【vol.4 税務調査はどこを、どうやって調べるのか? 社長、経理担当者必見、税務調査で調べられやすい項目ベスト10!! 】

kuwahara

これから起業される方→会社設立の前に確認したい48の徹底検討

こんにちは元国税調査官、ベンチャーサポートの桑原です!

調査官は調査でどこに着目して調査するのでしょうか?
税務調査のデータを集計してみて、どんなところに目を付けるのかを調べてみました。
(データ集計 弊社ベンチャーサポート税理士法人)

かなりのサンプル数から抽出したデータですので、実際の調査の現状に非常に近くなっています。

1位は「売上の計上時期のずれ」

1位は「売上の計上時期のずれ」ですが、これはどういうことかと言いますと「本来は計上しておかなければいけなかった売上を、間違って翌期に計上した」ということです。

つまり期末の売上について計上のタイミングを間違ったということです。
このミスが実は非常に多いのです。
税務上は売上の計上時期は基本的には「商品を引き渡したとき」や「サービスを提供したとき」に計上しなければいけないことになっています。
つまり「入金があったとき」や「請求書を出したとき」ではないのです。この点を知らなかったり処理を間違ったりすると、即「売上計上もれ」となって追徴税額を取られるのです。

売上計上時期の調べ方

売上の計上時期の調べ方は基本的には書類の照合です。
具体的には納品書や請求書はもちろん、メール等商売の中でやり取りする最も原始的なデータを見ます。最近の税務調査では社長のメールまで見るようになってきています。
もし売上をわざと翌期に廻そうとして納品書や請求書の日付を書き換えたとしても、メールの中で日付が違っていればアウトです。

さらに、こういった「うっかりではなく故意に利益を減らす行為」は「仮装隠蔽行為」とみなされ、重加算税の対象にもなって大きな追徴の対象になります。税歴も悪くなり、次の調査までの期間は短くなるでしょう。

第2位は「交際費の中の個人経費」

2位は「交際費の中の個人経費」です。

経営者としては税金を少しでも減らしたいと考えますので、経費性のないようなものでも思わず経費へ突っ込んでみたくなるものです。
特に交際費はグレーな経費が入っている可能性が高い場所です。
そこのところは調査官も当然注目してきます。
たとえば

・  親戚の結婚祝
・  贈答品ということにしている自分用の物
・  取引先と行ったことにした家族旅行
・  接待ということにしたプライベートの食事
・  使途秘匿金

こんな感じのものは思わず入れてしまう代表的なものです。
調査官もどこの会社でもよく目にする項目なので、すぐに疑ってきます。
上手く隠したと思っても、バレバレと思っておいたほうが良いでしょう。

個人的な支出や使途秘匿金と判断された場合

個人的な支出と判断された場合には、その支出が社長への役員賞与として全額経費に計上できないばかりか、社長の役員賞与に対する源泉所得税の徴収漏れの扱いとなり、二重課税されてしまいます。
さらに交際費として課税仕入れとして消費税の控除となっていたものも、賞与扱いにより消費税の控除が認められず、その分の消費税を支払うことになります。
また使途秘匿金と判断されれば使途秘匿金課税(40%加算)の問題も生じますので、非常にリスクの高い行為といえるでしょう。

3位は「在庫計上漏れ」

3位は「在庫計上漏れ」です。

在庫商売では100%見られる項目です。期末の在庫を減らせばその分利益が減ります。
税金も少なくなります。
さらに在庫は会社が作った在庫表にしたがって作るだけなので非常に操作しやすい。
だから利益が出たときに手を染めてしまうわけですね。
税務署もそこのところはよくわかっていますので、かなり詳しく調べてきます。

どのように調べるかというと、たとえば期末1ヶ月以内くらいに仕入れた全商品が、翌期始まって1ヶ月くらいまでの間に売上に上がっているかどうかを一つずつ見ていきます。
もし売れていなければ「在庫表」に上がっているはずですよね。
そうやって調べていってモレがあれば「在庫計上もれ」ということで税金が追徴されるのです
アイテム数が多い会社などでは「サンプリング」で調査されます。ランダムに調査官が選んだ商品に絞って調査するのです。
そして漏れがあれば他の商品についても疑いが広がって徹底的に調べられることになるのです。安易に在庫を調整するのは非常に危険です。

