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成功する事業計画書の書き方とテンプレート
「成功する起業の原点 ベンチャーサポート流 事業計画書」
~独立前に考えておくべき30のポイント~
なぜ事業計画を立てるのでしょうか?多くの答えがあるでしょうが、「事業計画は開業前に自分の考えを明確に整理するために策定する」というのが一番重要な回答でしょう。
「自分が始めようとしていることは本当に事業として成り立つのか」についてはいくら考えても考え過ぎということはありません。
実際開業すると日々の業務に追われ、ゆっくりと時間を取って自分の事業を見つめられないものです。
「何に向かって事業を進めるのか」「いつまでにするのか」「リスクはどこにあるのか」など開業前にどれだけ多くのことを考えられるかが成功の要因の一つになります。
「計画はしょせん計画。どうせその通りにはいかない」こんなことを言って事業計画を立てない方がいらっしゃいます。
確かにそうです。
計画通りにはいきません。
しかし、計画を立てていれば、「計画通りに行っていないこと」がわかるのです。
もし一切事業計画を立てずに走り出せば「うまく行っているかどうか」もわからないのです。
「そんなことあるはずない」と思うかもしれません。
でも人は弱いもので、思うとおりにいかないときには無意識のうちに自分を正当化してしまうのです。
数字に表れるようなもの、例えば売上高などは比較的わかりやすいです。
しかし数字に出てこない部分、例えば商品の質やライバルとの関係などは自分が思っていた通りにいっていたかどうかがわからなくなるのです。
事業計画は原点です。
ときどき立ち止まって事業計画に立ち戻り、自分が進んでいる道が正しいかを確認しなければいけないのです。
もちろん、事業計画の内容については、自分だけが把握しておけば良いというものではありません。
一緒に起業したパートナーや従業員など、スタッフ全員が正確な情報を共有してこそ、目標に向かって最短距離を突き進むことができます。
そのためにも、事業計画書というのは非常に重要な書類と言えます。
また事業計画がはっきりしていないと出資をしてくれる人を説得することができません。
実際多くの起業家は自分の貯金以外では、親や親戚にお金を借りて会社を興すケースが多くあります。
場合によっては金融機関から融資を受けて始めることもあります。
このような場合に事業計画がないと貸す方としては安心して貸せません。
金融機関であれば、事業計画のない会社に融資はしてくれないでしょう。
そこで、以下では、有効な事業計画書の作成方法や注意点について、ご説明していきます。
事業計画書の書き方
せっかく時間と手間をかけて作るのですから、最高の事業計画書を作成しましょう。 アピールしたいことがしっかりと伝わる、事業計画書の書き方をステップごとにご紹介します。ステップ1 事業の概要を書こう
まずどのフォーマットを使うにしても、事業の概要を記載する必要があります。 いわば自己紹介です。 どのような会社で、どのような事業を行い、どんな取引先があるのかをできるだけ詳細に書きましょう。 事業の概要の項目では、一般的に次のようなことを記載します。- ・会社名(商号)
- ・本店所在地
- ・営業所や支店の所在地
- ・役員
- ・株主構成
- ・電話番号
- ・ウェブサイト
- ・メールアドレス
- ・主な取引先
- ・主力商品
ステップ2 代表者の経歴をアピールしよう
代表者の経歴は、事業計画書で伝えるべき重要なことのひとつです。 世の中には経営セミナーがたくさんありますし、優秀な経営コンサルタントも大勢います。 しかし代表者本人の経験ほど信頼できるものはありません。 経験はいわば武器です。 あなたにどんなスキルがあり、どんなノウハウを持っているのかを惜しまず書き、熱意と本気をアピールしましょう。 事業に関連したスキルや、修業時代の経験などを詳細に書きましょう。 指定されたフォーマットに入りきらない場合は、別紙に記載して添付してもかまいません。ステップ3 事業の理念を書こう
どうしてこの事業をやろうと思ったのか、理念やコンセプトを書きましょう。 事業にはさまざまなリスクがつきものです。 ある日突然売れなくなって倒産に追い込まれ、多額の借金を背負う可能性もあります。 それでも事業をやるのですから、なにか強い気持ちがあるはずです。 どうしても理念やコンセプトが思いつかない人は、次の4点から分析してみてください。- ・この事業をやろうと思った動機
- ・事業の社会的な使命
- ・自社の強み
- ・消費者や取引先のメリット
ステップ4 5年後のビジョンを明確にしよう
