認証の手数料・定款発行の印紙代などがかかります。
登録免許税の納付方法
登録免許税法21条では登録免許税の納付方法について、まず納付したうえでその領収証書を申請書に添付することとされています。具体的には法務局指定の銀行口座に振り込み、ATMから出力される領収証書を設立登記申請書の指定欄に貼付します。
その他、収入印紙による納付も認められています。
インターネットバンキングから支払って納付することもできます。
ただし事前の設定が必要だったり、金額を間違った場合の修正が大変だったりします。
登録免許税が半額になるケースも
登録免許税が半額になる制度もあります。
登録免許税の減免を受けるには
産業競争力強化法は、安倍政権の肝いり政策「アベノミクス」における成長戦略の一環として、産業の新陳代謝や次世代産業の平成26年に制定されました。同法に基づき、官民ファンドの産業革新投資機構を通じて1兆円を超える資金が投入されました
受け皿は、地方自治体が推進する創業事業支援計画で、2017年末までに1379団体が認定されています。
創業事業支援計画の内容は自治体によって異なりますが、例えば横浜市の場合は「経営・財務・人材育成や販路開拓の知識を学べるセミナー等」が支援計画の認定を受けています。
この支援計画に基づき横浜市・横浜商工会議所・横浜銀行・神奈川産業振興センターなどの認定団体が創業支援セミナーやインキュベートセミナーを開催しており、このセミナーに参加することで登録免許税減免をはじめとするメリットを享受できます。
メリットを受けるには、4回以上セミナーを受けること、創業前または創業後5年以内の個人事業主であること、横浜市内で事業を営んでいることなどの条件をクリアーしなければなりません。
登録免許税の減免額
登録免許税は、いずれも半額に減免されます。具体的には以下の通りです。
設立登記法人 | 税率 | 最低課税金額 |
---|---|---|
株式会社 | 資本金の7/1000→3.5/1000に減免 | 15万円から7.5万円に減免 |
合同会社 | 資本金の7/1000→3.5/1000に減免 | 6万円から3万円に減免 |
合名会社・合資会社 | - | 6万円から3万円に減免 |
一般社団法人・一般財団法人 | 減免の対象外 |
セミナー受講によるメリットとして登録免許税減免の他に、横浜市中小企業融資制度「創業おうえん資金」での優遇制度(利率減免・融資期間前倒し)、日本政策金融公庫での優遇制度(利率減免・自己資金要件の緩和)を享受できます。
登録免許税以外に節税できるもの
実は登録免許税以外にも、節約できる税金があります。
会社を登記するときに定款印紙税が4万円ほどかかりますが、電子認証すれば0円になります。
電子で手続きするだけで4万円も安くなるため、会社設立の際には電子認証定款の利用がおすすめです。
書類・印鑑に不備がないかチェックしよう
登録免許税納するときには、準備している書類・押した印鑑が間違ってないか確認しておきましょう。
印紙の貼り間違い、割印の押し間違いなど、よくやってしまう失敗があります。
印紙や領収書を間違って貼ってしまった場合は、再度剥がして貼っても、法務局が受理しないかもしれません。
不安な方は会社設立の経験がある税理士に依頼して、事前にチェックしてもらいましょう。
もし登録免許税を支払わない場合は?
登録免許税を支払わないと、そもそも会社設立手続きができなくなります。
会社の登記手続きで、登録免許税分の収入印紙を貼っているかチェックされます。
そもそも収入印紙を貼られてないと、書類が受理されず、会社設立の手続きができません。
手続きが不安なら税理士に相談しよう
登録免許税について疑問があったり、手続きでわからないことがあったりするなら税理士への相談がおすすめです。
なぜなら税金のプロである税理士のアドバイスをもらえば、スムーズでミスのない手続きができるからです。
会社設立では登録免許税以外にも払うべき税金があり、書類の作成や法務局への手続きなどやるべきことがたくさんあります。
自分だけで手続きすれば費用も抑えられるかもしれませんが、時間や手間がかかります。
会社を運営していくうえで税金に関しての疑問は今後も出てくると思うので、最初からプロである税理士に相談した方がいいでしょう。
「税理士への依頼費用がもったいない」と思うかもしれません。
費用が気になるなら、まずは無料の相談をしてみて、税理士のアドバイスがどんな感じなのか確認してみましょう。
無料相談の範囲内でキャンセルすれば、費用もかかりません。
実際に相談してみて「この税理士に依頼したい」と思ったら正式に依頼すればいいだけです。
今は電話で気軽に相談もできるため、まずは税理士への無料相談から始めてみましょう。
まとめ
登録免許税は、法人の登記にあたり不可避的にかかる税金です。それでも、工夫次第で抑えることができます。合同会社等による会社設立や減免制度の上手な利用など、じっくりプラニングしたうえで起業をすすめましょう。