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最終更新日:2024/2/6

節税対策Vol.24 お金は出ていくが自分の会社を守るための保守的節税「 小規模企業共済に加入する」

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

お金は出ていくが自分の会社を守るための保守的節税
「 小規模企業共済に加入する」

ここからは会社を守るための節税の話です。
Vol.6で役員報酬の額を最適にすることが節税の王道であることをお伝えしました。
確かに会社に利益が出そうなときは役員報酬を上げることが基本です。でも役員報酬を上げちゃうと個人の税金も増えちゃいますよね。
あちらを立てればこちらが立たず・・。

そこで役に立つのがこの「小規模企業共済」です!
「小規模企業共済」を簡単に説明しますと、「社長自身の退職金の積み立て」ということですもう少し詳しく説明しますね。
まず毎月一定の掛け金を国が運営する「中小企業基盤整備機構」っていうところに払います。払った掛け金は個人の税金を計算するときに所得から控除できます。
それも年間最大84万円までなら全額です!
(ちなみに掛け金は月額最低1,000 円~70,000 円まで選べるようになっています)

一般の生命保険がいくら払っても4万円しか控除できないのと比べると、すごく有利なものですよね。
そして将来自分が社長を辞めるときには「払った金額+α」が返ってくる。この返って来た金額は「退職金」として課税されるので税金が安くなるのです。

例えば月額100 万円=年間1,200 万円の役員報酬を取っている社長さんが20 年間払った例を考えて見ましょう。年間84万円の小規模企業共済に入れば個人にかかる税金は毎年約20 万円安くなります。
これが20年間続けば20 万円×20 年=400 万円。20 年後に社長を辞めたときには約1,850万円が返ってくるのですが、この1,850万円に対する税金は約60万円。
なんと400 万円-60 万円=360 万円もの節税ができるのです!

節税ができて老後資金も確保できる、この”小規模企業共済”についてみていきましょう。

この記事でわかること

  • 小規模企業共済制度とはなにか
  • 小規模企業共済制度のメリット
  • 小規模企業共済制度のデメリット
  • 小規模企業共済制度の要件および加入手続き
  • 小規模企業共済制度の解約手続き

小規模事業者について、廃業後であったり役員を退任したりした後の生活保障のための制度として、小規模企業共済制度という制度が設けられています。

そこで本稿では、この制度について具体的にどのような制度なのかを確認するとともに、その加入手続き等についても書いていきたいと思います。

小規模企業共済とは

小規模企業共済制度とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度で、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

小規模企業の経営者などは、自ら退職金を積み立てておくことが困難なので、そのような経営者にも退職金を提供できるようにするために設けられた共済制度です。

これによって、中小企業の経営者なども、将来、リタイヤしたり事業を廃止したりした場合でも、一定の退職金を受け取ることができるようになります。

小規模企業共済のメリット5つ

最大、掛け金の120%が戻ってくる

掛け金の納付期間にもよりますが、将来的に、解約時には最大で実際に掛け金として納付した総額の120%相当額が戻ってきます。

これによって、将来、事業を廃止したり、小規模企業の経営者がリタイヤしたりして退職した場合における収入の不安を解消することが可能となります。

しかも、その共済金については、一括で受け取ることも、分割で受け取ることも可能とされているため、その人の都合に合わせて受け取ることができるのです。

掛け金が経費として認められる

小規模共済制度の掛け金は、その全額が小規模企業共済等掛け金控除として、課税対象となる所得から控除することが認められています。

また、1年以内の前掛け金も同様に控除の対象となります。

その結果、節税にもつながるというメリットがあるのです。

ところで、これに関して、掛け金を会社の損金に計上できるという説明をしているものがありますが、正式にはこれはあくまでも個人の所得から控除できるに過ぎません。

ただ、この掛け金相当額を役員報酬に上乗せして、この掛け金を含めた役員報酬額を経費として計上することで、実質的に掛け金を経費として処理することができることになるのです。

共済による支払いについても税金が軽減される

個人事業者が廃業したり、小規模企業の経営者などが会社を解散したり、役員を退任したような場合には、それまでの掛け金と納付年数に応じて算出され共済金(解約手当金)が支払われることになります。

この場合、共済金には税金が課されることになりますが、その場合でも、これは退職所得として扱われるため、通常の事業所得などとは異なり、税金が大幅に軽減されるのです。

具体的には、退職所得の場合には、事業所得にはない一定の控除額(勤続年数が20年以下の場合は勤続年数に40万円を乗じた金額、勤続年数が20年を超える場合には800万円+70万円×(勤続年数−20年)で計算した金額が控除されます)が認められています。

さらに、退職金額(共済金額)からこの控除額を引いた額のさらに2分の1が所得金額とされます。

掛け金は事業者が自由に設定できる

掛金月額は、本人が1,000円から7万円までの間で、500円単位で自由に設定可能です。

したがって、事業規模や、収入額に応じて、無理のない範囲で掛け金を設定することが可能となり、経営を圧迫することがありません。

また、その金額の変更も500円単位で増減できるため、事業規模の拡大等に応じて当初の掛け金を増額変更したり、業績が悪化したりした場合には減額変更することも可能です。

