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最終更新日:2022/6/7

クリニック開業を考えている医者必見!失敗しないための鉄則と開業のスケジュール・メリット・デメリット

税理士 鳥川拓哉

この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • クリニック開業前に考えるべきことがわかる
  • 開業までのスケジュールがわかる
  • 開業のメリット・デメリットがわかる
  • クリニック開業に失敗しないための鉄則がわかる

現在、医者が開業するには良い環境かというと、そうとはいえません。

国家財政の圧迫から、診療報酬には下向きの圧力がかかっていますし、急速な少子高齢化によって、一部の都市部以外では人口は減少し続けています。

その都市部においても、クリニックは飽和状態に近くなって、患者獲得競争が激化しています。

このようなことから、クリニックの経営環境としては厳しいことが予測されます。

ですが、だからこそ十分な事業計画を策定し、クリニックの特徴づけや運営方法に工夫を凝らして、確実なクリニック開業の準備を進める必要があるといえます。

ここでは、医者がクリニックを開業するには、どんな業務が必要になるか、また開業のメリット・デメリットについて解説していきます。

さらに、クリニック開業に失敗しないための鉄則も紹介しますので、参考にしてください。

クリニック開業を志したらまず考えること

医者が開業を思い立つには、労働環境や医局、家族のことなど様々な理由がありますが、実際にクリニックを開業するためには、まずしっかりと考えるべきことがあります。

それは、「なぜ自分はクリニック開業を志すのか」という理由の明確化と、「どんなクリニックを作り上げたいか」というコンセプトづくりです。

それまでの勤務医としての仕事ではかなえられなかった夢の実現と、どのようなクリニックを目指すかをコンセプトとして具体化しておくことが大切です。

クリニックの開業準備から実際の運営まで、クリニックの経営者でもある医者は、様々な決断をしていかなければなりません。

その際、判断基準はクリニック開業を志した時に定めた「コンセプト」です。

例えば、クリニックの名称ひとつをとっても、色んな案に目移りしてしまうことでしょう。

そのような時は、コンセプトと合っているか、うまくコンセプトを表現できているかという風に考えれば判断しやすくなります。

ですから、クリニック開業を志したらまず考えることは、「コンセプト」ということになります。

開業にあたって必要な業務とは?

クリニック開業には、その準備段階から様々な業務が発生します。

すべてを医者自身が行う必要はありませんが、主な業務について紹介しましょう。

(1) 開業場所の選定

クリニックを開業する場所の立地調査、診療圏調査が必要です。

また、完全な新規設立だけではなく継承物件も検討できます。

(2) 事業計画

どのくらいお金を投資して、事業として収支は合うのかを数字で計画しましょう。

具体的には、収支計画、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー表の作成が必要です。

(3) 資金の調達

自己資金だけではなく、金融機関などからの資金調達を検討しましょう。

金融機関の融資決定までには、相談や面談が必要となります。

(4) クリニックの建物設計・内装

建物の外観、内装の設計と工事業者を選定します。

その際、設計段階で保健所への確認を行っておく必要がありますので、注意しましょう。

(5) 医療機器

新しいクリニックでは以前の勤務先と同じような環境を望みがちですが、自身のクリニックに本当に必要な医療機器なのか、事業計画を元に判断しましょう。

機器の選定、発注には、内装業者との調整やスケジュール設定が重要です。

また、実際に機器を操作する人の雇用なども考える必要があります。

(6) 人員計画と採用

必要な人員計画を策定し、求人広告、面接、採用、雇用契約を進めます。

(7) 宣伝広告

看板やサインの検討から、最近ではホームページの作成も必須となっていますので、SEO対策を含めて手配しましょう。

(8) 会計処理と税務

経営者にとって会計業務は重要です。

数字の中身は理解しておくことが必要ですが、税理士などの専門家に依頼することも可能です。

(9) 行政手続き

開設届、保険医療機関指定申請、各種の公費申請や、消防関連の手続きが必要になります。

それぞれ、手続きするタイミングが決まっていますので、注意しましょう。

開業までのおおまかなスケジュール

開業準備は、クリニック開業の約5ヵ月前から始まります。

おおまかなスケジュールは、下記の表のようになりますので、ご確認ください。

開業5ヵ月前からのおおまかなスケジュール

5ヵ月前4ヵ月前3ヵ月前2ヵ月前1ヵ月前
資金銀行融資申込口座開設
建物賃貸借契約、工事検査、電話取り付け、完成引き渡し
医療機器・備品購医療機器の選定X線量測定、医療機器導入
薬剤使用薬剤打ち合わせ、薬局開設、検査会社・医療廃棄物業者決定
人事求人広告掲載・面接研修
広告クリニック名称・ロゴマーク検討企画・実施(新聞折込など)
ホームページ企画・制作公開
公的届出保健所届出・保険医療機関指定申請保険医療機関指定
そのほか会計士などの責任者決定各種保険契約など検討開始医師会・町内会などへ挨拶回り開始内覧会・模擬演習