外注費も在庫として計上

例えばサービス業の会社で外注先に仕事を依頼した場合で、その外注費を先に支払って、仕事の売上計上がされていないときは、外注費として経費に計上することはできません。
収益と費用は対応していないといけないんですね。(収益費用対応の原則)
在庫という言葉からイメージがわかりずらいかもしれませんが、決算の際は、外注費の計上に注意ましょう。

4位は「売上の計上もれ」

4位は「売上の計上もれ」です。

これは1位の「計上時期のずれ」とは違います。いわゆる「売上を抜いた」というやつです。
この調査方法は多彩です。
たとえば飲食店の税務調査などでは、調査官が事前に客のふりをして実際に飲食し、そのレシートなどを取っておくという方法があります。そして調査のときに自分のレシートに対応する売上が本当に上がっているか確認するのです。
上がっていなかったら調査官は「してやったり」と鬼の首を取ったような顔で売上計上もれを指摘してきます。ちなみに調査官が調査のために食べたお金はある程度は「調査費」という名目で税務署から支給されます。

最近は厳しくなっているようですけど・・。

熱心な調査官の証拠収集方法

そこで熱心な調査官は自腹を切ってプライベートでも調査対象の飲食店に通って証拠を集めようとします。こういった調査官が調査に来たときはなかなか大変です。
他にもいろいろな方法で売上の計上漏れがないか調査されます。
レジのレジロールを見ていき、売上が正しく上がっているかを確認する方法はスタンダードな調査方法です。宴会があれば「宴会予約帳」の名前が売上に上がっているかも見られます。あと社長個人の通帳も見ます。
売上を抜いた場合、そのお金のやり場に困ると社長は個人口座へ入金するからです。ちなみに銀行は税務署に対して情報を開示します。

個人情報保護はどこにいったのかと思うほどです(笑)。

税務署が照会を行えば、社長の了解を得ずに通帳を開示してしまいます。意外かもしれませんが、税務調査では当たり前のことです。危険を冒して売上を抜いたのに、銀行にも預けられず、会社の金庫にも入れられず。竹やぶなどから大金が見つかるニュースがありますが、案外こういったお金がやり場に困って竹やぶに隠したのかもしれませんね。

5位は「架空人件費」

5位は「架空人件費」です。

多くの人を使う事業では、架空人件費で利益を減らすことを考える社長がいます。
つまり、給料として支払ったことにして自分のお金にしたり、会計上だけを水増しして実際には支払わなかったりする方法です。飲食業や訪問介護、テレアポ営業の会社、その他アルバイトや外国人を多く使う会社や人の出入りが多い会社などが狙われやすい業種です。
特に給料を現金で渡していたり、履歴書を保存していなかったりすると疑いは濃くなります。

どのように調べられるかと言いますと

・  他の人はタイムカードがあるのに一人だけタイムカードがないような人
・  他の人は履歴書があるのに一人だけ履歴書がないような人
・  他の人は振込みで支給しているのに一人だけ現金手渡しのような人
・  社会保険に加入していない人
・  有給休暇の管理表に名前がない人
・  社長と同姓の人

などが疑われます。

架空人件費を疑われないための書類保存

余計な疑いを受けないために従業員にきちんと以下の書類をしっかりもらって保存するようにしましょう。

・履歴書
・給与台帳
・扶養控除等申告書
・タイムカード

また、現金手渡しの給与支払いの場合には、できれば振り込みで給料を支払うようにしましょう。当然のことですが、架空人件費が脱税ですから、発覚すると悪質な租税回避とみなされ、追加納付額の35%の重加算税が課されます。

6位は「外注費」

6位は「外注費」についてです。

外注費も調査では必ず見られるポイントです。見られるポイントは3つです。

・  架空の外注費がないか、外注費を水増ししていないか
・  本来は給料にしなければいけないものがないか
・  源泉所得税を取りもれている外注費がないか

1つめのポイントは「架空の外注費がないか、外注費を水増ししていないか」

外注費は目に見えないサービスの対価で、金額の設定基準も曖昧になることがあります。
たとえばコンサルタント料や紹介料という名目のものは金額の基準が不明瞭なケースが見受けられます。そこで外注費を水増しすることで税金を少なくしようという方法が昔からよくある脱税方法です。こういった架空外注費を暴くために、「反面調査」という方法がよく取られます。

