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失敗しない!?会社設立のルール4「役員報酬」
Dさんは営業会社でバリバリの営業成績を残してきた優秀な営業マンです。
大学を卒業してから8年、手がけた商品は多種にわたります。
携帯電話、電話回線、コピー機、これらの商品は利益率が高い分ライバルも多く実力が問われるところです。
そんな中、常に素晴らしい実績を残してきたDさんは、周囲にも一目置かれる存在です。
そして30歳になった今、自分の力を試し、またもっとお金を稼ぐために自分の会社を設立する決意を固めました。
営業会社のサラリーマン時代、Cさんは常に「出来高給」という厳しい環境に身を置き、日々緊張感を持って仕事に取り組んできました。
それはときには苦しくて逃げたいと思うときもありましたが、今振り返ってみると自分を成長させる良いプレッシャーになったと思ってます。
Dさん:「これからは俺が社長だ。自分の給料は自分で決めることができるんだよな。でも、ここで固定給にしてしまうと楽な方向へ流れてしまう。役員報酬はこれからも出来高に応じて取っていこう!」
Dさんは独立して社長になったあとも緊張感を失わないために出来高給で役員報酬を取ることにしました。
会社を大きくするために敢えて取ったこの選択。
しかしこれが誤った判断だと気付くことになるのは1年後のことです。
1年後、Dさんの会社は思い描いていた以上に順調に売上を上げていきました。
第1期は売れない月もありましたが、その次の月には鬱憤を晴らすかのような大きな売上を上げました。
それに対応して役員報酬も上下しました。
悪い月では10万円のときもありました。
しかし良い月では300万取った月もあります。
年収でならすと第1期の役員報酬は2000万!
2000万取ったあとの税引き前利益は30万残りました。
この数字はDさん自身も満足のいくものでした。そして30万の利益なら法人税は20万円くらいになるとDさんは計算しています。
Dさん:「税金が20万円くらいならかまってる暇はないな。それより今月の売上を上げることに全力を注がなければ!」
Dさんは決算のことは頭の端に追いやり、第2期の売上アップに意識を集中することにしました。
そして納税の期限がせまり、会計事務所が税額を計算してきました。
会計事務所:「1年間お疲れ様です。今日は第1期の税額が決まりましたのでお知らせに来ました。」
Dさん:「ありがとうございます。自分でも計算したのですが20万くらいですか?」
会計事務所:「いえ、それが・・。」
Dさん:「あれ?もうちょっと高いですか?」
会計事務所:「ええ、税額は800万ほどになります」
Dさん:「は、は、800!!冗談はやめて下さい!利益が30万なのに何故税金が800万なんですか!」
会計事務所:「Dさん、今年は役員報酬を月ごとに変動させましたよね」
Dさん:「はい、確かに実績に応じて役員報酬を変えましたが、それが何か?」
会計事務所:「税法では役員報酬は1年間定額でなければいけないとなっているんですよ。もし変動させた場合は、その1年間で一番低い金額がその年の役員報酬になってしまいます。そして差額は全部経費と認めれないんです」
Dさん:「ということは、私の場合は10万円が1年間続いたということですか?」
会計事務所:「はい。そういうことになります。Dさんの1年間の役員報酬は年収で120万円になりますので、2000万との差額の1880万は税金がかかるんです」
Dさん:「そんな・・・・・。」
Dさんは言葉を失ってしまいました。
出来高給の営業マンだったDさんにとっては給料は変動するのが当然のこと。 定額では甘えが出ると思い導入した役員報酬の変動制ですが、完全に裏目に出てしまったようです。 法人税法では役員報酬は「定時定額支給」が原則。 つまり「毎月同じ金額を役員報酬として取る」必要があるのです。もし変動させてしまった場合、その事業年度で一番低い役員報酬が1年間続いたものとされます。
そして実際の役員報酬との差額は「役員賞与」とみなされ、経費として認められません。