独立開業することのメリット

独立開業には、勤務医時代と比較して、開業のリスクを伴いますが、得るものも大きいというメリットがあります。

ここでは、独立開業についてのメリット・デメリットを紹介していきます。

まずは、メリットからです。

収入がアップする

勤務医と開業医の収入を比較すると、統計では約1.7倍の差があるといわれています。

二者の収入は、内容や性質が異なるため単純な比較はできませんが、開業医は様々な費用を経費として控除することができますので、実際の手取り額という側面でも有利ではないでしょうか。

勤務医の場合は給与所得になるため、大きな節税が難しくなります。

給与所得控除などもありますが、開業医に比べると控除できる金額は少ないでしょう。

開業医になれば設備投資などの費用は必要ですが、出費があれば経費として計上できます。

結果的に大きな節税に繋がり、自分の手元に残る金額は勤務医に比べると増えやすいでしょう。

自由に仕事ができる

医局の人間関係の煩わしさから解放され、自身の裁量で仕事ができます。

また、スケジューリングも裁量次第ですので、プライベートの時間をつくるなど、融通が利きやすくなります。

地域医療に貢献できる

親のクリニックを承継するなど、生まれ育った地域において医療を通じた社会貢献が可能です。

また地元に限らず、地方の医療に貢献することもできます。

好きな場所で仕事ができる

開業医になれば、好きな場所で仕事ができます。

勤務医の場合は、病院の都合によって勤務地が変わったりしますが、自分で開業すれば急に勤務地が変わることもありません。

自分の地元や好きなエリア・周りに競合が少ない土地などを自由に選択できます。

自分の専門分野があれば、同じ専門分野の病院がない土地は狙い目でしょう。

自分の好きな場所を開業地として、仕事できるのは大きいメリットです。

独立開業することのデメリット

続いて、考えられるデメリットについても紹介していきましょう。

経営責任が生じる

開業資金、設備投資資金、運転資金などの資金負担や調達、またクリニックの経営責任も負うこととなりますので、勤務医時代とは別の仕事が多くなります。

従業員の労務管理が必要になる

人材確保、人材教育、また従業員を発端とするトラブルの対応など、経営責任者として人を雇うことは思った以上に大変です。

代理診療などの代わりがいない

小規模なクリニックでは、体調不良や参加したい学会があっても、代わりを見つけることが難しい場合が多く、勤務医時代以上に自己管理が重要となります。

患者集めも自分で行う必要がある

クリニックを良い立地に開業すれば、それだけで患者が集まるという時代は終わりました。

患者集めも、医者自身が考えて実行しなければなりません。

クリニック開業に失敗しないための8つの鉄則

現在では、都市部ではクリニックが過剰となっている場所もあり、昔のように開業すれば成功するという状況ではなくなってきました。

失敗しない為には、計画段階から運営に至るまで、様々な知識や判断が必要となります。

ここでは、クリニック開業に際し、失敗しないための鉄則を8つ紹介していきましょう。

(1) 開業準備前にコンセプトづくり

開業準備というと、場所や物件選定から入る医者も多いのですが、失敗しない為には、まずはしっかりとしたコンセプトが重要です。

クリニック開業では、内科系が6、7割、次いで整形外科、精神科、眼科、皮膚科という診療科が多いですが、構成比の多い内科は特に競争が激しく、何らかの強みの打ち出しが重要です。

例えば、もともと内科系の医者だったとしても、「小児治療した経験がない」「最新の糖尿病治療がよくわからない」など、弱みが目立ってしまうこともありますし、外科から内科診療への転身が難しいと考える医者も多いでしょう。

しかし、例えば呼吸器外科医がクリニック開業にあたり、外科手術を把握した呼吸器内科を開設したり、消化器外科医が、内視鏡を売りに消化器内科を開設したりすることは可能です。

元々の外科の専門性を活かした内科系での診療科への転換は、良い強みとなるでしょう。

医者自身の経験から、強みや弱みを把握し、コンセプトづくりすることが重要です。

(2) 専門特化してターゲットを絞る

コンセプトづくりから続きますが、クリニックのコンセプトづくりでは、ターゲットを絞ることが重要です。

クリニックを開設する場所や、潜在的な患者数、年齢層などの調査が必要ですが、何でもできる内科クリニックよりも、専門特化したクリニックとして打ち出した方がうまくいくケースもあります。

例えば、呼吸器内科医が「内科」と「呼吸器科」を診られるクリニックを開設しようとする場合、地域に根差したクリニックであれば、需要の多い「内科」を掲げることで患者を集めることが可能です。

ですが、都市部の駅周辺のような立地で開設する場合は、ターゲットをぜんそく、COPDの患者に絞って、「呼吸器科」を強く打ち出すことによって、専門特化した医者に診てもらいたいという需要を喚起することも可能です。