「反面調査」とは取引先に行って金額が本当に正しいかを確認する調査方法です。
先方からすると「売上」になりますので、本来の金額より大きくして、税金を多く支払うようなことはしません。なので、外注費の水増しや架空外注費はかなりの確率で露見してしまうのです。

2つ目のポイントは「本来は給料にしなければいけないものがないか」

これは消費税が関わってきます。消費税の計算方法を簡単に説明すると、売上の5%は「預かっている消費税」 経費の5%は「支払った消費税」と考え、その差額を会社は納めることになります。
ですが、経費の中には消費税が含まれていないと考えるものが結構あります。 その代表格が給料です。給料をもらうときに「消費税込み」とか考えないですよね。
ところが外注費になると消費税込みで支払っていると考え、その分納める消費税が減るのです。ということは、会社としては同じ人に支払う労働の対価だとしても、「給料」ではなく「外注費」として支払いたくなりますよね。

もちろん税務署はそれを許しません。

「外注費」には条件があるのです。基本的には「業務単位でマル投げ」が外注費のイメージです。ケースバイケースですが一般的に外注費となる条件とは次のようなものです。

・指揮命令系統が会社にはない。つまり品質や納期さえ守れば、どのような方法で仕事を進めてもよいのが外注。(細かな指示が必要な場合などは進め方について指示することも可能)

・請求書がある。外注さんは社外の人なので当然請求書のやり取りがあるはず。

・会社で仕事のための備品等を支給しない。つまり会社にデスクがあったり、パソコンが与えられたりするのは社員であって、外注ではない。

・タイムカードがない。時間で縛るには社員であって、外注はあくまで業務そのものを依頼する。請求書にも「時給」等の記載があってはいけない。

・通勤手当がない。職場で仕事をするのは社員であって、外注は通勤をする必要が無いため。

こういった要件を満たすことが外注の条件になっています。
逆にこれらの条件を満たせていないと、社員扱いとなり給料と言われかねません。
最近は人材派遣などもあり、全ての要件を必ず満たさなければいけないとは言えなくなっていますが、「給料」と調査官に言われないためには注意をしたほうが良いでしょう。

3つめのポイントは「源泉所得税を取りもれている外注費がないか」

どういうことかと言いますと、「個人事業」の外注先に支払う「原稿代」「デザイン代」などは、支払う側であらかじめ外注費の10%を天引きしておかなければいけないのです。

他にもいろいろな業種が該当します。
税理士や弁護士などの士業もそうですし、外部の講師に支払う講演料なども対象です。
ちなみに余談ですが、おもしろいところでは、プロ野球選手やプロサッカー選手、ホステスさん、俳優さん、コメディアンなども対象になっています。
ただし「個人事業」の外注先が対象なので「法人」の外注先は源泉所得税を天引きする必要はありません。
このポイントはご存知ない方も多い点で、税務署も取り漏れが多発していることを知っています。わからないときは税理士や税務署に相談して、取りもれないように注意してください。

7位は「関連会社との取引が適正かどうか」

会社を複数持っておられる社長が世の中結構多いです。
それが業務上の必要性に応じて会社を複数もっているのであれば問題ありません。
ですが消費税を逃れるためや、利益を別の会社に逃すために作ったのであれば非常に危険です。

消費税の視点から考える

消費税の視点から考えてみましょう。

消費税は会社を作って原則2期の間は免税(※)ですが、3期目から課税されます。
(※特定期間における課税売上高1000万円超を除く)
正直、消費税の納付は中小企業にとってはかなりの負担です。そこで、2期が終わったら新しい会社を作ってもう一度免税を受けようとする人がいます。これは非常に危険です。たくさんの否認事例があるからです。

仮に役員や株主など形式的に別の人を用意できたとしても、実質的には同じ会社とみなされれば税務署は法律的にOKだったとしても、覆して課税してきます。(行為計算の否認と言います)でも、少し冷静に考えれば、こんな単純な方法が通用しないのはわかるはずです。

もし通用していれば、日本中の社長が消費税逃れのために2年ごとに会社を作って、日本では誰も消費税を納めなくなっているはずですよね。

関連会社間の利益供与

また関連会社に外注費などの名目で利益を流すのも古典的で危険な方法です。会社が複数あれば、会社間で利益を流し合うことで税金を減らすことができてしまいます。税務署は、もちろんそういった行為を許しません。
「外注費に実体があるか」「金額が世間相場として高くないか」「資本関係のない外注先があればそこと比較して金額が高すぎないか」などの視点で調査されます。

