会社設立基礎知識

失敗しない会社設立のルール2「事業年度」

Bさんは大手企業に勤めるサラリーマン。

多くの同僚が一生を同じ会社で働くことに疑問を持たない中、Bさんには秘かな野望があります。
それは「自分の会社を作る」こと。
事業内容もネットでの通信販売業をしようと決めています。

独立起業セミナーにも多く参加したBさんは、「通信販売業は取り扱う商品が命だ」と気付き、
他社があまり扱っておらず、かつ粗利も高いような"ニッチ商品"を探し続けてきました。

これだという商品に巡りあえてから独立をしようと考えていたB社長ですが、
なかなか出会えないまま時間だけが過ぎていってしまいます。

そんなBさんに突然の転機が舞い込んできます。
会社の「早期退職者募集」。時期は3月末まで。
冬のボーナスをもらい、1月に辞表を提出し、引継をしても3月末には間に合いそうです。

Bさん「これはきっと神様が後押ししてくれているんだ!このチャンスを逃してしまっては独立の機会はない。よし、勝負だ!!」

事業プランはまだまだこれから固めるところが多くありますが、成功する自信はあります。

そして、Bさんは数年来の夢であった「独立して自分の会社を持つ」という数年来の夢の一歩を踏み出したのです。

失敗しない会社設立のルール2「事業年度」

辞表提出、引継、送別会、と順調に手続きは進み、予定通り3月には退社する運びになりました。

さて、完全にフリーになったBさんは、念願の会社を作ることから始めることにしました。
会社名、本店所在などの設立要項を順調に決めたBさん。
4月半ばに会社を設立してとりあえず第1期は来年の3月末で終了とすることにしました。

最初の1ヶ月で独立祝いのように知り合いが買ってくれましたので、100万ほど売上が上がったのは予想外の快進撃でした。

しかしこれが後々でBさんを後悔させることになります。

5月になり、6月になりましたが、「これだ!」という商品に出会えずBさんもだんだん焦りが出始めます。

そしていつの間にか暑い夏を迎えたころ、ついにBさんは運命の商品と出会います!
他社があまり取り扱っておらず、ニッチで粗利も高い商品。まさに理想の商品でした。

読みどおりこの商品は大ヒットを飛ばします。

第1期が終わり、そして第2期を終えようとするころ、この商品のおかげでBさんの会社は完全に軌道に乗っていました。
売上は月500万円を突破。ホクホクの第2期決算を迎えられそうです。

「第2期が終わりましたね。会社を作って正味2年でこんなに売上が上がるのは素晴らしいです」

「ありがとうございます。ただ、利益も残りました。法人税がだいぶ取られますね~。第3期から消費税が本格的にかかりますよね」

「何を言っているんですか、Bさん。消費税は今期からかかりますよ。300万円ほど納めてもらうことになります

「ええ~!なぜです??まだ会社を作って2年と半月。消費税がかかるといっても半月分じゃないんですか!!

「Bさん、それは違います。
消費税の免税期間は原則 "2期"ですが、第1期の事業年度の期首から6か月間の課税売上と給与支払額の合計が
いずれも1000万円を超える場合には、2期目は免税とはならない
んですよ。
Bさんの会社は第1期の上半期の売上と給与の合計がいずれも1000万円を超えていましたから、
免税期間は第1期で終わっていたんですよ」

「そんなこと知らなかった・・・」

平成23年の税制改正により、すべての新設会社が2期分の消費税免税が受けられるとは限らないこととなりました。

設立直後の会社の基盤が固まらない間はちょっとでもお金が残るように、
第1期開始後6か月間の売上と給与支給額が共に1000万円を超える見込みなら、
消費税の免税期間を最長で受けられるように事業年度を組むのが良策です。

具体的には、第1期の事業年度を7か月以下にし、2期目に事業年度を変更して2期目の事業年度を12か月にしておけば、
第1期の開始から6か月の売上と給支給額が共に1000万円を超えても、最長20か月の消費税免税を受けることができます。

~用語解説 「事業年度」~

事業年度とは法人にとっての1年間のことで会計年度とほぼ同義です。
いつから始まりいつ終わるかは自由に設定できます。
大企業は4/1~3/31を事業年度にしていることが一般的です。

この事業年度が終わると「決算」を行い、1事業年度の法人税などを納めることになります。

~用語解説 「消費税」~

消費税とはモノが消費されたときやサービスが提供されたときに、消費者が負担する税金です。

納税方法は消費者が直接納めるのではなく、
モノを売ったりサービスを提供したりする会社が消費者から預る形を取って消費者に代わって納税します。
(間接税と言います)

また会社で仕入れや経費に支払いをすれば、その金額の5%(平成26年4月以降は8%)は相手が納める消費税ですので控除されます。
つまり消費税は売上の5%(平成26年4月以降は8%)を預りもの(仮受消費税)とし、
支払った金額の5%(平成26年4月以降は8%)を払った消費税(仮払消費税)として、その差額を納めることになります。

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