ただし、開設場所や年齢層などによって、設定したコンセプトが受け入れられない場合もありますので、事前調査することが重要です。

(3) 立地だけはなく既存クリニックも調べる

高所得者が多いエリアに開設すれば、成功できるとは限りません。

このようなエリアは、クリニックが飽和状態となって、立地条件だけでは成功するのは難しくなっています。

失敗しないためには、付近の既存クリニックを調べ、どのようなコンセプトなら受け入れられるエリアなのかを考え、マーケティングする必要があります。

(4) 事業計画を策定し無駄を省く

事業計画では、開業資金だけではなく、人件費、家賃、医療器のリース料などの固定費も計算し、損益分岐点を把握することが重要です。

損益分岐点が高いまま開業すると、クリニック運営に失敗する確率が上がります。

導入を予定している医療機器は本当に必要か、看護師を雇用する必要があるか、見栄えは良いがお金がかかりすぎているクリニックになっていないか等、見直しを行いましょう。

(5) 自己資金は全額を開業資金にまわさない

極力、資金の借り入れを行いたくないという気持ちも理解できますが、自己資金を全額、開業資金につぎ込んでしまうということは避けましょう。

万一、うまくいかなった時の補てんや、自身と家族の生活費も必要となります。

自己資金ゼロでは、借入金の負担が大きくて運営が大変ですが、バランスをとって自己資金を投入するようにしましょう。

(6) 医療機器導入は人件費も考慮する

勤務医時代と同じ環境で診療したいと考える医者は多いですが、本当にその設備が必要なのかを良く検討すべきです。

例えば、CTの導入を検討する際、リース料自体も高額ですが、臨床検査技師を雇えばその人件費も必要となります。

そのような費用を払っても、それに見合う利用数があればいいですが、個人クリニックでは実際は難しく、CTの導入が赤字要因となってしまうこともあります。

(7) スタッフはパート採用も検討する

クリニックが軌道に乗るまでは、看護師も事務スタッフも常勤で雇用する必要はありません

特に開業当初は、患者数も変動が大きく、思わぬところで費用が必要になる場合もありますので、必要なスタッフ数がわかるまでは、パートなどのシフトをフレキシブルに組めるスタッフで、柔軟に対応することが必要です。

常勤で採用すると、トラブルが起きても解雇することが難しい場合があります。

採用時にパートであることを明確に提示し、1年後等、クリニックが軌道に乗った後に常勤雇用とする方法もスタッフのモチベーションアップにつながりますので、開業時はパート採用も検討しましょう。

(8) ホームページの活用と内覧会

最近は、高齢者でもクリニックのホームページを確認して、自身の症状について詳しく解説しているクリニックを選択するケースも多くなりました。

ホームページを有効活用して、クリニックの強みやコンセプトなど積極的にアピールしましょう。

また、開業前のクリニック内覧会も、宣伝方法のひとつとして定番化してきました。

近隣へのアピールの為、実施を検討してみてはいかがでしょうか。

開業地選びで失敗しないためには?

クリニック開業では、開業地選びが一番難しいかもしれません。

そこで下記では、開業地選びで失敗しないためのコツを紹介します。

希望エリアの人口・年齢構成を確認する

開業地の周辺の人口や年齢構成は、病院のお客さんの数に繋がります。

例えば高齢者向けの治療をメインにする予定なのに、子育て世代が多いエリアでは、集客が難しくなるでしょう。

開業予定のクリニックはどういう層に来てほしいのか?を明確にして、想定する患者さんが住んでいるエリアを選択してください。

また長年クリニックを運営していくなら、10年後の年齢比率も考えなくてはなりません。

クリニックを成功させるためにも、周辺の人口や年齢構成は必ず確認しておきましょう。

開業地までのアクセスがどうか?

開業地までのアクセスも重要なチェックポイントになります。

専門性の高い治療をする予定なら、広い範囲で集客する必要があるため、駅近などでアクセスのいい物件を選びましょう。

例えば車を使う人が多いエリアであれば、少しアクセスが悪くても、そこまで影響が出ないかもしれません。

車社会のエリアで、近隣住民を相手に集客したいなら、アクセスよりも駐車場の確保が必須です。

周辺環境や治療内容によって、アクセスの重要性は変わってきます。

「自分の病院はどういったお客さんに来てほしいのか?」を考えて、適したアクセスの物件を選びましょう。

医療機関が入れる物件かチェックしておく

物件によっては、医療機関が入れない場合もあります。

例えばビルやテナントの中だと、トイレ・流し台・手洗い場が十分に確保できないかもしれません。

天井の高さが思ったより低い物件だと、レントゲンといった高さの必要な医療器具が設置できない可能性もあります。

仲介会社は「医療機関も利用できます」といったとしても、自分で「適してないポイントはないか?」をチェックしておきましょう。

大きな医療器具を入れらないケースもあるため、事前にチェックは欠かせません。

まとめ

クリニックは開業さえすれば、必ず成功するという時代は終わりました。

医者がクリニックを開業するには、自身の強みと弱みを把握し、コンセプトを定めることが重要です。

クリニック開業に失敗しないための鉄則を理解し、十分に計画することが大事なポイント言えます。

これまでの医師としての経験や能力以外に、新しく経営する能力が求められますので、そのような経営的視点でも、開業を検討しましょう。

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