事業計画書は過去の評価ではなく、これから先の計画です。 これからどのようなことを達成したいのか、どんな風に事業を成長させていきたいのかのビジョンを明確にし、読み手に伝えなくてはいけません。 あまりに近い未来のビジョンでは将来性がはっきりと見えませんし、逆に遠すぎる未来のことを言われても信用できません。 5年後をひとつの目安として、3W1Hを考えてみましょう。- ・When(いつ) 5年後
- ・Where(どこで) どの市場で
- ・What(なにを) 具体的な商品やサービス内容
- ・How much(いくらで) いくら利益が見込めるのか
ステップ5 事業のドメインを決めよう
ドメインと聞くとウェブ関連を思い浮かべてしまいますが、ここでのドメインは違います。 領域という意味では同じですが、ここでのドメインは事業を展開する領域のことです。 どのような舞台で事業を展開していくのかによって、ターゲット層が異なります。 たとえばビジネス街で小学生向けの文具店をやっても儲かりませんし、幼稚園の前で高級ブティックをしても流行りません。 自分の事業に合ったドメインを決める必要があります。 事業ドメインを決めるときには、次の点を分析しましょう。- ・誰に売るのか(ターゲット層)
- ・なにを売るのか
- ・どうやって売るのか(対面販売なのか通販なのかなど)
- ・自分のポジショニング
- ・商圏はどこにするのか
ステップ6 市場規模を把握しよう
主力となる商品やサービスの市場規模を把握しておきましょう。 市場の小さな商品は売上が伸び悩むため、新しい商品開発なども視野にいれなくてはいけません。 逆に市場規模が大きい場合は今後の成長が期待でき、知名度をあげるための広告宣伝費やよりよい商品にするための改良費などが必要になります。 このように、市場規模によってこれから採るべき経営戦略が異なるのです。 事業計画書は将来性をみる書類ですから、市場規模を正確に把握してそれに合った経営戦略を提示し、成長性をアピールしなくてはいけません。ステップ7 同業他社についての分析を書こう
同業他社は同じ市場で戦うライバルです。 消費者や取引先からみて、数ある同業他社の中からあなたの会社を選ぶ理由はどこにあるのかを明確に示す必要があります。 自社の強みを知るためには、同業他社を分析するのがベストです。 市場と事業ドメインが似ている他社を最低3社ピックアップして次の4つのPを検討し、他社の特徴や強みを把握しましょう。- ・Product(商品) どんな商品やサービスを売っているのか
- ・Price(価格) いくらで売っているのか
- ・Place(流通) どのような流通経路を使っているのか
- ・Promotion(販売戦略) どのような戦略で売っているのか
ステップ8 消費者や取引先などのメリットを書こう
どんなにいい商品やサービスも、消費者や取引先などの顧客から選ばれなくては意味がありません。 なぜ自社が顧客から選ばれるのか、理由を分析して事業計画書に書けば利益性や将来性の信用度が増します。 この選ばれる理由は、漠然としたものではいけません。 たとえば「近くに同業他社がないから」「商品を扱っている店が近所でうちだけ」など、大雑把な理由ではダメです。 新しいお店ができたらどうするという話になりますし、いまどきはネット通販もあるので店舗がうちだけというのも理由としては弱すぎます。 できるだけ説得力のある理由を書かなくてはいけません。 よくわからない場合は、次の4つのCを分析してみましょう。- ・Customer Value 顧客にとってのどんな価値があるのか
- ・Cost to the customer 顧客の負担
- ・Convenience 利便性
- ・Communication コミュニケーション
ステップ9 自社の強みをアピールしよう
さきほどの顧客から選ばれる理由以外にも、なにかアピールポイントを見つけて書きましょう。 たとえば代表者のスキルやノウハウでもいいですし、従業員の教育制度や資格でもかまいません。 どのような点に力をいれて経営しているのか、そしてそれが利益にどう反映されているかをアピールします。ステップ10 主力商品やサービスの説明をしよう
主力商品やサービスは経営の要です。 事業の概要のところでも書いたかと思いますが、改めて詳しく書いておきましょう。 商品やサービスの内容だけでなく、目に見えない価値や価格、かかるコストや品ぞろえなども説明が必要です。ステップ11 販売戦略について書こう
販売戦略とは、商品やサービスを顧客に知ってもらい、購入してもらうための取り組みのことです。 販売戦略は、どのように知名度をあげるのかといったプロモーションと、どのルートで販売するのかという販売チャンネルの2つに分けられます。 広告宣伝の仕方や卸先などについて、商品や店ごとに記載しましょう。 できれば具体的な数字で販売予測数や売上高を書くのがベストです。ステップ12 ビジネスのフローチャートを書こう