関係会社間の取引は、否認されると巨額の追徴になるため慎重に行わなければいけません。

8位は「役員退職金」

役員退職金はめったに発生するものではありませんが、金額が大きくなることから税務調査でも重点的に調べられます。

節税できる役員退職金

役員退職金を支払えば、法人税の節税、役員報酬よりも低い所得税での個人所得になるので、なるべく退職金額を多く支払いたいと考えるケースが少なくありません。

(参考)退職所得の計算法

退職所得の金額は下記のように計算します。
(収入金額-退職所得控除額※)×1/2=退職所得の金額

※退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額は下記のように計算します。

勤続年数20年以下 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)
勤続年数20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

基本的には「金額が大きすぎないか」が焦点となってきます。

適正な役員退職金の計算方法

退職金の金額は税務署が上限を下記のように規定しています。
退職金の上限=最終報酬月額×在任期間×功績倍率

ここで問題となるのは「最終報酬月額」と「功績倍率」です。最終報酬月額は退職金額を多く計算するために意図的に報酬額を上げたかどうかが確認されます。

また、功績倍率についてみていくと
功績倍率の相場は
・ 社長・・・・・・3.0倍
・ 専務・・・・・・2.5倍
・ 平取締役・・2.0倍

といわれています。

税務上、相場を超えた過大な退職金はその超過額を損金不算入として否認されてしまいます。功績倍率を何倍にするかによって退職金の計算額が大幅に変わってくるので、税務署から最も調べられるところです。
業種、規模、肩書によって功績倍率は変わるので、同じような会社の実例やデータ、書籍を参考にしましょう。

ケースバイケースで変わってきますので、やはり税理士としっかり相談した上で決定しないと危険です。

9位は「前年から大きく変わった固定費」

9位は「前年から大きく金額の変わった固定費」についてです。

固定費は事業の形態が大きく変化しなければ、基本的には例年変動が少ないはずです。
その固定費が大きく変動すれば調査官も、「なぜかな?何かあるな。」と思うのです。まっとうな理由があって固定費が変動しているのであれば、問題ありません。
新規事業や新規出店での経費、戦略的な経費が増えたりするのは事業なので当然のものです。しかし、無理な経費を突っ込んでいるとすぐバレてしまいます。
たとえば家族旅行を旅費交通費に紛れ込ましたり、家の修繕費を経費に入れたりすると、すぐ「異常値」として目を付けられるのです。税務署は調査前に3年間の決算書を横並びにして比較してから来ます。

極端な増減のある科目については調査官にあらかじめ聞かれたりしますので、説明がうまくつかにとその科目についての詳細な調査が始まります。また、同業種、同規模等の会社データをから調査が始まる前からアタリをつけてくることも多いので注意してください。

最後の10位は「社屋や車両の購入などの大きな金額の買い物について」

最後の10位は「社屋や車両の購入などの大きな金額の買い物について」です。

これも9位と同じ理由で、決算書3年分を並べると金額が大きいため目立つのです。
調査官が見るポイントとしては、

・  経費に入れられないものが入っていないか、
・  耐用年数が間違っていないか、
・  事業供用日がまちがっていないか

などを見ます。

たとえば土地などを購入すると、買い手は売り手に対して固定資産税の日割り計算した金額を払うことが多いです。ですが、これは「固定資産税」として経費に落とすことができず、「土地」として取得価額にいれなければいけません。
「固定資産税分」を売り手に支払っているだけであって、市町村に対して固定資産税を納めているわけではないからです。
こういった会計上の処理が正しいか否かの確認以外に、社用車が本当はプライベート用でないかなども見られます。車が趣味の社長は注意しなければいけない点です。金額よりも車種が問題になりますので、ベンツやクラウンなどであれば問題ありませんが、スポーツカーやRV仕様の車は危険と思ってください。

さてこの章では税務調査でよく見られる点について、お話してきました。税務調査のイメージを掴むと同時に、自分の会社ではリスクがないかも合わせてご確認ください。

税務調査パーフェクトガイドはこちら

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