会社設立を検討し始めると、会社設立の手続きを自分でやるべきか?専門家に依頼したほうが得か?この判断に迷うことになります。
多くの人は「かかる費用」と「時間」で検討されるでしょう。
会社設立時の手続きのポイントは「どこまでを自分でやるのか?」になります。
会社設立時には「定款」とよばれる会社のルールのようなものを作成しますが、これを電子作成するか否か、で手間や費用感が変わってきます。
また、そもそも手続き自体を「全て自分で行う」もしくは「全て専門家に依頼する」の2つの選択肢もあります。
今回は王道パターンといわれる4つの手続き方法を解説しながら、実際にかかる費用・時間について説明していきます。
最も費用がかかると予想される「全て専門家に依頼する」という選択肢は、会社設立後の税理士との顧問契約を条件とすることで安くおさえることができますので、税理士の顧問契約を考えている方や、手間を省きながら安く手続きしたい方は参考にしてみてください。
会社設立を検討するにあたって、知っておきたい用語を以下にまとめました。
用語 | 概要 |
---|---|
定款認証印紙代 | 紙の定款作成時に必要な収入印紙代 |
定款認証手数料 | 公証人が定款認証を行う手数料 |
登録免許税 | 登録免許税法に基づいて、登記などに課せられる税金 |
電子定款 | 定款を電子データにしたもの |
税理士の顧問契約 | 税理士の知識を事業運営に活用するために締結する契約(月額・タイムチャージなど) |
これらの用語は、会社設立手続きの手間と費用を比較する上で重要な用語となるため、概要をおさえた上で以下の記事を読み進めてください。
特に「電子定款」と「税理士の顧問契約」については、代行費用を安くおさえるためのキーワードとなりますので、比較ポイントの1つにすると良いでしょう。
会社設立時の王道パターンは、主に以下の4つに分かれます。
①自分で定款作成・会社設立手続きを行う
②自分で会社設立手続きを行い、電子定款を専門家に依頼する
③自分で電子定款を行い、専門家に会社設立手続きを依頼する
④専門家に電子定款・会社設立手続きを依頼する
1の手続きは全て自分で手続きを行う方法ですので代行費用などはかかりません。
2と3の手続きは、会社設立手続きの一部を専門家に依頼する方法ですので代行費用が発生します。
4は手続きの全てを専門家に依頼する方法であるため、一見すると最も代行費用がかかりそうですが、会社設立後に税理士と顧問契約を結ぶ場合は代行費用が0円になることもあります。
ただし会社設立後の顧問契約が条件になっていますので、自身が税理士に求めるサービス内容と、費用とのバランスをみて決めていただければと思います。
今回は株式会社の会社設立パターンについて記載していますが、合同会社の設立について知りたい方はこちらのページを参考にしてください。
参考 : 会社設立の費用はどれくらい必要?株式会社・合同会社それぞれ解説
https://vs-group.jp/tax/startup/media/establishment/7386.html
※認証手数料と 謄本手数料の合計額。
定款認証の手数料は、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」となります。
会社設立を自分でやる場合でも、定款を紙で認証してもらうか、電子で認証してもらうかで収入印紙の負担が4万円かかってしまうか、0円(収入印紙不用)となるかが変わってきます。
それなら絶対に「電子定款」で対応すると誰もが考えると思いますが、この電子定款を自分で対応をするとなると、非常に手間がかかってくるのが現状です。
自分で電子定款を作成することも可能ですが、ICカードリーダライタを用意したり、電子証明書の取得等が非常に時間的コストを要することになります。
どうしても電子定款だけは難しいという場合には、会社設立手続きのうち、電子定款のみ安く対応してくれるところもあります。
「電子定款代行」とWEBで検索してもらうと電子定款代行可能な業者が出てきます。
費用相場は大体10,000円前後です。
定款(紙で作成) | |
---|---|
定款認証印紙代 | 40,000円 |
定款認証手数料 ※ | 52,000円 |
登録免許税 | 150,000円 |
電子認証手数料 | 0円 |
当社手数料 | 0円 |
合計 | 242,000円 |
電子定款 | |
---|---|
定款認証印紙代 | 0円 |
定款認証手数料 ※ | 52,000円 |
登録免許税 | 150,000円 |
電子認証手数料 | 0円 |
当社手数料 | 0円 |
合計 | 202,000円 |
※認証手数料と 謄本手数料の合計額。
定款認証の手数料は、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」となります。
会社設立手続きは煩雑で調べる時間、特に電子定款に関しては非常に準備が大変になってきます。
会社設立時は起業家にとって大事な本業を軌道に乗らせるための大切な準備期間でもあります。
会社設立手続きに没頭しすぎて、本業に影響が出てきてしまっては本末転倒となってしまいます。
とはいっても、自分で会社設立をしたいという人にとっては、それも含めて自分で会社設立する意味を自身で見出していると思います。
会社設立を自分でやりきった時には、今後の会社経営に必要な会社法の知識が身に付きます。
また、会社設立に当たっての注意すべき事項や税務や関連事項も勉強できるため、その後の糧になるかもしれませんね。
ただ、本業を軌道に乗らせるために本気であればあるほど、こういった間接的な作業は専門家に依頼するのが良いともいえるかもしれません。
電子定款を自分で対応をするとなると、非常に手間がかかってくるのが現状です。
自分で電子定款を作成することも可能ですが、ICカードリーダライタを用意したり、電子証明書の取得等が非常に時間的コストを要することになります。