どうしてこの事業で利益がでるのかを、フローチャートでわかりやすく書きましょう。 フローチャートとは登場人物の関係性を矢印で表した図のことです。 取引先や仕入れ先などの登場人物をすべて書き出し、それぞれを矢印でつないで取引内容を書けば、事業の流れがわかりやすくなります。 代金回収の仕組みや利益を生み出す仕組みも書き入れておきましょう。ステップ13 社内組織図を書こう
社内の意思決定の流れがどうなっているのか、組織図を書きましょう。 組織図があれば、どんな部門があって誰がどのような事柄について決定権を持っているのか、第三者でもすぐに把握できます。ステップ14 財務計画をたてよう
財務計画とは財務に関する計画のことで、次の6項目からなります。- ・売上計画
- ・売上原価計画
- ・人員計画
- ・設備計画
- ・利益計画
- ・資金計画
良い事業計画書の4つの特徴
まず、良い事業計画書には次の4つの特徴があります。
1.事業内容が簡潔に記載されている
これから事業を起こそうというのですから、様々なアイデアや将来的なヴィジョンなど、数え上げればきりがないほどいくらでも出てくるでしょう。
もちろん、そういった情熱や思いは必要ですが、事業計画書では、重要な部分が読み手にダイレクトに届くような記載が必要です。
まずは、事業計画の構造を示し、事業の肝となる部分を理解してもらえるよう、簡潔で必要十分な記載を心がけましょう。
2.明確な行動計画が立てられている
事業計画において、数年後までも想定した中長期的な見通しは大切です。
しかし、そのためにはまず何をすべきか、その点が明確でなければなりません。
どれほど緻密でアイデアに富んでいても、今何をすべきかが曖昧な計画は、事業計画としては不合格です。
行動あってこその計画だということを、肝に銘じてください。
3.具体的な数字と根拠が提示されている
いかによく練られた計画でも、実際に事業を開始すると、ズレが生じてくるものですが、計画と実践の段階において、最も大きな差が出るのが売上です。
それは、市場調査や競合分析などのマーケティングに基づいてはじき出された売上予測が、どうしても机上の論理に陥りやすいからです。
このリスクを少しでも小さくするには、徹底的な検証を繰り返すしかありません。
マーケティングを行い、その数字をもとに売上予測を立てるだけではなく、そこから商品などを試作し、実際に市場でテストしてみることが、最も現実を見据えた対策だと言えます。
それによって得られたデータが記載された事業計画書は、読み手を納得させるだけの力を持ちます。
4.誰が読んでも事業内容が理解できる
事業計画書を作成する際、専門的な単語や言い回しを使用すると、確かに専門性をアピールすることができるかもしれませんが、内容が伝わりにくくなります。
故意に難しい言葉を使用しないようにするだけではなく、普段使用している言葉が一般人にも理解してもらえるのか、また、自分には当然の前提でも、はたして読み手もそうであるのか、そういった点を見直してみましょう。
事業計画は5W2Hで考える
プレゼンテーションやコミュニケーション、コンテンツ制作など、あらゆるビジネスシーンで使用される下記のフレームワーク「5W1H」はご存じの方も多いと思います。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのようにして)
事業計画を作る場合、上記6つの頭文字5W1Hにもう1つのH(How much)を加え、5W2Hで考えます。
そうすることで、事業計画はより明確で具体的なものとなり、事業計画書も見違えるほど説得力を増します。
この5W2Hを事業にどのようにあてはめていくのか、1つずつ見ていきましょう。
なお、わかりやすいように、5W2Hの順番を入れ替えてご説明します。
1.Why
Whyとは、事業を始める理由や社会的意義は何なのかを、はっきりさせるということです。
これは経営理念にも通じるものであり、事業を行っていく上でのモチベーションとなるものです。
この点がしっかりとしていれば、事業の方針も一貫したものとなり、会社が目指すヴィジョンを誰もが共有することができるでしょう。
2.Who
ここでの「誰」というのは、一般消費者や取引先など、サービスや商品を提供する相手のことを指します。
顧客のペルソナはどういったものか、人数はどれぐらいいるのか、潜在的なニーズはどの程度あるのかなどを想定します。
このターゲットを明確にして絞り込むほど、ビジネス戦略の精度が上がり、成功に近づくことができます。
3.What
Whatは「何」を売るのか、つまり、自社の商品やサービスは何なのかということです。
ビジネスで扱う商品やサービスについて、どのような内容か、特徴は何か、どれぐらいの価値があるもので、どういった付加価値が付いているのかといったことを、具体的に検証していきます。