さらに、掛け金を前納することも認められており、その場合には一定割合の前納減額金を受け取ることもできます。

このように、掛け金についてはかなり自由度が広く、事業等の状況に応じて設定・変更することが可能なのです。

契約者貸付制度の存在

共済の加入者については、契約者貸付制度が設けられており、もしものときに、事業資金を借り入れすることができます。

借入限度額は、家家金の7割から9割(掛金納付月数によって決定されます)で、10万円以上2,000万円内の範囲で、5万円単位で借り入れすることが可能となっています。

借入期間については、100万円以下の場合には6カ月または12カ月、300万円以下の場合はこれに24カ月が加わり、最大で60カ月まで設定することができます。

返済方法については、借入期間が12カ月までのときは期限一括返還、借入期間が12カ月を超える場合には6カ月後との元金均等割賦償還となっています。

なお、利率は年1.5%と非常に低く設定されており、事業者にとっては万一の場合に非常に有効な資金調達手段になっていると言えるでしょう。

小規模企業共済のデメリット2つ

小規模企業共済制度については上記のようにメリットが数多くありますが、以下の様なデメリットもありますので、その点は認識しておく必要があります。

加入期間が短い場合には、元本割れが請じる可能性がある

掛金納付月数が6カ月未満の場合には、そもそも、共済金を受け取ることができません。

また、掛金納付月数が12カ月未満の場合も、任意解約した場合には解約手当金を受け取ることができません。

さらに、掛金納付月数が240カ月(20年)未満で任意解約した場合には、支払われる解約手当金が掛け金の額を下回る場合があります。

掛金納付月数自体は240カ月を超える場合であっても、途中で掛け金を増減した場合には、任意解約した場合の解約手当金が、掛け金の合計額を下回る場合がありますので、注意が必要です。

共済金には税金が課されます

すでに、上記のメリットの箇所で述べたとおり、共済金には、通常の事業所得からは軽減されているとはいえ、一定の税金が課されることになります。

したがって、小規模企業共済の制度は、税金を完全に免れることできる制度ではなく、あくまでも、税金を軽減し、または、先延ばしにできる制度に留まるということを認識しておく必要があります。

小規模企業共済への加入方法

小規模企業共済制度に加入するには、以下のいずれかの要件に該当する必要があります。

  • ①建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20名以下の個人事業主または会社等の役員
  • ②商業(卸売行・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時自使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
  • ③事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  • ④常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  • ⑤常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
  • ⑥上記①と②に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

参考:小規模企業共済(中小機構)「小規模企業共済 加入資格」

加入を検討する際の注意事項

上記で見たとおり、加入要件としては、従業員の人数の要件が定められていて、事業内容によっては5人まで、最大でも20人までとなっています。

そのため、事業規模が相応に大きくなると、小規模共催に加入することができないということになってしまいます。

一方で、上記要件を満たした上で、小規模企業共済に加入した後に、事業規模が拡大して従業員数がこれらの要件に定める人数を超えた場合については、加盟を継続することが認められています。

つまり、上記の要件はあくまでも「加盟時」における要件であって、加盟継続の要件ではないということになります。

申込窓口

小規模企業共済の加入手続きは中小機構が業務委託契約を結んでいる団体、または、金融機関の窓口で行うことになります。

具体的な手続きは窓口によって異なりますので、確認する必要があります。

なお、郵送による申込等は受け付けていないということですので、注意してください

委託団体としては、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、事業協同組合、青色申告会、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、アクサ生命保険株式会社、となっています。

また、金融機関としては、都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、商工組合中央金庫、農業協同組合、となっています。

具体的には以下のURLで確認してみてください。

参考:小規模企業共済(中小機構)「小規模企業共済 加入窓口」

必要書類

必要書類は以下のとおりです。

  • ・契約申込書
  • ・預金口座振替申出書
  • ・添付資料として、以下の書類
  • ・個人事業主の場合
  • ・確定申告書の控え
  • ・役員として登記されていることが確認できる3カ月以内の登記事項証明書(会社の役員の場合)

ただし、まだ確定申告をしていない場合には開業届の控えの提出を求められます。

申込後の流れ

上記の申込窓口で加盟の申込をすると、約40日後に、中小機構から「小規模企業共済手帳」と「小規模企業共済制度加入者のしおりおよび約款」が郵送されてきます。

小規模企業共済を解約したいと思ったら?

最後に、小規模企業共済に加入した後で、解約したいとなった場合にどのような手続きが必要となるかについても確認しておきましょう。

手続きとしては、所定の「共済金等請求書」「退職所得申告書」「預金口座振替解約申出書件委託団体払解約申出書」に必要事項を記入するとともに、「共済契約締結証書」、および、マイナンバーを確認できる書類(ただし、解約手当金の額が100万円以下の場合は不要)を中小機構宛に郵送します。

およそ、3週間くらいで、指定の預金口座に解約手当金が振り込まれる流れになります。

まとめ

以上、小規模企業共済の制度について見てきました。

この制度については、確かにデメリットもありますが、それを上回るメリットがあるため、よほど短期で事業を辞める可能性がある場合を除き、加入することに大きなメリットがあると言えるでしょう。

その際、要件のところでも触れたとおり、従業員数の要件があるため、事業が軌道に乗ってから加入しようという形ではなく、早期に加入することがいいと言えるでしょう。

また、実際の共済金等についても掛金納付期間の長短が金額に影響することからも、早期に加入して、掛金納付期間を可能な限り長期とすることが、この制度を利用する上では重要なポイントになります。

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