どうしても電子定款だけは難しいという場合には、会社設立手続のうち、電子定款のみ安く対応してくれるところもあります。
「電子定款代行」とWEBで検索してもらうと電子定款代行可能な業者が出てきます。
費用相場は大体10,000円前後です。
電子定款を専門家に依頼 | |
---|---|
定款認証印紙代 | 0円 |
定款認証手数料 ※ | 52,000円 |
登録免許税 | 150,000円 |
電子認証手数料 | 10,000円 |
当社手数料 | 0円 |
合計 | 212,000円 |
※認証手数料と 謄本手数料の合計額。
定款認証の手数料は、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」となります。
会社設立手続きは煩雑で調べる時間、特に電子定款に関しては非常に準備が大変になってきます。
会社設立時は起業家にとって大事な本業を軌道に乗らせるための大切な準備期間でもあります。
会社設立手続きに没頭しすぎて、本業に影響が出てきてしまっては本末転倒となってしまいます。
電子定款以外の会社設立手続きを進めるだけでもかなりの時間と労力を使いますので、少しでも会社設立時の事務作業の負担を減らしたい方は専門家への依頼を検討してみてください。
一見すると、電子定款を自身で作成することで専門家への依頼費用をおさえることができそうですが、会社設立手続きを専門家に依頼することで様々な手数料が発生してしまいます。
先述した電子定款を専門家に依頼する場合の費用が10,000円だったのに対し、会社設立手続きの依頼は諸々の手数料を合わせて50,000円程度になってしまうのです。
以下に費用をまとめましたので参考にしてみてください。
専門家に会社設立手続きを依頼する | |
---|---|
定款認証印紙代 | 0円 |
定款認証手数料 ※ | 52,000円 |
登録免許税 | 150,000円 |
電子認証手数料 | 10,800円 |
司法書士手数料 | 10,800円 |
当社手数料 | 32,400円 |
特別割引 | 0円 |
合計 | 256,000円 |
※認証手数料と 謄本手数料の合計額。
定款認証の手数料は、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」となります。
専門家に会社設立手続きを依頼したとしても、自分で会社設立を行った(定款は紙)場合と比べて、費用差は14,000円程度しか出ません。
実質14,000円で会社設立手続きを専門家に丸投げできると思えば、決して高くはないでしょう。
煩雑な申請書類等を自分で調べて作成し、間違ってしまうリスクを抱えるよりも、専門家に丸ごと依頼する方がかえって手間がかからないかもしれません。
会社設立のみを専門家に依頼する場合は、5万円前後の手数料がかかりますが、ホームページで“会社設立”と検索すると、「会社設立0円」をよく見かけること多いと思います。
会社設立後の税理士契約が前提であれば、手数料0円で対応してくれるところが最近の会社設立の特徴です。
会社設立後の税理士契約が前提の場合 | |
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定款認証印紙代 | 0円 |
定款認証手数料 ※ | 52,000円 |
登録免許税 | 150,000円 |
電子認証手数料 | 0円 |
当社手数料 | 0円 |
特別割引 | -100,000円 |
合計 | 102,000円 |
※認証手数料と 謄本手数料の合計額。
定款認証の手数料は、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」となります。
「会社設立手続を無料でやってくれるから税理士顧問もお願いする」というのは、非常にわかりやすいですが、起業後の状況も踏まえ、税理士との顧問契約が本当に必要なのかを判断した上で依頼をしないと、本末転倒になる場合もあります。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立を予定している、その後の税理士への依頼に迷ってご相談に見えた方に、事業内容、売上状況、取引状況、資金繰り状況をお聞きしています。
その後で「税理士に依頼したときのメリット」をお伝えし、最終的に起業家の方に判断をいただきます。
時には、「今の状況であれば、売上が上がるのも先ということですので、売上の立ち始めたタイミングで再度ご相談していただいても構いません」とアドバイスさせていただくこともあります。
とはいえ実態としては、創業融資のサポートや助成金、補助金の申請等も対応させていただいておりますので、立ち上げ時でもご支援させていただくことが多くあり、全体の8割以上の方が税務顧問契約前提で会社設立されています。
参考 : 会社設立・スタートアップに税理士は必要か?税理士に依頼するタイミング
今回は会社設立を自分でやるか?専門家に依頼するか?の2択について解説を加えていきました。
比較のポイントは「手間」と「費用」の2つでしたが、会社設立後の税理士契約を想定しているのならば、手間も費用もおさえられる「税理士との顧問契約を前提とした丸投げ」がベターな選択といえるでしょう。
とはいえ会社設立時の資金繰り状況や、起業家様の考えもありますので、最終的なご判断はご自身で下されることをおすすめします。
会社設立5つの失敗例、
無知が招いた悲惨なスタートアップ 自分で会社設立を考えている人向けの
知っておくべき情報まとめ
「自分で会社設立をするとなると、会社設立の流れを理解し、
手続について色々調べていかないといけないのは分かってる」
「それでも、会社設立を自分でやるんだ!」
という方に、株式会社、合同会社設立の流れや手続についてまとめています。