4.Where
Whereとは市場のことです。
事業を行う場所の地理的な所在はもちろん、市場規模や業界全体の流れについても明確にします。
また、競合他社の勢力バランスや今後の動向など、ここでのマーケティングは非常に重要であり、それを踏まえた上で、自社のアドバンテージをどのように活かしていくのかについても慎重な検討が必要です。
5.When
自社の商品・サービスを提供する時期や、需要が高くなる時期などを的確に捉え、販売計画を立案します。
特に季節によって需要に大きな差が出る商品やサービスであれば、それらを提供するタイミングによって全く逆の結果になることもあるため、入念な顧客調査やシミュレーションが必要です。
また、商品の販売やサービスの提供に、どの程度の時間が必要なのかも、ここで確認しておきます。
6.How to
How toとは、事業の具体的な仕組みのことです。
集客や仕入れの方法、販売手段、流通経路、顧客開拓など、事業を行っていく際の全体的な流れを把握し、各ステージにおいて実際に行うべき行動を決定します。
また、いろいろなケースを想定して、それに対応する手段も講じておきましょう。
特に、想定されるリスクへの対応方法を準備しておくことは、事業計画を策定する上では、非常に重要です。
7.How much
自社の商品やサービスをいくらで提供するのかを決定します。
商品やサービスに、顧客がどの程度の価値を見出すのかは、時代や環境によって大きく変化するため、徹底した市場調査が必要です。
また、事業を行っていく上での資金調達方法や、資産の運用方法も考えておきましょう。
融資を引き出す事業計画書の4つのポイント
事業計画書を作成する目的の1つが、金融機関から融資を受けることです。
そこで、「融資を受ける」という視点から、事業計画書の作成で気をつけるべきポイントを4つご紹介します。
1.経営理念は絶対に記載する
経営理念というと、ともすれば抽象的になりがちな部分ですから、融資の審査ではそれほど問題にされることはないと思われるかもしれません。しかし、そうではありません。
融資担当者にとって、会社の経営理念というのは、事業計画書を見る上で、最初にチェックすべき項目でもあるのです。
もし、「経営理念は何ですか?」と尋ねて、「何となくお金儲けがしたいから」などという答えが返ってきたら、融資担当者は「この人、大丈夫かな?起業してもすぐにやめてしまうんじゃないのかな?」と不安になるでしょう。
経営理念というのは会社の根幹をなすものであり、ここがあやふやな会社は、信頼を得ることが難しいと言わざるを得ません。
経営理念は、力を入れて記載しましょう。
2.数字には説得力を持たせる
事業計画書には様々な数字が出てきますが、その数字には根拠が必要です。
いくら数字を並べ立てても、そこに根拠がなければ何の意味もなく、融資担当者を説得することはできません。
また、全ての数字に根拠を持たせることによって、融資担当者を納得させると同時に、それぞれの数字に整合性が生まれ、筋の通った破綻のない書類ができあがります。
3.実行できる計画
起業を考えている人の中には、現実的であろうとしながらも、つい希望的な見通しを持ってしまう人がいます。
しかし、そういった考えではお金を引き出すことはできません。
これから起業する実績のない会社に融資をするのですから、過去の決算書などは存在しません。
融資担当者は、事業計画書を見て、お金を貸して良いかどうかを判断しなければならないわけですから、もしそこに、実行が危ぶまれるような計画が記載されていれば、とてもGOサインを出すことはできないでしょう。
少しでも会社のことを良く思われたい、将来の売上を大きく見せたいという気持ちはよくわかりますが、事実と異なる内容を記載することは逆効果です。
融資担当者は、誠実で堅実な計画を求めているのです。
4.意外と体裁も大事
事業計画の内容以外の部分にも気をつかう必要があります。
いくら事業計画の内容が良くても、誤字脱字が多かったり、体裁が整っていなかったりすると、それだけで書類の信頼性が損なわれかねません。
融資担当者も人間ですから、見た目が悪くて読みにくい書類よりも、きちんと整った書類の方が印象が良いはずです。
書類の体裁のせいで審査にとおらないなどということがないよう、最低限のチェックはしましょう。
ここまで読んでいただいた方には事業計画をたてる重要性が伝わったものと思います。
しかし事業計画をそんなに難しく考える必要はありません。
気軽に事業計画を立て始めて、立てながら何度も修正していけばよいのです。
また作り出して始めて見えてくることも多いでしょう。
輝かしい夢の第一歩としてこの事業計画書がお役に立てれば幸いです。ぜひご利用ください!
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